MY BOOK MARK No.48 整形外科撮影を考慮した最適な一般撮影装置の紹介 ー長尺撮影装置と立位昇降台を組み合わせたシステムの利点ー

2022.06.03

はじめに

 2022年3月に、当院一般撮影室の装置更新があり、全診療科において一般撮影で行われるX線検査が可能な装置の導入を考えていた。全診療科においての一般撮影検査といっても、一番多く撮影されるのが胸部・腹部撮影であり、撮影枚数で考えると約半数を占める。またその他骨撮影等での撮影枚数は全体の半数となるが、その依頼科は整形外科が大半を占める。整形外科領域での撮影部位は全身におよび様々な撮影法によって撮影が行われている。近年、整形外科領域での撮影法が、脊柱や関節等の痛みや異常がある部位の形態のみを観る撮影から、全身の機能を評価する撮影が行われるようになった。例えば、股関節の異常で来られた患者の撮影は、以前は臥位の股関節撮影のみであったが、現在は立位での股関節、加えて立位での全下肢(股関節から足関節までの長尺撮影)の撮影が行われている。また、腰痛で来られた患者の撮影においても、以前は臥位での腰椎4方向等の撮影であったが、近年は立位での腰椎撮影に加え全脊柱(頸椎から腰椎、骨盤までの長尺撮影)の撮影が行われている。

 今回新しく導入された一般撮影装置はそれら立位撮影・長尺撮影をより安全に、また迅速に撮影できることを目的として装置導入を行った。本装置の構成と利点等を紹介する。

図1 一般撮影装置構成
a 立位・臥位撮影台
b 立位長尺撮影システム+立位昇降

装置構成

今回更新した一般撮影室に導入した装置を以下に示す。

X線撮影システム FUJIFILM DR BENEO-Fx 

・立位撮影台 FUJIFILM DR CALNEO PU

 使用パネル:CALNEO Smart1717(CsI)

・臥位撮影台 FUJIFILM DR CALNEO PT

 使用パネル:CALNEO HC SQ(CsI)

・立位長尺撮影システムFUJIFILM DR CALNEO GL

 使用パネル:CALNEO GL1(GOS)

・立位撮影台 SR-2L 三協(株)

 フリーパネル CALNEO Smart min(i 1012)(CsI):4つ切りサイズ

        CALNEO C 1417( CsI):半切りサイズ

 X線撮影システムは、富士フィルムメディカルのFUJIFILMDR BENEO-Fx、で、立位撮影台、臥位撮影台、立位長尺撮影システムとなり、立位長尺撮影システムFUJIFILM DR CALNEOGLの前に三協(株)の立位撮影台SR-2Lを配置している。立位撮影台、臥位撮影台の写真を図1aに示す。また、立位長尺撮影システムと立位撮影台を組み合わせた写真を図1bに示す。

 使用パネルは、立位撮影台にCALNEO Smart1717(シンチレータ:CsI)、臥位撮影台のCALNEO HC SQ(シンチレータ:CsI)、四肢撮影等に使用する、フリーパネル2枚(4つ切りサイズ:CALNEO Smart mini 1012(シンチレータ:CsI)、半切りサイズ:CALNEO C 1417(シンチレータ:CsI)、立位長尺撮影システム、17×49インチサイズ:CALNEO GL1(シンチレータ:GOS)となり、長尺サイズを入れると、合計5枚のFPDパネルを使用している。パネルのシンチレータは、長尺サイズのみオキシ硫化ガドリニウム(GOS)でその他は、GOSより感度の高いヨウ化セシウム(CsI)となっている。

 また、撮影コンソール用のコンソールは、立位長尺撮影システム用とその他のパネル用として2台のコンソールが設置されている。

装置の配置

 装置の配置図を図2に示す。装置設置の工夫として、立位撮影台(FUJIFILM DR CALNEO

PU)と立位長尺撮影システム(FUJIFILM DR CALNEOGL)を対面させて設置し、両装置のX線中心を合わせるようにした(図2参照)。そうすることにより、X線管を180度回転させ、SIDをそれぞれの撮影装置に合わせることにより、立位撮影台を使用しての撮影(胸部撮影等)後、立位長尺撮影システムを使用しての撮影(下肢全長撮影や膝立位撮影、足立位撮影等)が迅速に行えるようになった。

図2 装置配置図

立位長尺撮影装置と立位昇降台の組み合わせについて

 立位長尺撮影システム(FUJIFILM CALNEO GL)と三協(株)社製の立位昇降台の両システムの仕様を以下に示します。また、両システムを組み合わせた写真を図1bに示します。

・立位長尺撮影システム(FUJIFILM CALNEO GL)

 撮像範囲最大:17×49インチ

 (全脊柱:14×33インチ、下肢全長:14×40インチ等)

 装置内蔵グリッド(ロングタイプ)

 8:1 40本/cm 焦点距離200cm スペーサー:Al

・立位昇降台 SR-2L 三協(株)

 最大耐荷重150㎏まで:最大上昇値40cm

 立位長尺撮影システムと立位昇降台との組み合わせた本システムは、近年急増している、立位全脊柱撮影、立位両下肢撮影、また、立位膝関節撮影、立位足撮影等々、立位がかろうじて可能な患者、また、手すりなどを持たないと立てない患者等々により安全にまた、長尺撮影では1回曝射で長尺撮影が行えるため、患者への負担、撮影技師への負担が大幅に軽減された装置となっている。詳しい利点は撮影部位毎に以下に示す。

1. 立位長尺撮影(全脊柱、下肢全長)

