第44回日本放射線技術学会 秋季学術大会参加報告

2016.11.28

第44回日本放射線技術学会 秋季学術大会の参加レポートを本元 強先生(茨城県立こども病院放射線技術科)にご寄稿頂きました!

会場のソニックシティ
はじめに
 平成28年10月13〜15日の3日間、さいたま市のソニックシティで、第44回日本放射線技術学会秋季学術大会が開催された(図1)。今回のテーマは、「放射線技術を極めるBe Creative, And Be Challenging」と名付けられており「極」という1文字に大会運営側の放射線技術に対する強い思いを感じた。今大会は、8会場と企業展示・ポスター展示、さらにハンズオン会場も3会場ありこれらが同時に開催されていた。私はこの開催期間中の13、14日に参加し、その中で印象的であったセッションなどを報告していく。
一般演題発表と基本シリーズ
 今回は346演題がエントリーされ、各会場で分野ごとに同時進行していたため、私の目線での内容報告であることをご了承いただければ幸いである。
 まず私は、「撮影(MR)エラストグラフィ」セッションの途中から2演題を拝聴したが、筋肉に対するMRエラストグラフィの有用性を発表されていた。このセッションの6演題全てが同じ大学の発表となっており、この研究部門に対する専門性の高さを感じた。次は「物理評価を行うための基本的な画像取得方法」に途中から拝聴したが、非常に参加者が多かった。入出力特性、Modulation Transfer Function(MTF)、Normalized Noise Power Spectrum(NNPS)の物理評価を行う際の準備と実測方法について詳しく説明されたセッションであった。次は「Exposure Indexの基本」セッションを拝聴した。Exposure Index(EI)は国際電気の利用方法についての説明もあった。また撮影部会MRI分科会では、来年度から新たなMRIセミナーとしてMRI用ファントムを作成するセミナーを開催予定とのことであった。MRIの研究では、施設の倫理規定や高価なファントムを利用できずになかなか研究を進められない研究者が多いと思われる。非常に興味深いセミナーなので、開催アナウンスを期待したいと思う。
第80回画像部会記念大会
 第80回画像分科会記念大会は3時間の長いセッションだったが、このセッションに参加できただけで学会参加費の元は取れたと思えるような素晴らしい内容であった。「物理的画質評価と主観的診断能評価の深〜い関係について語ろう」というテーマで、5つの発表があった。内容は「ディジタル系MTFの開発秘話とその周辺」、「ヒトとしての特性を探る」、「信標準会議(IEC)により規格化されている線量指標であるが、基本シリーズでは、EIの定義や算出方法の説明から、装置メーカ独自の線量指標との違いについて、さらにEIを導入するうえでの注意事項についての解説であった。こちらも参加者が多く、部屋に入りきれない参加者も多数見られた。
部会セミナー紹介
 日本放射線技術学会には7つの専門部会があり、総会学術大会時と秋季学術大会時に各部会が開催されている。部会セミナー紹介では、「画像部会主催のセミナー紹介」や「撮影部会MRI分科会のご案内」などを拝聴した。画像部会では、「DRセミナー」、「ROCセミナー」、「臨床画像評価セミナー」、「医用画像処理プログラミングセミナー」が開催されており内容について詳細な説明があった。また学会ホームページで公開されているe-Learning号検出におけるモデルオブザーバーの応用」、「SNRとDQE─視覚評価との関係」、「画質評価における最近の課題」、「医用画像に関してどのような研究をするべきか?:画像部会への提案」について部会を代表する先生方の講演で、私はこれからの放射線技術に対しての取り組みかたを再考察する内容であったと考えている。初めて聞く内容も多く勉強不足を痛感しながらも、今後、診療放射線技師がどのように研究を進めていくべきかの明確な指針を得られたと思う。

★続きはRadFan2016年12月号にてご覧ください!