富士通、医療機関の経営効率化と安定的な医療サービスの提供に向け、ヘルスケアに特化したAIエージェントの実行基盤を構築

2025.08.29

 同社は、データとAIによって医療機関の経営効率化と安定的な医療サービスの提供を加速するため、ヘルスケア業界において安全かつ効率的にAIを活用できる基盤を、社会課題を起点とする事業モデル「Fujitsu Uvance」の「Healthy Living Platform」上に構築した。本基盤には、オーケストレーターAIエージェントが実装されており、同社および国内外のパートナーが開発する多様なヘルスケア特化型AIエージェントを柔軟に組み込むことが可能となる。これにより、世界最先端の医療業務オペレーションの早期実装に貢献することで、日本のヘルスケア業界における業務改革と持続可能性の向上に貢献する。

本取り組みの全体構想イメージ

背 景

 日本の医療費は年々増加傾向にあり、2022年度には46兆円に達している。そのおよそ半分が医療機関における人件費に充てられており、うち約16%に当たるおよそ3兆円が事務作業に費やされている。こうした背景から、多くの医療機関が財政赤字を抱え、医療従事者の過重労働が常態化している。今後、少子高齢化による患者数の増大と医療従事者の担い手不足により、この状況が加速することが懸念されている。
 このような喫緊の課題に対し、複雑化し属人化した医療業務オペレーションの改善に向け、AIの活用が大きく期待されている。


ヘルスケアに特化したAIエージェント実行基盤の概要

 同社は、テクノロジー企業として長年ヘルスケア領域で培ってきた業務知見と、幅広い医療機関との連携により、医療業務オペレーションを担う業務特化型AIエージェント群を提供する。データ構造化や相互運用監視などの多様なAIエージェントを効率的に実装し統合できる実行環境を「Healthy Living Platform」上に構築し、そこにパートナーの多様なヘルスケア特化型AIエージェントを組み込むことで、広範かつ迅速な業務オペレーションの変革を支援する。本実行基盤は、アクセラレーテッドコンピューティングとAIエージェントの基盤技術において世界をリードするNVIDIAの支援により構築している。
 これにより、医療従事者は本来注力すべき診療や患者ケアといった本業に集中することが可能になり、医療機関の経営者は、より本質的な業務に医療従事者を集中させることにより、収益の改善と、労働環境の整備を通じた医療従事者の獲得・維持を図ることができる。また、患者は、長時間の待ち時間から解放され、一人ひとりの状態や背景に合わせた最適な医療サービスを適切なタイミングで受けられるようになる。

本取り組みを通じたヘルスケア業界向けの提供価値

 多岐にわたる業務を効率化するためには、AIエージェント同士が協働して業務を遂行する必要がある。同社が実装したヘルスケア向けオーケストレーターAIエージェントにより、医療機関内外の業務オペレーションを一元的に制御・自動化できるだけでなく、医療に特化した各種アプリケーションを自律的に組み合わせ、活用可能になる。
 たとえば、従来、患者が来院し診察を受けるまでには、受付でのカルテや保険証の確認、および医師や看護師による問診や診療科の判断など、各専門職による対応が必要だったが、これら一連の流れをAIエージェントで代行できるようになる。患者との会話をもとに、オーケストレーターAIエージェントと受付、問診、診療科分類などの業務特化型AIエージェントが連携し、自律的に複雑なタスクを実行する。

 これまで同社が日本の医療情報システム支援を通じて培った医療業務オペレーションについての業務知見と、「NVIDIA NIM マイクロサービス」や「NVIDIA Blueprints」をはじめとするAIエージェントの基盤技術において世界をリードするNVIDIAの支援を組み合わせることで、世界最先端の医療業務オペレーションの社会実装を目指す。


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