MY BOOKMARK No.7 感染対策と作業効率を向上させる私のお気に入り!!

2021.11.29

社会医療法人社団 石心会 川崎幸病院

石田和史 先生

はじめに

 2019年12月31日13時41分コロナウイルスの最初の報道がされたと言われている。私は12月初旬この記事を書いているが、もうすぐCOVID-19発生から1年になる。現状は夏の第2波を超え、冬の第3波は更に厳しくなる事が予想され、予断を許さない状況が続いている。
 このような状況下の私にとってお気に入りは、感染対策に無くてはならない物ともう1つは一部の読者にとって仕事の環境改善に繋がるだろうニッチな商品について紹介させて頂きたいと思う。少しでも読者の皆様の役に立てば幸いである。

① コロナマスカー

 最初に紹介したいお気に入りは、感染対策に非常に有用なコロナマスカーである。この商品はCovid-19の登場で医療現場に急速に広まった商品ではないだろうか(図1)。
 この商品はコロナ処理をされたマスキングテープと養生シート(ポリシート)を一体化させた養生資材で、本来家などを養生するのに使用されている物であるが、感染対策に利用できる部材として病院内にも一気に広まった。
 検査においてCovid-19の対策を考えたとき、特出すべきは感染力の高さである。感染を広めないためにはすべての患者がCovid-19を持っているかもしれないと考えて検査を行う必要がある。私はCT検査を担当しているが、感染対策をどうするべきか、クラスターを作らない。広めないためにはどうするべきか。当初対策にとても悩んだ事を覚えている。ただただ患者毎の清掃には力を入れ全ての場所をアルコールで吹き上げるとして対策を行っていた。
 そんな中で最初に問題になったのが寝台にひいているタオルであった。当院ではそれまで寝台にタオルをひき、患者毎にタオルを変える事で清潔を保っていたのだが、患者はCovid-19を持っているかもしれないという想定で検査をした場合そのタオルの処理が問題になったのである。タオルを袋に入れ2週間保管した後に患者のCOVID-19感染の有無を確認しクリーニングに出すか廃棄するかを決めるという運用である。CTの検査件数がおよそ80件弱ですべての検査患者を対象とし2週間は保管場所を考えると現実的な方法という事は出来なかった。
 そこで次に考えたのが、覆布(メディシーツ・NSアルファシーツ)をタオルの代わりにひくというものであった。これに関してはCovid-19が問題になる前から寝台の汚染防止などで使用していた経験があり簡単に広める事ができた。しかし、これも問題が噴出し使用を考える事になった。ゴミ問題である。覆布で寝台を覆うのに必要な枚数は3枚程度必要であったが、それぞれが非常にかさばりごみの量としてはかなりの量になってしまうのである。それこそ一日に何度も感染ごみの箱を変える必要に追われ、業務を煩雑化させた。また、Covid-19の終息はいつなのか。いつまで対策が必要なのかも解らない状況のなか防護衣マスクだけでもかなりのコストアップになる。覆布3枚分のコストアップも可能であれば抑えたかった。

図1 コロナマスカー

 それならばいっそ寝台を保護するのではなく、拭き掃除を強化し寝台の清掃をより徹底するという当初の方法に立ち返る事も考えたが、患者の固定バンドなど清掃をやり切るのは難しい部分もあり、リスクが残ってしまう事は容易に想像できた。何より検査スループットが著しく落ちてしまうという大きな問題も残っていた。
 中々よい素材に出会えなかった時に私が出会ったのがコロナマスカーであった。ERで救急救命士さんたちが壁や棚 スイッチ類を養生する事で、直接スタッフや患者が触れる事の無いよう、また清掃の際に簡単に交換ができるよう利用していた。
 コロナマスカーの導入以前は振れた可能性がある場所を全て清掃する必要があり拭き掃除を行っていたが、スタッフ全員の清潔操作、感染対策など教育を行きわたらせることも難しく、少なからずスタッフの意識差や、経験で触れた場所の考え方や清掃のやり方が多岐に渡ってしまっていた。とうぜん少なからずリスクがあり問題を感じていたのだが、コロナマスカーは養生自体が触れてはいけない場所という認識を強めてくれ、触れる事への抑制効果を生んでくれた。また、触れてしまっても簡単に交換できるという事は大きなメリットがあった。更に、コロナマスカーはネットで購入しても15.5mで500円程度とコストの面でも優秀であり、私たちは壁だけでなくCTの寝台にもコロナマスカー利用する事を決めた(図2)。

図2 コロナマスカーによる寝台保護

 コロナマスカーのサイズ展開はネットで調べる限り様々なサイズ展開がされているが、私たちは2,600mm×15.5mの物を使用している。どの長さを選択するかはそれぞれの施設で寝台の縦(長さ)方向のどこまで保護したいかで長さを考えるとマスカーのテープ部分を上手く使用できるのでやり易いと思う。私たちが選んだのは2,600mmでモニターなど寝台に乗せたい物がたくさんある場合にはもう少し長い方が使いやすいかもしれない。寝台の保護したいサイズで選択する事で、コロナマスカーをテープで貼って、使いたい長さでシートをカットすればあとはシートを伸ばすだけで簡単に検査開始できる状態になる。
 次にカットであるが、私たちは寝台を下げた状態で寝台を覆うことが出来るよう1.5mを通常サイズとしてカットを行っている。また独歩患者ばかりで簡単に寝台移動ができる患者ばかりであれば1.1m程度で問題ないと考えている。1.5mの長さに関しては体幹の抑制バンドの汚染時の清掃負担を考え、患者を包み込むことができる長さでカットを行っている。患者を包み込んだ後に抑制バンドを行う事で抑制バンドが患者に振れないよう保護している。1.1mを選択し抑制が必要な場合は、抑制帯の保護は覆布を切った物を用意し抑制バンドと患者の体に覆布を挟んで清潔を保つ必要があり、煩雑な作業になる。抑制帯の保護が必要なければ1.1mの方がコスト面で優秀だが、通常検査では長くシートをカットする方が検査スループットの解決になるので、おすすめしたい。
 次にマスカーをカットする時の作業効率を上げるため工夫を紹介したい。私たちは予め段ボールを1.5mの長さに切った物を容易し効率をあげている。用意しておくことで、カットする長さを毎回計る必要がなくなり、毎回のばらつきを抑える事ができる(図3)。