 本システムを用いて全脊柱立位正面・側面撮影、立位下肢全長の撮影風景、臨床撮影例を図3a、bに示す。図3aの全脊柱撮影では側面撮影時の様に、患者が自立での撮影を基本とするが、立位するのがやっとの患者が多く、撮影時の動きや転倒等のリスクが伴うため、立位昇降台の手すりを持った状態で撮影することも多くある。本立位長尺撮影システムは1回曝射で長尺撮影が行えるため、動きなどの再撮影が少なくなり、患者や撮影技師の負担が大幅に減少するシステムである。ちなみに、本院の骨撮影を行っている3検査室での立位長尺撮影システムは2回、3回の複数回撮影をつなぎ合わせるシステムのため、全脊柱側面撮影では動きによる再撮影も多く発生し、患者への負担も大きい。また、2回、3回の複数回撮影では、手動で画像のつなぎ合わせを確認し、長尺画像を作成するため、撮影後の処理時間がかかり、撮影技師の負担が大きかった。本システムで撮影することにより、より安全に、かつ患者・撮影技師への負担は減少した。また、動きによる再撮影も減少した。

 図3bの立位下肢全長撮影においても同様に、1回曝射での長尺撮影が可能なため、上記と同様に患者、撮影技師の負担は軽減した。

2. 立位撮影(立位足側面、膝関節正面・側面)

 本システムを用いて、立位撮影(足側面、膝関節正面・側面)をそれぞれ、図3c、dに示す。図3cの立位足側面撮影では四つ切FPDパネルを無線で使用して撮影する。撮影手順は、①患者に横を向いてもらい、撮影台の手すりを持ってもらう、②4つ切FPDを撮影台中央部の溝にはめ込み、両足でFPDを挟んでもらう、③立位昇降台を15cmほど上げる、④X線管を下げ、X線中心を足の裏部へ合わして撮影する。本撮影は立位昇降台が15cmほど上昇するが、患者は手すりを持ち、また昇降台が広く安定しているため患者を安全に撮影可能である。

 図3dの立位膝関節正面・側面撮影では、長尺撮影装置(GL)の下段パネル(17×17)のみを使用して撮影を行う。膝側面の撮影手順は、①患者に横を向いてもらい、撮影する側の膝(図では右膝)の位置を調整する、②反対側の左膝を前の台に乗せてもらう(両手は前の手すりを持つ)、③後ろに回り、右膝の側面性を調整する、④最後にX線中心を確認し撮影する。不安定になる側面撮影も、反対側の足を前に乗せ、手すりを持つことにより安定し、安全に荷重した状態での撮影が可能である。

 撮影を行っており、今回本システムを用いることで、画像処理時間が大幅に短縮することが可能となった。また今後は撮影線量の低減も検討していく予定である。

図3 立位撮影
a 立位長尺撮影(全脊柱)
b 立位長尺撮影(下肢全長)
c 立位撮影(足側面)
d 立位撮影(膝関節正面・側面)
図4 臥位長尺撮影(大腿骨全長)

臥位長尺撮影

 臥位撮影台を用いての臥位長尺撮影について説明する。図4に臥位長尺撮影(右大腿骨全長)の撮影方法と臨床例を示す。まず、患者に臥位撮影台に仰臥位で寝てもらい、①大腿骨中央にX線中心を合わし、②X線管を頭側へ回転させて、腸骨上縁にX線中心を合わせる(撮影範囲の上限決定:0cm)、③X線管を足側へ回転させて、大腿骨下縁にX線中心を合わせる(撮影範囲の下限決定:約60~70cm)、④setボタンを押し、撮影準備完了。⑤曝射スイッチを押し続けると、図4の1. 大腿骨上部、2. 大腿骨下部の2回撮影を連続して行い、上下2枚の画像を自動でつなぎ合わせて1枚の大腿骨全長の長尺画像となる。当院では、今まで臥位長尺撮影はすべてComputed Radiography(CR)撮影を行っており、今回本システムを用いることで、画像処理時間が大幅に短縮することが可能となった。また今後は撮影線量の低減も検討していく予定である。

自動ポジショニング機構

 X線管は1管球のみでの運用のため、自動ポジショニング機構を用いている。現在、①立位撮影台を用いて撮影する、胸部・腹部立位撮影(SID:200cm)を行うポジション、②臥位撮影台を使用する、臥位ブッキー撮影でのポジション、③立位長尺撮影システムを用いて撮影するポジション(SID:200cm)の3ポジション位置を設定して使用している。本機構はX線管が2台ある撮影室(当院では一般撮影7検査室中5検査室は2管球仕様)と比べるとX線管同士の干渉が無いことにより、撮影作業の効率化等が図れるが、今回の1管球仕様ではX線管移動時の患者やその他の機器への接触事故が起こらないよう、注意が必要である。

本システムの利点と今後の展望

 立位長尺撮影装置(GL)と立位昇降台の組み合わせることで、立位長尺撮影時、および立位足側面、立位膝関節等の撮影において、より安全に撮影が行うことができた。また、立位長尺撮影において、1回曝射での長尺撮影が可能なため、動きなどの再撮影が減少し、また手動での画像確認が不要となったため、患者および撮影技師の負担は軽減した。

 さらに本システムの新しい画像処理、ノイズ低減処理や散乱線補正処理等を用いて、若年の特発性側弯症患者の全脊柱撮影の大幅な被ばく線量低減や散乱線補正処理を用いて、グリッドを使用しない画像においての被ばく線量低減等を今後進めて行きたいと考えている。

まとめ

 今回、当院に新しく導入された一般撮影装置の紹介を行った。本装置は近年、整形外科領域で多く依頼される、立位での長尺撮影や機能撮影時に、より安全でかつ効率よく撮影可能なシステムになっており、整形外科撮影を考慮した最適な撮影システムであると考える。