東芝メディカルシステムズ、「画論 The Best Image 2011」を開催〜CT、MR、超音波に関する最高の画像を追求〜

2011.12.19
本多 修氏
大野良治氏
池田 啓氏
森山紀之氏
片田和広氏
栗林幸夫氏
辻岡勝美氏
似鳥俊明氏
大友 邦氏
扇 和之氏
吉川純一氏
松尾 汎氏
水口安則氏
金田 智氏
綱川 智氏
表彰の様子
会場の様子
 東芝メディカルシステムズ(株)は12月18日、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)にて「画論 The Best Image 2011」を開催した。1993年に初開催され今年で19回目となる本会は、CT・MR・超音波といった分野ごとに、東芝ユーザーから応募された臨床画像を審査し表彰するというものだ。 

 はじめに、CT・MR・超音波のモダリティごとに分かれ、上位入賞施設の代表者によるプレゼンテーションが行われた。その内容を踏まえ各審査員が最終審査を行う間、メイン会場では特別講演が催された。

 特別講演では、まず森山紀之氏(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)の座長の下、本多 修氏(大阪大学)が「CT診断における被ばく低減(AIDR 3D)の臨床応用」を発表した。通常線量での胸部CTにおけるAIDR 3Dの効果として、ノイズ低減による画質の改善が見られたこと(縦隔よりも肺野、その他領域よりも肺尖部で改善)を述べた上で、通常臨床における小児CTの低線量化のために必要な知識として、小児は放射線に対する感受性が成人の数倍高いこと、体が小さいため臓器あたりの被ばく量が成人の5倍になること、そして小児撮影のためのプロコトールの重要性などを説明した。

 次に、似鳥俊明氏(杏林大学)が座長を務め、大野良治氏(神戸大学)が「Vantage TitanTM 3T臨床経験と将来展望~体幹部を中心に~」について講演した。同氏は、Vantage TitanTM 3Tは、形態診断・機能診断・代謝診断の観点から新たなOne-Stop-Shoppingを可能にし、より効率的で有効な体幹部3T MRIの検査法を可能にしたことを報告した。

 続いて、金田 智氏(東京都済生会中央病院)の座長の下、池田 啓氏(千葉大学医学部附属病院)が「リウマチ診療における超音波検査の活用」を講演。リウマチ診療に超音波検査を活用することが、患者の病変理解につながり高い満足感を与えられると述べた上で、医師・診療放射線技師にとっても病態の理解や穿刺・注射手技の向上につながるため、リウマチ診療が向上すると主張した。

 特別講演の終了後には、全455の応募の中から選ばれた上位入賞施設の発表と表彰式が行われた(下記参照)。 表彰後には、各部門の審査委員(下記参照)の代表者から、総評が述べられた。CT部門では、「今年の応募画像を見てみると、様々な工夫がなされている。特に、被曝低減の工夫が目立っていたように感じた」(森山紀之氏)、「列の少ないCTを使用した施設について、あえて必要最低限の撮影しか行わない技術が面白かった」(片田和広氏)、「最優秀賞作品について、ステントグラフトでの血管造影は難しいのだが、うまく立体的に撮影しており素晴らしかった」(栗林幸夫氏)、「CTの進歩は素晴らしいが、まだまだ日本の診療放射線技師にできることは多い。被曝低減やさまざまなアイデアを研究してもらいたい」(辻岡勝美先生)との総評が述べられた。
 MR部門では、「応募された施設の方々は、良く研究されていると感じた。非造影のMRなど、東芝製品を最大限活用していた」(似鳥俊明氏)、「昨年足りなかった点を補った、継続性のあるプレゼンテーションが多かった。こういった試みは素晴らしいことだと思う」(大友 邦氏)、「今回は特にレベルが高かった。メーカーサイドの発想を超えた、ユーザー独自の工夫が見られた作品に特別賞を授与した」(扇 和之氏)、とそれぞれの審査員が語った。
 超音波部門では、「超音波の診断能力を示す、見事な作品が多かった。我々審査員も、本当に驚いた」(吉川純一氏)、「受賞施設については、ドクター同士の連携、ドクターと診療放射線技師との連携を感じた。来年も、機動性など超音波の良さを活用した応募を期待する」(松尾 汎氏)、「全体的にレベルが高かったが、飛び抜けて良いものがなかった。例年応募が多い肝細胞癌などについて、入賞に至る症例が少なかった。来年の応募に期待する」(水口安則氏)、「整形領域が多く、また非常に優れたものが多かった。来年は第20回という節目の会。今年よりもさらにレベルの高い応募を待っている」(金田 智氏)との総評があった。

