GEヘルスケア・ジャパン、国内初のMRエラストグラフィ技術「MR Touch」記者発表会を開催

category:取材速報
2012.09.05
川上 潤氏
吉満研吾氏

MR Touchで得られる画像
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MR Touchアクティブドライバー(左)とパッシブドライバー(右)
 GEヘルスケア・ジャパン(株)は8月30日、帝国ホテル東京(東京都千代田区)にて国内初のMRエラストグラフィ技術「MR Touch」の提供開始に伴う記者発表会を開催した。
 同発表会ではまず、川上 潤氏(同社代表取締役社長兼CEO)が登壇し、同社のSilver to Gold戦略について概説し、「超高齢社会では、肝臓疾患の画像診断は要望の多い、非常に重要な分野である。さらに肝臓はアジアの疾患とも言われており、肝臓癌患者の分布を見ても、アジアがその8割を占めている」と述べた。その上で同社の新技術「MR Touch」について解説し、「MR Touchは慢性肝炎の早期診断・長期モニタリング手法として新たなソリューションを提供することができ、肝臓疾患の分野でアジアからイノベーションをおこし、日本から世界へ向けて発信することのできる技術である」とし、同技術が画期的なものであることを強調した。最後に、「MR Touchを発表できることをうれしく思う。この技術を広め、多くの患者様の助けになることを願っている」と締めくくった。
 次に吉満研吾氏(福岡大学医学部放射線医学教室主任教授)が登壇し、「慢性肝疾患の国内動向~MRエラストグラフィの有用性と可能性~」と題した講演を行った。
 同氏はまず、「肝臓癌は20~30年という長いスパンで進行する病気であり、癌の死因の中でも多くの割合を占める病気である。さらに社会の高齢化と共に高齢者の患者も増えている」と語った。軽症~中症(F1~F3)の状態での治療が望まれる慢性肝疾患では、肝障害の原因となる肝線維化の評価は極めて重要で、生命予後の予測や治療選択、治療効果判定を行う上で意義があることを説明し、現在の肝線維化評価の標準が経皮肝生検であると述べた。「経皮的肝生検は確立された手法ではあるが、サンプリングエラー、判定病理医により差が出る等の短所があり、何より侵襲的である。長いスパンで進行するため、繰り返し検査を行う必要がある肝疾患では、肝生検は患者にかなりの負担を強いることになる」とし、従来の評価方法についての短所を指摘した。
 次に、肝線維化の新しい評価方法であるMRエラストグラフィー「MR Touch」についての説明を行った。MR Touchは加速装置で弾性波を肝臓へと伝え、弾性波の振動をスピンの位相差へ変換し、可視化する。スピンの位相からボクセルごとの弾性率を測定することで、生体内臓器や腫瘍の硬度計測を可能とする。このMR Touchの長所について同氏は、「非侵襲的であり、息止め15秒の振動で4スライスの撮影ができ、MRIに2~3分追加することで検査が行え、より広い範囲の硬度を測定できる。経皮的生検に比べ、患者の負担が少なくなっている」と述べた。1.5T機のデータでは高い再現性と正確性を実現しており、肝臓の線維化を正確に反映していることも述べ、3.0Tでの検証にも期待できるとした。さらに、超音波を用いた硬度計測機「FibroscanTM」との比較では、簡便性に劣るが、より大きな範囲を測定できる、再現率が施行者によらず一定、成功率が高い、より正確、計測部が可視化できるといった点ではMR Touchが優れていると説明した。しかしMRエラストグラフィーの欠点として、鉄沈着があると波の画像化が困難であること、測定法の標準化が未確立であること、3.0T機ではデータがまだないといった点を挙げた。
 最後に、同氏は今後の展望として、初回を肝生検、2回目からはMRエラストグラフィーを用いることで複数回の検査の負担を減らし、特に高齢者への負担軽減に期待できると述べた。さらに、将来的には腎、膵、前立腺、乳腺、筋肉、脳、リンパ節といった肝以外への応用の可能性もあるとして、講演を締めくくった。
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