第27回北日本IVR研究会参加レポート

2014.10.17


2014年9月6日に仙台市にある艮陵会館(ごんりょうかいかん)で開催された第27回北日本IVR研究会を、 一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院放射線科川倉健治先生にご執筆頂きました!

第27回北日本IVR研究会参加レポート
一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院放射線科
川倉健治

Introduction
 平成26年9月6日(土)に仙台市にある艮陵会館(ごんりょうかいかん)にて開催された第27回北日本IVR研究会(旧称:日本IVR学会北日本地方会)に参加した。程よい気温の恵まれた環境の中、時に笑いもある楽しい学会であった。

発表(午前)
 一般演題は看護師セッションも含め36演題。特別講演2演題とランチョンセミナーもあった。
 セッション1はIVR装置。全部で4題。竹田綜合病院の松永賢一先生がトップバッター。IVR支援機能の実際と注意点に関してで、Cone beam CTを撮像したあと、その結果を基に選択すべき血管を同定し、手技を支援する機能だが、対象ではない血管を追跡することがあり得るなどのピットフォールについての報告もあった。
セッション2は肝血管1。全部で4題。うちB-TACEに関する発表が2題。弘前大学の角田晃久先生による発表ではB-TACEによる腫瘍へのリピオドール集積の選択性向上が示唆され、末梢を選択する方がより腫瘍選択性が向上するとの結論が得られた、と発表。総合南東北病院の青島雅人先生はマイクロバルーンを用いた群と従来法を用いて治療された群とを比較検討して発表。全対象結節における標的結節治療効果度に統計学的有意差はなかったものの、30mm未満の比較的小さな結節では従来法と比較して良好であり、統計学的にも有意差を認めたとのこと。
 他にはPD後の出血が2題。外科が活発な病院においてはそれなりの頻度で遭遇するが、秋田大学の古賀 誠先生は文献的考察を加えながら、肝胆膵領域術後の肝動脈出血に対するTAE後の虚血性肝障害について発表。会場との質疑応答の中で、術後時間経過してからの出血と術後比較的早期の出血では側副血行の発達に差があり、それが虚血性肝障害に至るかどうかの違いをもたらす要因ではないかとの意見があった。
 公立置賜総合病院の伊東一志先生は胃全摘、膵頭十二指腸切除術後の左胃動脈断端部出血を塞栓した一例について発表。コイルの置き方によっては腹腔動脈が閉塞しかねない部位への塞栓は見ているだけでも緊張した。
 セッション3は肝血管2。全部で4題。弘前大学の対馬史泰先生が肝外動脈門脈瘻の一例について発表。アルコール性膵炎既往があるとはいえ、GDAから門脈本幹へのシャントという稀な症例であったが、コイル塞栓後も合併症なく経過して早期退院している。
 札幌厚生病院の安井太一先生は亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後に発症した肝仮性動脈瘤に対するTAEの一例について発表。PD後から時間経過しての発症(術後22日目)だったためか右下横隔動脈などからの側副血行があり、TAE後も大きな合併症なく経過して退院していた。
 セッション4は腹部血管塞栓。全部で3題。帯広厚生病院の佐藤幸彦先生が牛による馬蹄腎峡部損傷の一例について発表。馬蹄腎損傷は国内で14例、国外で59例発表があるが、そのうち塞栓術を施行したのは8例しかなく、受傷機転も相まってきわめて稀な症例であった。そして左右の腎動脈とは別に峡部への分枝があることを学ぶ大変よい機会となった。
 東北大学の大村健介先生は産褥晩期出血に対する子宮動脈塞栓術の検討について発表。産褥早期出血と同様に子宮動脈塞栓術は有効とのことであった。

ランチョンセミナー
 ランチョンセミナーでは東北大学病院 腎・高血圧・内分泌科の佐藤文俊先生が「原発性アルドステロン症~わかりやすい診断のすすめ~」について講演した。
時々副腎静脈サンプリングを実施しているからかもしれないが、生理学や薬理学も交えつつ、多岐にわたっての講演内容には「なるほど」と思うところが多かった。

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図1 ランチョンセミナーにて

続きは「RadFan」11月号(2014年10月末日発売)にてご高覧ください。