東芝メディカルシステムズ、世界初「医療用裸眼3Dディスプレイ」発売

2013.09.10
綱川 智氏
橋本敬介氏
成田善考氏

   東芝メディカルシステムズ株式会社(本社:栃木県大田原市、社長:綱川 智)は、9月5日、東京ステーションコンファレス 501AS (東京都千代田区)にて、世界発となる「医療用裸眼3Dディスプレイ」の新製品発表会を開催した。
  同製品は、同社製CTである「Aquilion ONE」と連動することにより、撮影した幅160㎜のボリュームデータを裸眼で、3D画像で見ることができる。高精度な画像や動画を裸眼で立体視できるため、脳外科手術や内視鏡手術などの術前シュミレーションや術中参照にも役立つ。
  冒頭、綱川 智氏が、同社の理念や医療裸眼3Dディスプレイについて「東芝ならではの、幅広い技術を広い領域に活用し、創造的成長を実現したい。被ばくの低減や、術中の前後関係の把握、臨床を学ぶ学生への教育にも役に立つと期待している」と語った。 
  続いて橋本敬介氏(同社CT開発部)が開発の経緯や使用されている最新の技術について語った。同製品は、2010年に同社で開発されたグラスレス3DREGSAの技術を医療部門で応用するため、国立がん研究センターと共同で開発された。2012年のRSNAでは試作機がCertifiCate of Meritを受賞している。2013年9月、世界初の製品化となった。4K2K高精細3Dパネルを搭載、インテグラルイメージング方式により、9方向視差画像で実際に立体物がある場合の光線を再現。従来のソフトエンジンに対して約10倍の演算性能を持つGPUによるリアルタイム・レンダリングエンジンを搭載し、まるで手にとることができるかのような立体感のある映像が映し出される。 
  最後に、成田善考氏(独立行政法人 国立がん研究センター 脳脊髄腫瘍科)による「医療用裸眼3Dディスプレイの医療における教育的臨床的有用性」の講演が行われた。成田氏は、「脳神経外科手術や脳腫瘍摘出手術は、技術だけではなく様々な機器を使用した科学的手術であり、いかに術前にストーリーを描くかが大事である。従来は平面画像を見て立体構造を頭にインプットするしかなかったが、同製品とマルチモダリティ画像を組み合わせることで腫瘍と血管・神経繊維の関係などを直感的に理解できる。平面画像を立体視するための訓練の必要がなく、医療用3Dディスプレイを使えば誰でも立体視ができる。安全・確実な手術が可能になるだけでなく、解剖構造の理解など幅広い医学教育への応用が期待される」と語った。