第13回日本IVR学会夏季学術セミナー参加印象記

2015.09.16

2015年8月8日、9日にテルモメディカルプラネックスで開催された、第13回日本IVR学会夏季学術セミナーの報告を公立置賜総合病院放射線科 影山咲子先生にご執筆頂きました!

はじめに
 2015年8月8日より2日間、今年も神奈川県中井町のテルモメディカルプラネックスにて第13回日本IVR学会夏季学術セミナーが開催された(図1)。毎年夏に開催されるこのセミナーは、熟練の講師陣による熱い講義と、生体や血管モデルを用いた実習からなり、例年非常に人気が高く、参加の可否は抽選で決定される。今年もそっと祈る気持ちで申込みをしたのだが、幸運にも昨年の「Beads & PTA」に引き続
き参加する機会をいただいた。今回も「外傷出血(NBCAを用いた塞栓術など)と下肢静脈瘤(含リンパ管穿刺)」という興味深く話題性のあるテーマであり、放射線科医のほか、救急医の先生方も多数参加されていた。充実した設備、モデレーターや講師の方々、施設スタッフの方々の手厚いサポートにより、実りある2日間を過ごすことができた。

講義
 初日の前半はそれぞれのテーマについての講義があり、外傷出血については、帝京大学医学部附属病院の近藤浩史先生、災害医療センターの一ノ瀬嘉明先生から講演をいただいた。近藤先生からは、積極的に外傷診療に関わるためのチーム作り、より迅速に診断やIVRを行うための工夫、さらに実際の症例を多数ご提示いただいた。一ノ瀬先生からは、内腸骨動脈選択の技術、IABOの留置法、NBCAやGS・コイルなどの塞栓物質の選択と下
準備について説明いただき、基本を再確認することができた。
 下肢静脈瘤については、日本医科大学付属病院の小野澤志郎先生、大東中央病院の松井広登先生より先進的な講演をいただいた。下肢静脈瘤の診療は初期研修医の頃に血管外科で少し関わった程度で、自分の現在の業務では治療に携わることがない疾患のひとつである。解剖学的な基本事項からRFAやレーザーを用いた実際の治療方法、治療成績なども紹介いただき、とても興味深かった。なかなか治療技術や資格を取得するのは大変そうだ
が、需要は多いように思われた。また、リンパ系については慶應義塾大学病院の井上政則先生より、リンパ管の解剖からリンパ管造影、胸管塞栓術の適応や方法、起こりうる合併症までご提示いただいた。昨今の学会や研究会で拝見することの多いテーマだったが、より実践的なお話を聞くことができた。
 翌日のランチョンセミナーは、済生会横浜市東部病院救命救急センターの船曳知弘先生より、「緊急IVRから外傷IVRへ、外傷IVRからDCIR(Damage Control Interventional Radiology)へ」のテーマで、防ぎえた外傷死を減らすため、時間を節約し少しでも早く診断・治療を行うための工夫や、DCIRという概念について、講演をいただいた。

実習
 実習は3つのブースに分かれており、今回は以下のような実習内容であった。

(続きはRadFan10月号にてご覧ください!)

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