日本医療機器産業連合会、医療イノベーションとデジタルデータの活用に関する講演会を開催――ヘルスケアシステムを輸出するためのデジタルデータ活用――

2015.06.11

 (社)日本医療機器産業連合会(医機連)は6月9日、KKRホテル(東京都千代田区)で「平成27年度第1回医機連講演会・懇親会プログラム」を開催した。
 御立尚資氏(ボストン コンサルティング グループ日本代表)が「変化の時代と医療イノベーション」と題し、講演を行った。

御立尚資氏
会場風景

 「近年の世界は大きく構造が変化し、将来的にはワールドワイドに「高齢化」が進むと考えられている。その中で高齢化という「課題先進国」たる日本がいち早くデジタルデータを活用したヘルスケアシステムを確立し、輸出産業とすべきである。
 これからのヘルスケアシステムでは、ますますデジタルデータの活用が重要。ウェアラブル端末などの発達により、個々の健康状態をリアルタイムでデータ化することが容易になれば、将来の健康状態の予測や予防策の提示が的確なものとなり、予防医療をより効果的に行うことができる。
 また、蓄積された個々のデータを医療保険の金額決定に適宜反映させることによって、高齢化に伴い増加する社会保障費のコストダウンも可能になる」と説明した。
 続いて、海外での事例をあげて「スウェーデンでは小児急性リンパ白血病の治療データを医師間で蓄積・共有することで、新薬を使わずに5年生存率を約20年間で大幅に上げた。イノベーションにおいて質と生産性を両立させるためにも、アウトカムデータを徹底活用すべきである」と述べた。
 最後に「既に日本にはデータを収集し蓄積するシステムはある。これを特区などで既存システムに適用し、社会実装する。そうして確立されたヘルスケアシステムを輸出していくことで日本が世界をリードしていくことも可能である」と結んだ。