第36回日本IVR学会九州地方会: 参加印象記

2014.02.10

 12月21日にアクロス福岡で開催された、第36回日本IVR学会九州地方会の参加レポートを、熊本大学の井上聖二郎先生にご執筆頂きました!

はじめに
 12月21日にアクロス福岡で第36回日本IVR学会九州地方会が開催された。当日の天候は残念ながら雨天であった。演題数は医師口演が20題、看護師口演が2題、放射線技師口演が4題、ポスター発表が24題の計50演題であり、我々の施設からは8演題を発表した。

Non-VascularSessions
 Non-Vascularの発表では長崎県島原病院の小幡史郎先生の「直腸癌術後の巨大腫瘍局所再発に酵素標的・増感放射線療法(KORTUC: Kochi Oxydol RadiationTherapy for Unresectable Carcinomas)」が非常にインパクトがあった。放射線治療において低酸素細胞は治療効果を低下させる要因として知られており、大きな腫瘍になるほど、腫瘍中心には低酸素細胞が存在する。そこで、放射線増感剤として過酸化水素を腫瘍内に注入することで、放射線治療効果を高める方法こそKORTUCであり、高知大学の小川らにより開発された方法である。具体的には0.5%過酸化水素+0.83%ヒアルロン酸を超音波ガイド下に腫瘍に均一に気泡が存在するように投与し、これを放射線治療中に週2 ~ 3回施行する。これを最大径13.5cmという、通常の放射線治療単独では制御できないと考えられた直腸癌術後局所再発腫瘍に対して施行し、3年半経過した現在もCEAは正常範囲内、重篤な合併症もなく制御できているとのことであった。筆者も放射線治療医よりその効果の高さを熱く語られた経験があるが、実際施行された症例を見たのは初めてであった。会場からも感嘆の声が多く聞こえた。

Vascular Sessions
 ステントグラフト(以下SG)関連が口演で6例あった。最もディスカッションが熱く盛り上がったのは長崎大学の長山拓希先生の「EVAR直後のtype Ia endoleakに対して瘤内アプローチでのNBCA塞栓が有用であった1例」であった。中枢側Landing zoneが1cm未満のshort neckかつreverse taperというIFU外症例でmainbody上端を腎動脈にわずかにかかるように留置したが、type Ia ebdoleakが予想されるため、ガイドワイヤーをSG外の瘤内に事前留置した。グラフト留置後に確認造影を行ったところ、予想通りendoleak(Ia)が出現したため、留置しておいたガイドワイヤーにカテーテルを沿わせて挿入し、main bodyの中枢および左脚をバルーン閉塞し、造影剤が瘤外へ漏れないことを確認し、同CavityをNBCA-Lipで充填した。わずかに残ったtype Ia endoleakに対し、PALMAZ XLを留置し、完全なendoleak消失を得たとの発表であった。通常type Ia endoleakはバルーンニング追加あるいはextentioncuffを内張することで対処されるため、発表後のディスカッションは、中枢cuffを同レベルに内張することの意義、NBCAによる塞栓を行う事の是非などについて白熱した議論が生じた。
 マイクロバルーン閉塞下TACE(以下B-TACE)は近年全国的に行われるようになったが、今回は九州大学病院別府病院の平川雅和先生の「肝細胞癌に対するミリプラチン使用マイクロバルーン閉塞下TACEとエピルビシン使用TACEの治療成績に関する検討」では、ミリプラチン使用B-TACE群がエピルビシン使用のコンベンショナルTACE群と比較して、局所制御率が有意に高かった。ミリプラチンはシスプラチン、エピルビシンと比較すると局所制御率は落ちるとの報告もあり、バルーン閉塞を行う事は各薬剤の抗腫瘍効果に対する上乗せが推測されるとのことであった。その他にも福岡大学の納 彰伸先生による「肝癌B-TACEにおけるバルーン閉塞前後の血行動態変化:CTAによる評価の初期経験」の発表もあり、最優秀賞を受賞した。結果は、バルーン閉塞前後で行ったCTAによる造影範囲の増減とB-TACE施行後の薬剤分布において、相関が見出せなかった。また、バルーン閉塞により造影範囲が減少し、標的腫瘍の1つが造影されなくなる症例が1症例あったとのことであった。その症例はコンベンショナルTACEを施行された。結果についての解釈や議論は難しい。しかし、B-TACEの治療成績や、手技時における肝内の血流動態について、このような基礎的・臨床的研究が非常に重要と思われる。
 Neuro-interventionとしては大分大学の田上秀一先生が「海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の血管構築の検討」について発表された。Sinusal typeのdAVFではshuntedvenous pouchの有無と存在診断が効率的な治療に重要であることが知られている。海綿静脈洞部のdAVFは半数以上の症例でシャントが集中するshunted venouspouchを有し、それらは患側海綿静脈洞の内側後方や外側後方にparasinouspouchとして存在することが多い。今回の発表では回転DSA/DAによる精査後に加療された海綿静脈洞部dAVF17症例における2D-DSAおよび回転DSA/DA断層再構成像を用いてshunted venous pouchの有無、存在部位、およびそのfeedingarteryを検討されていた。結果は全例shunted venous pouchの同定は可能であり、平均1.9本(1 ~ 4)、存在部位はposteromedial 13 例、posterolateral 11例、medial 2例、lateral 4例であった。Feeding arteryは様々な硬膜・咽頭枝が関与していたが、posteromedialは上行咽頭動脈分枝が、posterolateralには中硬膜動脈の海綿静脈洞枝が、lateralでは中硬膜動脈前枝や正円孔動脈が効率に関与していた。6例はshunted venous pouchの選択的塞栓術、11例にsinus packingが施行され、16例が根治、1例がシャントの減少が見られたとのことであった。複雑な血行動態を示すdAVFの治療戦略を立てるために必要な知識を整理させてくれる発表であり、図表も分かりやすいものであった。最優秀賞として表彰されたのは当然と言えよう。

続きは「RadFan2月号」(2014年1月末日発売)にてご高覧ください。

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