 最後に、綱川 智氏(同社代表取締役社長)が「患者様やお客様の健康、医療の安全確保が我々の義務であると認識している。また、低被ばく・低線量技術を世の中に普及させたいという思いを常に抱きながら製品開発に励んでいる。今回で画論は19回目となったが、来年は20回という節目の回。来年も活気のあるものにしていきたい」と挨拶を述べた。

◎CT部門
<1~16列部門>

【最優秀賞】
倉敷中央病院  症例名:左S状静脈洞血栓症
【テクニカル賞】
刈谷豊田総合病院  症例名:大量吐血、ショックバイタルにより救急搬送された一例
【優秀賞】
吉田病院  症例名:肝細胞癌に対するTACE後の治療効果測定
玉造厚生年金病院  症例名:THAにおけるCT-VR像を用いた大腿骨頸部前捻角の計測

<32~160列部門>
【最優秀賞】
横浜市立大学附属市民総合医療センター  症例名:奇静脈葉を伴う右上葉より発生した原発性肺癌
【テクニカル賞】
公立陶生病院
  症例名:海綿静脈洞部硬膜動静脈痩
【優秀賞】
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院  症例名:左頬部悪性神経鞘腫
九州厚生年金病院  症例名:頭頸部血管形成異常
宗像水光会総合病院  症例名:前交通動脈未破裂脳動脈コイル塞栓術前の腕頭動脈・左総頸動脈共通栓の描出
日本鋼管福山病院  症例名:異所性右胃静脈還流
徳島健生病院  症例名:原発性肝癌に対するCT下PEIT療法

<心大血管部門>
【優秀賞、テクニカル賞】
九州厚生年金病院  症例名:複雑心奇形
※最優秀賞は該当なし

<Aquilion ONE部門>
【最優秀賞】
富永病院  症例名:もやもや病(疑い)
済生会熊本病院  症例名:大動脈ステントグラフト内挿術後エンドリーク
【テクニカル賞】
木沢記念病院  
症例名:心筋梗塞
【特別賞・アイデア賞】
高瀬クリニック  
症例名:代償性心筋性期外収縮(PVC)二段脈のone beat撮影
【特別賞・被ばく低減賞】
岩手医大循環器医療センター
  症例名:大動脈縮窄症 心室隔欠損症
【優秀賞】
湘南鎌倉総合病院  症例名:脳動脈洞血栓症
秋田県立脳血管研究センター  症例名:右円蓋部髄膜腫
秋田県立脳血管研究センター  症例名:右内頸部動脈閉塞
山梨大学医学部附属病院  症例名:左下葉肺癌術前精査における呼吸・心電図同期撮影
国立がん研究センター東病院  症例名:肝細胞癌
昭和病院  症例名:小腸出血
NTT東日本札幌病院  症例名:閉塞性冠動脈瘤
木沢記念病院  症例名:心筋梗塞

◎MR部門
<1/0.5/0.35テスラMR部門>

【最優秀賞】
済生会若草病院  症例名:下肢静脈瘤

<1.5テスラMR部門>
【最優秀賞】
揖斐厚生病院  症例名:透析shunt血管
【特別賞】
等潤病院  症例名:左内頸動脈高度狭窄
戸畑共立病院  症例名:頸動脈高度狭窄(“High Speed MRA”による血管狭窄病変の評価)
川崎医科大学病院  症例名:Time-SLIP法併用cine dynamic MRCPによる膵液の流れの可視化と膵外分泌機能評価への応用
【優秀賞】
済生会若草病院  症例名:下肢静脈瘤
蓮田病院  症例名:下肢静脈瘤術語残存静脈瘤
梶井町放射線科クリニック  症例名:心臓腫瘍
島根県立中央病院  症例名:解離性大動脈瘤
KKR札幌医療センター  症例名:肺動脈非造影Time-SLIP法MRA〜画質の変遷〜
蓮田病院  症例名:肝血管腫
聖霊病院  症例名:臍帯下垂・臍帯動脈奇形
恵寿総合病院  症例名:手根管症候群

