GEヘルスケア・ジャパン、創立30周年記念シンポジウム「医療のメイドインジャパンへの展望を探る」を開催

2012.10.24
ジョン・ディニーン氏
三村申吾氏
加藤益弘氏
川上 潤氏
草場鉄周氏
阪本雄一郎氏
徳田安春氏
林 恭弘氏
平方 眞氏

 GEヘルスケア・ジャパンは10月23日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて、創立30周年記念シンポジウム「医療のメイドインジャパンへの展望を探る」を開催した。
 はじめに、ジョン・ディニーン氏(GEヘルスケアプレジデント兼CEO)が「これから超高齢化社会を迎えるにあたり、“Silver to Gold”戦略の下、超高齢化をチャンスに変えていきたい。超高齢化が先行する日本において超高齢化にうまく対応していくことで、今後高齢化を迎える他の国々にも役立てたい。本会で出される思想や提案が、今後につながっていくことを祈る」と開会の挨拶を述べた。
 基調講演1では、三村申吾氏(青森県知事)が「青森から世界へ~次世代のヘルスケア地域モデルをめざして~」と題して講演。少子高齢化が急速に進行している青森県を“課題先進地域”として、現在の青森県が抱える問題、QOL向上に向けた医療・福祉政策の推進、青森ライフイノベーション戦略とその具体的な展開などについて述べた。青森県では医療・健康・福祉を一体化を土台とし、産業と雇用を生み出す青森ライフイノベーション戦略を2011年11月に策定。GEヘルスケア・ジャパンと県内のライフ系企業のビジネスマッチング会を催したり、同社の小型ドクターカーを導入するなどして、次世代のヘルスケア地域モデルを目指した取り組みを行っていることを紹介した。
 続く基調講演2では、加藤益弘氏(アストラゼネカ(株)代表取締役会長)が「医療イノベーションをどう進めるべきか:医学の進歩を医療の現場へ」と題して講演を行った。加藤氏は、医薬品がこれまでいかに医療と社会に貢献してきたか、世界の医療ニーズ、医薬品開発の現状などについて紹介した。そして日本の創薬を促進するためには意識改革が不可欠だとし、研究者の高い能力を引き出すために国として総力を挙げ新しい形の「産官学共同モデル」を作り、一企業や大学のみでは成し得ない共同研究が有効になると述べた。
 次に、川上 潤氏(GEヘルスケア・ジャパン(株)代表取締役社長兼CEO)がファシリテーターを務め、「医療がより患者さんに近づく~プライマリ・ケアへの期待と展望」と題して5名のパネリストによるパネルディスカッションが行われた。はじめに草場鉄周氏(北海道家庭医療学センター)は、プライマリ・ケアに重要な3つのポイントとして、診療所でも病院のような高いレベルの医療ができると示すこと、患者中心の個別ケアに対応していくこと、地域ニーズに応えられるケアを提供することを挙げた。続いて阪本雄一郎氏(佐賀大学医学部附属病院救命救急センター)は、救急医療も医師不足など地域によって状況が異なり、産官学の連携で地域の問題を解決していく必要がある、ICTを使った取り組みも有用である、と語った。医師教育の立場からは、徳田安春氏(水戸協同病院/筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター)が、超高齢化社会を迎えるにあたり“イチロー”型の守備範囲の広い医師の育成が必要であり、そのためには卒前教育でも見学型ではなく医療参加型の教育が必要であると述べた。訪問診療に携わってきた林 恭弘氏(祐ホームクリニック)は、高齢化社会では在宅でも高度な医療が求められる場面が多く病院との密な連携が必要である、そうした場面でどこからでも閲覧できる電子カルテなどICTによる効率化が必要であると語った。最後に平方 眞氏(愛和病院)は、将来増加するであろう自宅での看取りを冷静に迎えられる死生観や、自宅で病気が急変した高齢者に早急に対応できるシステム作りが必要であると語った。
 本シンポジウムには多くの医療従事者や医学生が参加した。またUSTREAM配信も行われ、会場に足を運べない聴講者からもTwitterを通じて質疑が行われた。

会場の様子
パネルディスカッションの様子