第31回日本画像医学会見聞記

Share (facebook)
図1 大会会場であるサピアタワーの概観
図2 東京駅日本橋口の会場入り口
図3 総合受付
図4 レセプションでの演奏風景
第31回日本画像医学会見聞記

関西医科大学附属滝井病院 放射線科
池田耕士

平成24年2月17日から18日の2日間、東京ステーションコンファレンスにて開催された第31回日本画像医学会に参加した。JR東京駅の日本橋口を出てすぐにそびえたつ高層ビルであるサピアタワー5階の会場まで一気にエスカレーターで登った。
昨年の岩手医科大学泌尿器科の藤岡知昭教授に続いて、今年は杏林大学放射線科の似鳥俊明教授が主催された。日本画像医学会は、設立当初から放射線科と他の臨床科の教授が隔年で大会長を勤めておられる。また理事や評議員にも放射線科医以外の呼吸器内科・循環器内科・消化器内科・整形外科・泌尿器科・歯科放射線科などの臨床科の先生方が多い。放射線科医のみの学会とは異なり、他診療科の画像診断の観点の違いを知ることができ、非常に興味深い。私の専門分野である頭頸部においても、歯科放射線科の研究者の発表を聴講することができ、意見を交換できる数少ない機会となっている。
学会ホームページによると1981年に初代理事長慶応大放射線診断科西岡清春教授のもと日本臨床画像医学研究会として発足し、組織の規模の拡大にともない日本画像医学会に改称された。現在は東京慈恵会医科大学放射線科福田国彦教授が7代目理事長をされている。画像診断を専門とする放射線診断医と画像診断に携わる臨床各科医師とのチームワークにより、画像医学の研究を通じて、医学の発展と社会の福祉に寄与することを学会の目的としている。
似鳥大会長は“ここで基本の総点検”という基調テーマを掲げられた。単純写真からMRIまでの全ての画像診断の基礎から先端知識の概要を学べる連続セミナーが開かれた。特別企画として、画像診断の基本的知識を再確認するための教育講演、画像診断のあり方をめぐった放射線科医と依頼医とのディベート、さらに近未来の医療画像を考えるセッションが設定されていた。盛りだくさん企画が設定され、聴講したい講演がいくつも重なるほどであり、例年より参加者も多くどこの会場も熱心な聴講者で席が埋まっていた。この学会は以前から中堅以上のベテランの方々の参加が中心であり、若手の参加が少ない傾向がある。今回は基礎から先端知識まで網羅された充実したプログラムであっただけに残念である。若手の参加を促すために来年は秋までにプログラムを確定し、早めに広報をするそうである。一般演題は口演31題、ポスター15題であった。例年は放射線科以外の先生方の発表を聴講するのを楽しみにしていただけに、演題数が徐々に減少する傾向であるのは寂しいことである。
似鳥大会長は東日本大震災の被災地である岩手のご出身であり、学会準備開始直後に震災にみまわれ、このたびの学会準備にはたいへんなご苦労があったと推察される。その中でいくつかの震災や原発関連の講演がみられた。特に福島原発事故に伴う放射線汚染と被曝は差し迫った課題であり、放射線被曝についての教育講演は興味深いものであった。自治医科大学の菊池 透先生が福島原発事故の放射線汚染と被曝管理を示された。福島県を中心に公衆に対する被曝管理が行われ、子供・妊婦に個人線量計を装着した外部被曝測定と、汚染が高い地区住民にホールボディーカウンタや甲状腺測定による内部被曝測定が行われていることを報告された。また彩都友紘会病院の大阪大学名誉教授中村仁信先生が慢性低線量被曝の発癌リスクに関して述べられた。慢性被曝のリスクは極めて小さいもので、他のリスクに例えると受動喫煙や野菜不足程度である。低線量被曝を気にするより、生活習慣のリスクを減らすほうが発癌リスクは減少することを示された。
画像診断においては必要な情報を強調し、さらに不必要な情報を抑制することで、その可能性は無限に広がる。単一画像では限られた情報しか与えられないが、他の画像と合成するフュージョン画像を作成することで、ずっと有用なものになる。岡山画像診断センターの笹井信也先生が「画像の中の異なる部分をそれぞれ別々の層(レイヤー)に分けて置き、レイヤーは互いにいろいろなやり方で関連づけることができる。フュージョン画像を作成するときには、形状をあわせるために画像にひずみを加えて位置あわせをする。単一レイヤー画像の束縛から解放され、無限大の可能性を引き出すことができるようになった」と述べられていた。
より良い画像診断情報を届けるために、画像診断医と依頼医との連携のあり方が討論された。京都府立医科大学の山田 恵先生は依頼コメントを十分に記載してもらうポイントを述べておられた。スーパーローテーション中の研修医に臨床情報をしっかり記載するように指導を行い、我々画像診断医のレポートは臨床で問題になっていることをピンポイントで応える内容にする。また画像診断医は限定的な情報をもとに読影を行っており、電子カルテを事細かに読んでいるわけではないことを文章中に記載することを述べられていた。ただし、このような記載は一流の放射線読影医にのみ許されることかもしれない。

※続きは「RadFan2012年4月号」(2012年3月下旬発売)にてご高覧ください。

Share (facebook)
このページの先頭へ戻る