第26回北日本IVR地方会参加レポート

2013.10.18

9月7日に札幌医科大学で開催された第26回北日本IVR地方会参加レポートを、北海道がんセンターの吉野裕紀先生にご執筆頂きました!

はじめに
 2013年9月7日、札幌医科大学で開催された日本IVR学会北日本地方会に参加した(図1)。8~9月は北海道のIVR医にとっては北海道血管造影・IVR研究会、そしてこの北日本IVR地方会が連続して開催されるまたとなく楽しみな期間である。当日はあいにくの天気の中での開催となったが、会場は興味深い話題とディスカッションに尽きなかった。

一般演題 
 一般演題は44演題(うち3演題はメディカルスタッフセッション)であった。特に興味を惹かれた何題かをピックアップしてレポートさせて頂く。
ビーズ認可直前という時期柄を反映してか、球状塞栓物質に関する発表が2演題あった(演題14. 頸部、縦隔の再発腫瘍に対して薬剤溶出性球状塞栓物質による塞栓術を施行した1例、岩手医大 加藤先生、演題25. 多発性肝嚢胞に対するEmbosphereを用いた肝動脈塞栓術の初期経験、北大 作原先生)。日常のIVRを大きく変えてしまうかもしれないこの塞栓物質であるが、そのメリットやデメリットがよく現れていたと思う。作原先生の発表は他のどの塞栓物質とも異なるビーズの特性を利用したTAEの新たな可能性を感じさせてくれた一方で、ゼラチンスポンジで数分、エタノールやコイルで数十分で完了する塞栓手技が場合によっては数時間におよぶことは頭が痛い問題である。加藤先生の発表は卵巣癌再発転移でBSCとして治療を諦められた患者で、鎖骨上窩の巨大腫瘤が主訴であった。IGTゲートタワークリニックへ紹介の上、DEB-TACEで緩和IVRを施行の方針となり、見事に標的病変の著明な縮小を得ていた。全体として余命を延長できる治療がない中であったとしても局所の制御でQOLを確実に延長できる患者は確実に存在しており、その多くはこの症例のように適切なpalliationが受けられていないと思う(地域差はあるだろうが…)。緩和IVRはこれからのIVRの大きな柱の一つになると考えている。当施設ではこのような症例には積極的に放射線治療が行われているが、IVRの方がより低侵襲に目的を達成できると感じることも少なくない。主治医サイドにIVRで何がどこまでできるかをアピールしていくことが重要であると同時に、気軽に症例をコンサルトできる関係・環境(IVR外来もか?)を築いていくこと肝要と考える。

続きはRad Fan 11月号(2013年12月末発売予定)をご覧ください。