シーメンスヘルスケア、乳がん3Dマンモグラフィの有用性に関する講演開催。世界的研究者も登壇

2025.07.15
ソフィア・ザクリソン博士(ルンド大学教授・医師。写真)や田中恭子氏が講演
ソフィア・ザクリソン博士(ルンド大学教授・医師。写真)や田中恭子氏(シーメンスダイアグノスティックイメージング事業本部)が講演

 シーメンスヘルスケア株式会社は7月9日、東京都内のホテル(東京都新宿区)で乳がん診療に対する3Dマンモグラフィ(digital breast tomosynthesis:DBT)の有用性に関する講演を開催した。

 講演では、まず田中恭子氏(同社ダイアグノスティックイメージング事業本部XP事業部)が登壇した。「New technology -MAMMOMAT B.brilliant」と題し、同社の最新トモシンセシスを搭載したマンモグラフィ装置であるMAMMOMAT B.brilliantを紹介。従来の2Dマンモグラフィでは発見されにくい癌が存在するが、トモシンセシスは重なりがなく癌の描出能の向上が期待されている。偽陽性・偽陰性を減らし診断能向上、医療費削減への期待もある。

 同装置はX線管球が移動する角度である「振り角」が業界で最大の±25°(振り角50°)であり、広角3D撮影を約5秒ほどで撮影することが特徴だ。トモシンセシスではX線管の振り角が大きいほど、照射回数が多いほど、画質が良くなる。田中氏はトモシンセシスにおいて重要な5つのポイントに言及。その5つとは(1)振り角が広角であること、(2)撮影スピードが速いこと、(3)照射回数が多いこと、(4)被ばく線量が低いこと、(5)全てのスライス画像が明瞭なことだ。(1)、(2)の項目と(3)、(4)の項目はトレードオフの関係にあった。しかし、それを解決したのが同装置だ。田中氏は「シーメンス独自の技術によってワイドアングルなトモシンセシスを高速に撮影することができます」と紹介した。

 令和6年度の診療報酬改定によって乳房トモシンセシス撮影を行った場合の加算が新設されたことにも言及した。トモシンセシス加算は、同撮影を行った場合に所定の点数に100点が加算されるものだ。「トモシンセシスの撮影によるスライス画像を取得することは正常乳腺との重なりを減らし、診断能の高い画像を提供可能となる」と説明した。

 スタッフの業務効率を向上し被検者の負担を軽減できることも注目を集めた。最後に田中氏は「シーメンスは今後も、全ての女性に安全安心な検査をお届けするために今後も皆様と共に歩んで参ります」と締めくくった。

 次に、ソフィア・ザクリソン博士(ルンド大学教授)登壇した。同大における放射線科の責任者で、乳癌画像診断分野における複数の臨床研究や疫学研究で実績のあるザクリソン氏は、乳癌診断におけるトモシンセシスの有用性に言及。実際に氏が行った研究でも、従来の2Dマンモグラフィーと比較してDBTでは癌の発見率が34%高かったことを紹介した。さらに、66歳の患者の例を挙げ、2Dマンモグラフィーでは何も見つからなかったがDBTによって鋸歯状の腫瘍を確認でき、浸潤性小葉癌と診断されるに至ったことを紹介した。

 さらに、トモシンセシス導入で癌を発見し命を救うコストが削減されること、乳腺放射線科医の不足にも言及し、「ワークフローを変えるには多くの時間がかかります。しかし実装に向けて前進すべきです」と述べた。

MAMMOMAT B.brilliant
シーメンス社の最新トモシンセシスを搭載したマンモグラフィ装置「MAMMOMAT B.brilliant」