第61回 関西Interventional Radiology(IVR)研究会参加報告記

2016.08.16

第61回 関西Interventional Radiology(IVR)研究会の参加レポートを上硲先生(和歌山県立医科大学放射線医学講座)にご寄稿いただきました!

会場入口の立て看板
はじめに
 2016年6月25日、第61回関西Interventional Radiology(IVR)研究会が大阪市北区堂島のホテルエルセラーンで開催され、私は演題発表を行った。また、大変な重責ではあるが、放射線科入局3年目、医師5年目の若輩者である私が関西IVRの参加印象記の執筆を拝命することになった。私自身の経験や知識が不足しており、つたない文章ではあるが、最後までご一読いただければ幸いである。
 当日の天候は梅雨時期らしく高温多湿かつ雨であった。自宅のある和歌山市内から電車に揺られること1時間半ほどで会場近辺に到着した。着慣れないスーツを着込み、背中には汗がじっとりとにじんでいた。吹き出る汗をぬぐいつつ、ホテルエルセラーンに到着した。ホテルの一階入り口には見慣れた看板が立てかけられており(図1)、第61回というところに数十年の歴史が感じられた。私は2度目の参加であり、以前も演題発表を行ったがフロアからの質問に対し的確に回答することができず、私自身の未熟さから芳しくない結果となってしまった。たいへん落ち込んだ記憶がある。今回は私にとって名誉挽回の機会でもあった。
 毎年のことではあるが、IVR総会の直後という日取りながらも多数の演題が投稿されるところに関西のIVR熱の高さがうかがえる。今回は40題と昨年同時期の会を上回る演題が集まった。若手からベテラン医師まで幅広い年代のIVR医が一堂に会し、活発な議論を行う。他施設での症例やテクニックなども勉強でき、明日への活力、刺激を得る研究会である。本年は大きく5つのsession(出血、門脈系・肝移植後、塞栓術・その他、ステント・ステントグラフト、合併症とその対策)および教育講演、特別講演、要望演題とボリュームあるラインナップであった。
Session1:出血
このsessionでは8つの演題が発表され、非常に活発な議論が行われた。中でも私が興味を持ったのは奈良県西和医療センターの非外傷腹直筋血腫に対して電気離脱式コイルを用いた症例である。血管炎(IgA腎症)がベースにある患者のため血管攣縮が非常に危惧される状況のため、細径マイクロカテーテルと電気離脱式コイルを用意し、合併症なく塞栓できていた。血管炎の患者の経験数が少ない私ではあるが、このような状況下では塞栓物質としてコイルは避ける傾向にあった。血管攣縮のリスクが高い症例でも安全にコイルを使用できる可能性が示唆され、コストの問題はあるが非常に勉強になった報告であった。
当院からは腎動脈が責任血管であった出血性十二指腸潰瘍の症例を報告したが、過去に論文での報告は見られず、非常に稀な一例であった。本症例では先入観によって、anomalyに気付くのが遅れてしまった。術前にIVR-CTによる責任血管の推定(≒同定)、IVR計画を立てることを重要視しているが、頭の片隅にanomalyの可能性を残しておくという「基本」を再認識させられた症例であった。周囲が騒々しく、無言のプレッシャーのかかる救急IVRの現場でこそ冷静なIVR医でありたいと思った。
Session2:門脈系・肝移植後
このsessionでは6つの演題が発表され、非常に活発な議論が行われた。私は門脈系のIVRを施行する機会が少ないが、いずれの症例も血管走行のvariationに富んでおり、非常に興味深い症例であった。またそのvariationから難渋するcaseが多いとも感じられた。大阪市立大学の膵頭十二指腸切除術後の門脈血栓閉塞に伴う挙上空腸静脈瘤の症例では、ハイブリッド手術室で開腹下での回結腸静脈アプローチによる塞栓術が行われていた。当院でも同様の経験があり、今後は施行できる施設は限られているが、動脈系だけでなく静脈系の症例でもハイブリッド手術室を活用していく必要性を感じた。
Session3:塞栓術・その他
このsessionでは7つの演題が発表され、非常に活発な議論が行われた。最も印象に残ったのが都島放射線科クリニックからの肩関節慢性疼痛に対する経動脈的微細血管塞栓療法(transcatheter arterial micro-embolization : TAME)に関する報告であった。主観的な評価となってしまうVAS値ではあるものの、非常に良好な治療効果が得られていた。私の周囲でも肩関節の疼痛を訴える者は多く、さらなる症例数の増加と多施設による報告が待たれる。当院でもその一翼を担えればと思い、IRBの承認後TAMEを施行していく予定である。
また、関西医科大学を中心にTAMEに関する前向き臨床試験のオンライン症例登録システムが構築されていた。多施設共同前向き臨床試験では通常高価な症例登録システムが必要だが、このGoogleフォームを用いたシステムは、低予算かつ信頼性が高く非常に画期的であった。

★続きはRadFan2016年9月号にてご覧ください!

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