株式会社島津製作所、「第103回レントゲン祭・記念講演会」を開催~医療現場の負荷軽減と安全性向上に寄与する技術を紹介~

2026.02.18

 株式会社島津製作所は2026年2月10日、同社大ホールにて「第103回レントゲン祭・記念講演会」を開催した。同社ではX線を発見したヴィルヘルム・レントゲン博士の功績を讃え、同氏の命日である2月10日に同行事を毎年開催している。

 最初に、園木清人氏(島津製作所常務執行委員・医用機器事業部長)が登壇。式辞として、同社のX線画像診断装置の歴史と、医療現場の負荷軽減と安全性向上に寄与する取り組みを紹介した。

 1つ目には、血管撮影装置の機能強化が挙げられた。同氏は、「当社の血管撮影システムはAI技術を用いてX線透視の被ばく量を低減しながらも、医療用デバイスの視認性を向上させる画像処理技術や、医師主導でも円滑な操作が可能」だと説明。音声を用いたステント強調処理など13種類の画像処理を行うことができる機能を昨年7月に拡充、Cアームの変更の音声操作も可能となり、さらに検査効率を高めていると強調した。

 2つ目には、X線撮影室のポータブル撮影における業務改善が挙げられた。「X線の検出と画像処理を行うデジタルラジオグラフィを搭載した回診用X線装置は、様々な臨床現場で利用されている一方で、操作者の熟練度の差により、撮影角度の差異や再撮影による被ばくの増加の発生などの課題があった。 昨年4月に当社が発売した新型回診用X線撮影装置『MobileDaRt Evolution MX9 Version』では、撮影部位との角度や距離を自動的に算出・測定できるカメラと、カメラ画像を用いて正確な位置決めを支援する機能を搭載し、位置決め不良による再撮影の削減、業務効率化と被ばく低減への貢献を目指している。また、この新型装置には、手術用ガーゼや外科用縫合針などの体内残存物、チューブやカテーテルなどの治療用デバイスをAI技術により装置本体の大型モニターに強調表示するソフトウェアが搭載可能。体内残存物や治療用デバイスの目視確認を支援することで、画像診断の精度と患者様の安全性の向上に貢献している。」と述べた。

園木清人氏(島津製作所常務執行委員・医用機器事業部長)

 続いて、山本靖則氏(島津製作所代表取締役社長)が壇上に上がり、祭詞を捧げた。同氏は「X線の発見が医学を大きく発展させた」と語り、ノーベル賞以外のすべての賞を辞退し、特許の取得も断ったというレントゲン博士の人柄に触れて哀悼の意を表し、献花を行った。

山本靖則氏(島津製作所代表取締役社長)

 式典後は、記念講演会が開催された。尾尻博也氏(東京慈恵会医科大学放射線医学講座担当教授)が、壇上に立ち、「放射線医学エトセトラ」を講演した。   

 同氏は、「1985年、X線はレントゲン博士が発見した。当時物理学で最先端のテーマの陰極線の研究中に、陰極線管に通電すると蛍光板が発光することで偶然見つけたものだった。この発見により、レントゲン博士はノーベル物理学賞を受賞し、医学の発展に大きく寄与した。

 その後、X線技術は、さらに進化を遂げ、イーストマンコダック社が写真フィルムを開発したり、画像を見るためにシャーカステンが製造されたりして、画像診断は大きな飛躍を遂げた。また最近はデジタル化され、より手軽に画像診断が可能になり、さらに医学が発展してきて今日に至っている」と語った。

 同氏は「画像診断はステップにわけて行われる。まずは所見の記載から始まり、経過観察や再発の発見などに続く。さらに病歴や他の検査結果、過去画像、報告書などを併せて総合判断する場合も多く、その結果がステップ診断となる。

 また注意すべき点としては、画像診断報告書の重要情報が医療チームで1番大事だ。報告書を確認しない、報告書を見たが、重要所見の記述の見落とし、重要所見を認識したが、対応の失念などにより、医療ミスが起こるので気をつけたい。

 我々の病院でも、医療ミスが起こり強く反省している。対策として外部委員を中心とした診療情報共有改善検討委員会が立ち上がり、医療事故の根本的な分析や情報共有体制の再発防止策を策定し、事故防止を推進している」と述べた。  最後に同氏は「我々の大学でも慈恵医大本院や西部医療センター、葛飾医療センター、柏病院などに島津製作所の製品を使用している。西部医療センターは今年の1月から稼働している、新たな病院だ。同社の血管撮影装置を導入しているが、高画質、低線量プラス高い操作性で選定した。私も実際に使用しており、恩恵を感じる日々である」とまとめた。

尾尻博也氏(東京慈恵会医科大学放射線医学講座担当教授)