第25回日本乳癌検診学会学術総会 参加印象記

2015.12.01

セントメディカル・アソシエイツLLC/国立病院機構名古屋医療センターの広藤喜章先生より、
第25回日本乳癌検診学会学術総会の参加印象記が届きましたので、ぜひご覧ください!

 
 
第25回日本乳癌検診学会学術総会
参加印象記
セントメディカル・アソシエイツLLC/国立病院機構名古屋医療センター 広藤喜章

 
 
はじめに
 第25回日本乳癌検診学会学術総会が公益財団法人筑波メディカルセンター つくば総合健診センター東野英利子先生総会長のもと、平成27年10月30日、31日につくば国際会議場で開催された(図1、2)。今回のテーマは"いつ受けた? 受けてよかった乳がん検診"と掲げられ、まさに今の時代にマッチした構成となっていた。副題の“受診者のための乳がん検診”は言葉の通り、乳がん検診は乳がんという病気ではなく人を対象としたものという、医療人として当たり前のことながら、ともすると忘れがちな一文であり印象にあった。
 開催されたタイミングから、日本初の大規模なランダム化比較試験「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」の結果に大きな注目が集まったが、筆者の立ち位置から「マンモグラフィ検診における二重読影」と「ブレストトモシンセシス」に絞って報告したい。
 

マンモグラフィ検診の二重読影
 健発第0331058号「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について」(平成20年3月31日)では、"読影は適切な読影環境の下で二重読影により行うもの"としている。しかし、各施設で2名以上の読影医を確保することが困難な場合もある。かといって1次読影のみで結果を確定して良いものなのであろうか。そこで、これまで大きく議論される機会も少なかった、二重読影そのものの意義や有効性についてのワークショップ「マンモグラフィ検診における二重読影について考える」が開催された。まずは聖路加国際病院の角田博子先生より、乳癌検診精度管理中央機構を中心に行われた「検診マンモグラフィの double readingの実態アンケート調査」の詳細な結果報告が行われた。報告によれば、全例で二重読影を行っているものはおよそ65%に対し、全くできていないとの回答は6%であった。また独立判定(どちらかが要精査としたものをすべて精査とする)は57%、第2次読影を優位とするものは23%であった。角田先生からは、本国での二重読影がどのようにして推奨されたかの経緯についての説明もあった。他の講演では、1次と2次の感度や特異度、発見率の違いを詳細に分析した結果についての発表があった。ここでは、背景乳腺により高濃度では二重読影の有用性が認められたとの報告や、ディスカッションでは脂肪性では二重読影は省略できるのではな いか、A-S医師では単独判定でも良いのではないかといった活発な討議も行われた。また、近隣地域でもグループによって判定精度の相違が見ら れたとの報告もあった。二重読影において、独立判定の方が読影精度は均霑化するといった結論であり、前者と多少異なるもので興味深かった。
 一方、現在のデジタルマンモグラフィにおけるデジタルデータを利用したソフトコピー診断技術により、如何に二重読影を効率よく行うかといった講演も行われた。まず、DVDなどでデジタルマンモグラフィデータを中央集荷型のサーバに集め、医師がそこへ出向き二重読影を行うというものである。このとき、被検者IDは一元管理できるよう工夫されており、過去比較が容易に行えるといった内容で、非常に有用な方法であると思われた。また、センターでの読影は、専門医と非専門医が一同に集まり勉強会形式で行うという将来を見据えたものであった。筆者からは遠隔読影における二重読影の有用性と現状の問題点についてまとめ発表した。マンモグラフィは画像容量や二重読影の仕組みなどを考慮すると、一般的な遠隔システムではプアと思われる。それに加え5Mモニタ二面や専用ビューア、レポーティングシステムなど高価な機材の準備が必要となるが、遠隔で重要な点はセキュリティや管理といった面も重視しなければならないことである。無論、本学会の「検診マンモグラフィ遠隔診断に関するガイドライン」に則る必要があることは言うまでもない。これらを考え、現在マンモグラフィの二重読影システムを構築してきたが、複数の依頼施設に対し一医師当たりの読影件数を調整することが可能であり、また育児中などの場合で家庭内の中でも読影が出来るなど、依頼施設側、読影医側の両者に大きなメリットがあるという点を強調させて頂いた。
 ディスカッションでは、読影に精通した医師が行えば一読影でも十分精度を保てるといった意見や、二重読影に対する問題点を耳にすることとなった。個人的には二重読影は必須であり行うことが当然と思っていたため、驚きとともに今後の課題や検診の精度といった、まさに"受診者のための乳がん検診"を考えていかなければならないと痛感したセッションであった。
 

会場外観
会場入口

続きは、RadFan1月号をご覧ください

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