シーメンス・ジャパン、SOMATOM Symposium 2014開催

2014.09.05
 シーメンス・ジャパン(株)は8月31日、TKP東京ガーデンシティ品川(東京都港区)にて「SOMATOM Symposium 2014」を開催した。同会は「SOMATOM Definition」シリーズや2管球搭載型デュアルソースCTの意見交換会として開催されてきた「Definition Symposium」より名称を改めたもの。同時にデュアルソースCTだけでなく、シングルソースCTも議題扱う幅広い情報交換の場となった。
 内藤博昭氏(国立循環器病研究センター)による開会の挨拶の後、SessionⅠ~Vまでの発表がスタート。SessionⅠは今井 裕氏(東海大学)、市川勝弘氏(金沢大学大学院)、平野雅春氏(東京医科大学)の両氏の座長のもと、「CT Image Contest 2014 Japanese Edition」が行われた。「Best Overrall」そして「General」「Cardio-Vascular」「Oncology」「Dual Energy」「Pediatric」「Technicl」を含んだ全7部門から、画質と低被ばくを両立した優れた撮影テクニックが表彰された。
 SessionⅡ「Latest Stories」では、今井 裕氏と福田国彦氏(東京慈恵会医科大学)が座長を務め、まず大田英揮氏(東北大学)が「慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるDual Source CTの臨床応用」を講演。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療において、デュアルソースCTのCTA、Lung PBVなどを用いた鑑別診断、3D-CTA、Lung PBVを用いた血管内治療の支援/効果判定に臨床における有用性を解説した。
 続いて丹羽 徹氏(東海大学)の講演「Dual Energy Imaging Single Source CT」では、「SOMATOM Definition Edge」(シングルソースCT)を使用したDual Energyイメージングの手法を紹介。解析ワークステーション「syngo.via」の支援により80kVと140kVの2回撮影を行うDual Energyイメージングであっても、従来のCT撮影1回と同程度の被ばくに抑えられると述べた。
 SessionⅢ「Synergies in Oncology CT」では市川氏と福田氏が座長に。西村 崇氏(バリューHRビルクリニック)は講演「検診領域でのsyngo.viaの活用」で、「syngo.via」病巣の経時的な比較が容易になり安定した診断精度が確保できたことを紹介。特に肺がん検診において比較したい病巣の位置合わせや、大きさや体積の計測が容易になったという。
 次に玉本哲郎氏(奈良医科大学)は「放射線治療計画用CT SOMATOM Definition AS Open RT-Pro Edition 高精度低侵襲を目指す放射線治療のパートナーとなりえるか」を講演。CT値、位置データの再現性や不変性、HD FOVによる描出性やアーチファクト低減、Frying Focal Spotによるサンプリング技術、高pitch撮影や4DCT等の高画質化の結果、高精度・低侵襲を目指す放射線治療に十分な精度と機能を有しているとの結論を述べた。
 SessionⅣ「Frontier of Cardiac CT」では内藤氏と平野氏が座長。静 毅人氏(高崎総合医療センター)が「循環器領域における低管電圧・低造影剤量検査の取り組みとその応用について」を講演した。Stellar Detectorのノイズ軽減効果に触れ、Global vascular intervention(冠動脈、大動脈、下肢動脈、腎動脈、シャント、鎖骨下動脈、頸動脈を総合的に扱う)におけるLow kvを用いたCT撮影のアプローチについて述べた。広範囲の情報を収集しやすいCTは有効な手段ではあるが、低被ばくと画質維持、造影剤低減など現在求められる要求も少なくないと言及。SOMATOM Force登場はその解決策になる可能性が高いと今後の展望についても語った。
 続いては「New Benchmark of CAD diagnosis」と題した北川覚也氏(三重大学)の講演。心臓負荷血流イメージングについてMRIやSPECTとの対比を交え、特にMRIに比べCTは空間分解能の高さやMBF計測が容易な点、CTA・CTPとのフュージョンが可能な点などの有用性を説明。デュアルソースCTを用いた心臓負荷血流イメージングのアセスメント「AMPLIFied」の紹介も行われた(東北大学医学部附属病院、高崎総合医療センター、神戸大学医学部附属病院、済生会松山病院、鹿児島医療センターが参加)。
 最後のSessionⅤ「Special Lecture」ではThomas Henzler氏(University Medical Centre Mannheim)は、最新のデュアルソースCT「SOMATOM Force」第1号機(日本国内では2014年4月発表)使用経験に基づく講演「Personalized CT imaging with SOMATOM Force」が行われた。新型X線管「VECTRON」の搭載によりLow kv撮影時の画質、コントラスト分解能が向上、被ばく低減に貢献している点を説明。加えて、造影剤使用量の低減と撮影時間の大幅な短縮(0.25秒/回転により秒間700mm以上を撮影可能)も可能となり、息止めも必須ではなくなっている。ほか臨床の実例を提示しながらTAVI、SIRT、TACEなどの様々な治療計画に有効な選択肢となる点について言及した。

内藤博昭氏
今井 裕氏

市川勝弘氏
平野雅春氏

福田国彦氏
大田英揮氏

丹羽 徹氏
玉本哲郎氏

西村 祟氏
静 毅人氏

北川覚也氏
Thomas Henzler氏