【RSNA2011スペシャルレポート!】RSNA2011:中田典生先生(東京慈恵会医科大学)より
中田典生先生(東京慈恵会医科大学・放射線医学講座)より現地速報をいただきました!

2011.12.01

RSNA2011
東京慈恵会医科大学
中田典生

 今年のRSNAでは、22年間RadioGraphicsのEditor(編集長)を務めた、Dr. Olmsted(図1)が今回のRSNAで退任するので、彼をたたえる公式・非公式の行事が目白押しであった(図2)。今回はRadioGraphics Selection Panelist(以下RGP)としてつれづれなるままに書くこととする。その前にRadioGraphics(以下RG)原稿採択までの道のりと、その審査と査読について簡単に書く。RadioGraphicsは世界で唯一のpeer review(査読)のある画像診断の生涯教育を目的としたRSNAの公式学術誌である。インパクトファクターは2.7程度と同じ公式学術誌Raiologyに劣るが、その原稿採択への道は通常の学術誌とは全く異なる。まずRSNAのEducational Exhibit (DPS、Poster、Computer展示)にその演題が採択・発表された展示の内、学会期間中にRGPが選出したRadioGraphics Recommendation(RG推薦)を貰った演題に対してのみ、その原稿提出が許されている。さらに提出された原稿から通常の査読を経て原稿採択が決定される。原稿の採択基準の詳細については、現在学会中であり、今年も少し変更があったのでここでは述べないが、RGの目的は画像診断の生涯教育であり、教育的内容でなければ採用されない。症例をまとめて供覧するのみではなくTake-home Points (日常診療に役立つ点)をまとめる必要がある。しかもその内容は、ある程度コンセンサスの得られた新しい内容であることが求められている。さてこのような内容の論文を選出するにあたり、RGPは学会期間中に開催されるミーティングまでに一演題につき2人以上の審査員の意見を参考にRG推薦を決定する。
 さて小生はRGPとしてここ5年にわたりこの仕事をしている。 近年紙のポスターがDPSに置き換わりつつあり、DPSについてlike(いいね) ボタンがついたことやコメント欄があることにより、閲覧者の意見も参考にすることができて審査には参考となっている。これらの閲覧者の反応もRG推薦の点数に加味されており重要なポイントである。このようにRG推薦を審査するためにかなりの時間をかけるため学会ポスター会場にあるRadioGraphics Office(図3)横には審査員専用の飲み物軽食コーナーが設置されている(ただし味は……)(図4)。
 最後に、Educational Exhibitに参加される先生へのアドバイスとしては、学会が終了してからもしばらく公開されているポスターをみて、どの演題が評価されているかをじっくりみていただくとともに、自分で作った演題は他人に批評してもらったり、また他人の演題を批評したりすることが、よい演題づくりに欠かせないプロセスであることを強調したいと思う。
図1 Olmsted 先生とのツーショット
図2 7時から学会場で開催される朝食会の様子。今回はDr. Olmstedのお別れの会であった。
図3 ポスター会場にあるRGのオフィス
図4 RGオフィス横の軽食コーナー