<3テスラMR部門>
【最優秀賞】
住友別子病院  症例名:乳癌
【優秀賞】
住友別子病院  症例名:透析shunt血管狭窄
東京女子医科大学病院  症例名:中脳水道狭窄症

◎超音波部門
<心臓部門>

【最優秀賞】
京都大学病院  症例名:巨大右冠動脈瘤を合併した腸管ベーチェット病の1症例
【優秀賞】
社会保険紀南病院  症例名:冠動脈左房痩を形成した左房粘液腫
国立循環器病研究センター  症例名:妊娠・出産を経験された巨大左回旋枝−右房痩の一例
倉敷中央病院  症例名:完全左脚ブロックを契機に心エコーで発見された左心室内腫瘍の一例
大阪労災病院  症例名:Valsalva動脈瘤心房中隔内破裂

<血管部門>
【最優秀賞】
東邦大学医療センター大橋病院  症例名:左鎖骨下動脈閉塞症
【特別賞・Viamo賞】
関西電力病院  症例名: Valsalva負荷にて伸縮する腸骨静脈血栓
【優秀賞】
武田総合病院  症例名:肝動脈瘤
東邦大学医療センター大橋病院  症例名:上腕動脈仮性動脈瘤
東邦大学医療センター大森病院  症例名:下大静脈フィルタを超えて伸展した可動性血栓

<腹部部門>
【最優秀賞】
東京医科大学病院  症例名:気腫性腎盂炎
【優秀賞】
旭川厚生病院  症例名:AP shuntを伴った腫瘤像
取手北相馬保険医療センター医師会病院  症例名:虫垂腺癌と杯細胞カルチノイドの混合腫瘍
紀南病院  症例名:エルシニア腸炎
藤枝市立総合病院  症例名:膵頭部仮性動脈瘤

<表在部門>
【最優秀賞】
NTT東日本札幌病院  症例名:関節リウマチ
【優秀賞】
立川記念病院  症例名:腓骨筋腱脱臼
東邦大学医療センター大橋病院  症例名:エコーガイド下鼻骨骨折整復固定術
埼玉協同病院  症例名:Elastographyが診断に有用であった浸潤性乳管癌

◎審査員
【CT部門】
森山紀之氏(国立がん研究センターがん予防・検診研究センターセンター長)
片田和広氏(藤田保健衛生大学医学部放射線医学教室教授)
栗林幸夫氏(慶應義塾大学医学部放射線科学教室教授)
吉岡邦浩氏(岩手医科大学医学部放射線医学講座准教授)
辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学医療科学部放射線学科准教授)
八町淳氏(長野赤十字病院中央放射線部副技師長)
山口隆義氏(北海道社会保険病院放射線部副技師長)

【MR部門】
似鳥俊明氏(杏林大学医学部 放射線医学教室教授)
大友邦氏(東京大学大学院医学系研究科放射線診断学教授)
扇 和之氏(日本赤十字社医療センター放射線診断科部長)

【超音波部門】
吉川純一氏(西宮渡辺心臓血管センター院長)
竹中克氏(東京大学医学部附属病院 検査部講師)
松尾汎氏(医療法人松尾クリニック・松尾血管超音波研究室室長/藤田保健衛生大学客員教授)
平井都始子氏(奈良県立医科大学附属病院 中央内視鏡・超音波部准教授)
水口安則氏(国立がん研究センター放射線診断科医長)
金田智氏(東京都済生会中央病院放射線科部長)
畠 二郎氏(川崎医科大学附属病院検査診断学内視鏡・超音波部門教授)