図3 カットの作業効率向上 茶1.1m 緑まで1.5m

 また、中途半端な長さが残ってしまうリスクも軽減できる。1.5mは10回でだいたい使いきれる計算になるので、1日の検査件数で準備するロール数も把握しやすく、資材の管理もしやすくなるメリットもある。何より検査室外でもマスカーの検査準備が可能になるので、効率が非常によくなるのでおすすめしたい。
 コロナマスカーは材質から静電気である程度寝台にくっついてくれるので、非常に利用しやすく、廃棄も小さくまとまるのでとても有用である。Covid-19との付き合いもまだまだ長くなってしまいそうな今、楽に清潔が保てコストも抑えられるので寝台の保護にコロナマスカーを使用するのは私の最近一番のお気に入りである。
 因みに豆知識だが、コロナマスカーを利用していると名前から「Covid-19専用なのですか」と質問されることがあるが、この製品はポリフィルムの表面加工をコロナ放電加工という加工で表面に細かい凹凸を作っている。この表面加工からコロナと名付けられているので、なにかの時に話のネタにして頂きたい。

② 多ボタンマウス

 次に紹介したいのは多ボタンマウスである(図4)。
 私は主にCTに従事し仕事をしているが、CTで撮影した画像をそのまま臨床科に提出するのではなく、ワークステーションの処理で画像を解りやすくしたり、手術の支援をしたりと画像に後処理を行う有用性は近年どんどん増してきている。当然後処理が業務にしめる割合もどんどん増えてきているが、そんな作業効率を上げてくれるのが多ボタンマウスである。
 多ボタンマウスの導入のメリットは名前の通り多くのボタンをマウスのみで操作できる事である。例えば私はZIO Station2で使用しているが、マウスのボタンにShiftキーとAltキーを割り当てておけばほとんどの事をマウスのみで完結できる。ボタンが多ければ例えば拡大ボタン(Shift+右クリック)濃度調整ボタン(Shift+左クリック)などをそれぞれで作ってしまうのも作業効率を上げてくれる。
 また可能であるならばゲーミングマウスなどDPIの変更が変更可能なマウスであればマウスの感度変更も可能になるのでおすすめである。
 DPIとは“Dots Per Inch” の略で、マウスを1インチ動かした時に画面内でカーソルが何ドット動くかを示す数値のことで、ゲーミングマウスであれば専用のドライバで設定出来たり、ボタン1つで簡単に切り替えることが可能で、DPIが高いほどマウスの細かい動きが正確に伝わり、低いDPIは細かい作業が得意になる。Coronaryの解析で石灰化の間や細かい蛇行のパスなどをひくのが苦手な人は低DPIで解決できるかもしれない。
 よく似た物にWPS(Windows Pointer Speed)があり(図5)、WPSはwindows側で設定できるマウスポインターの速度を示す。WPSはDPIの乗数であり1~11で設定することが出来、数字が大きいほどポインターの速度が速くなる。同じ様な事が出来るように見えるがDPIは入力データを変えているのに対しWPSは乗数を変えているだけなので、カーソルのかくつきなどがでる場合があり、理由がない場合ゲームなど正確な操作が必要な場合等倍の6を使用する事が推奨されている。
 少しマニアックな話であるが、これらを極めるとマウス操作を自分の感覚とかなり近くすることが可能で、いちいち考えなくてもマウス操作できるようになるので、作業効率を大きく向上する事が可能である。マウス操作業務が多い方に是非ともおすすめしたい。
 ワークステーション作業をずっとやっているとこのマウスはやり易い。このマウスはやり難いと感じた事は誰でもあるのではないだろうか。例えばLogicoolのゲーミングマウスG300SrはAMAZONで2,000円程度で購入できる。2,000円程度で多くのストレスを解消できるならかなりコスパの良い導入であると私は考えている。ワークステーションの操作性はこれで大きく向上する事が可能である。私はワークステーションに従事する事も多いので専用のマウスを用意し軽微であるが感染対策と操作性向上を行っている。
 因みに導入のためにAMINにマウス、ドライバのインストールが可能か確認した所、本体は薬事のため難しいが、ネットワーク型の子機に関しては問題ないとの事であった。情報として共有しておきたい。当院ではペンタブを接続した経験もあるがペンタブもパスひきなど良好とスタッフの意見もあったので必要によっては検討しても良いかもしれない。

図4 多ボタンマウス(ゲーミングマウス)
図5 WPS

おわりに

 以上2点が私のおすすめするお気に入り2点である。感染対策と仕事環境の改善と直接臨床の事でないのが申し訳ないが、どちらも大きく業務を改善するものと考えおすすめさせて頂いた。
 読者の皆様の少しでもお役に立てれば幸いである。