第28回中国四国IVR研究会参加レポート

2014.11.17

2014年10月17日、18日に岡山大学鹿田キャンパス Junko Fukutakeホールで開催された第28回中国四国IVR研究会を、 高知医療センター放射線療法科大下宗亮先生にご執筆頂きました!

第28回中国四国IVR研究会
高知医療センター放射線療法科
大下宗亮

はじめに

 平成26年10月17日 (金)、 18日 (土) に岡山大学鹿田キャンパス Junko Fukutakeホールで開催された第28回中国四国IVR研究会に参加した。両日ともに心地よいほどの晴天であった。
 印象深い演題を報告させていただくが、まず、自己紹介をさせていただきたい。というのも、これまで諸先生方により報告された学会レポートとは、明らかに異質のものを提供することになるからである。私は、卒後8年目の若手救急医であり、2年前より高知医療センターでIVRの研修をさせていただいている。IVRの経験はわずか2年であり、残念ながら、演題内容を正確に評価し得る技量を持ち合わせていない。あくまでIVRの経験が浅い若手救急医の視点であることをあらかじめご了承いただきたい。

 一般演題38題、 要望演題である門脈系IVR 8例の計46演題であった。
 両日ともランチョンセミナーがあった。初日は、東海大学の長谷部光泉先生より「Targetシリーズ~製品特性と効果の期待できる症例~」、2日目は、広島大学の吉松梨香先生より「胃静脈瘤に対するB-RTO」、 大阪南医療センターの神納敏夫先生より「門脈圧亢進症に対するTIPS」のご講演があった。初日は、イブニングセミナーもあり、「TACEにおける残った課題-ビーズ導入から10ヶ月-」と題して国立がん研究センター中央病院の荒井保明先生よりご講演いただいた。セミナーは、いずれもとにかくわかりやすく、時間があっという間に過ぎたという感想が、正直なところであった。

門脈系IVR

 まず、門脈系IVRの演題からご紹介させていただく。衝撃を受けたのは、近森病院からの「B-RTO合併症:腹腔内出血の1例」である。高度の短胃静脈-左腎静脈系短絡に対して右頸静脈アプローチで排血路よりバルーンカテーテルを進めようとした際、ガイドワイヤーで静脈穿孔を来したと推察される症例であった。一時的にショックとなったが、供血路中枢側をコイル塞栓し、事なきを得たとのことであった。抄録に表現されている通り、まさに「肝を冷やした」症例であったことが、容易に想像される。術中は、後腹膜出血と判断していたが、後々、B-RTVを確認すると血管外漏出が、透視上、残存しておらず、腹腔内出血を疑うことも可能であったと考察されていた。ただ、ショックを来した状況であり、冷静かつ正確に判断するのは途方もない経験と技量が必要ではないかと思われた。また、フロアから「以前、腹腔内に造影剤が貯留し、手技中、画面が見づらくなった症例を経験したことがあったが、そのようなことはなかったか」といった旨の質問があったが、正直、そんなこともあるのかと驚きを禁じ得なかった。私自身、門脈系IVRは、PTPE以外ほぼ経験がないに等しく、他の手技に関しては、教科書を読んだり、それこそ研究会、 学会で聞く程度に過ぎない。もちろん、これらの手技は、経験豊富な術者の下で学ぶことが一番なのであろうが、各報告を通じてあらゆる「想定外」を可能性のひとつとして念頭に置くこともまた重要であることを痛感させられた。
 ランチョンセミナーで胃静脈瘤に対するB-RTOを非常にわかりやすく説明していただいた広島大学の吉松梨香先生からの演題も圧巻であった。肝内胆管癌術後で肝外門脈閉塞による求肝性門脈側副路内に生じた胆管空腸吻合部静脈瘤からの大量出血症例である。経皮経脾静脈的に門脈にアプローチし、NBCA-Lipiodolで塞栓術を行った。これにより一度は止血が得られたが、10ヶ月後、再出血を来し、門脈ステントを留置する方針となった。経皮経肝的に門脈にアプローチし、門脈閉塞部の突破を試みたが、カテーテルが追従しなかった。そのため、経皮経脾静脈的に門脈にアプローチし、肝臓-脾臓のpull-throughを形成することで門脈閉塞部にバルーンカテーテルを誘導した。最終的にバルーン拡張および門脈ステント留置を行い、門脈閉塞部の再開通が得られたとのことである。その手技の過程を聞くだけでもまさに圧巻であったが、以後、出血がないという事実もまた素晴らしいとしか言いようがない。
 バスキュラープラグの使用経験が、愛媛大学の田中宏明先生より報告された。小児の先天性門脈体循環シャントに対して塞栓術を行った2例の報告である。門脈本幹と右房間のシャントに対してバスキュラープラグを使用した1例は、プラグが肺静脈内に逸脱し、スネアで回収したとのことである。プラグが回収されたスライドが提示された際には、会場の一部でどよめきが起こった。今後、バスキュラープラグの使用経験が、学会で報告されることとなるであろうが、一刻も早くノウハウが蓄積されることが望まれる。

続きは「RadFan」12月号(2014年11月末日発売)にてご高覧ください。

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