コニカミノルタとエモテック・ラボ、認知機能低下の早期発⾒で技術提携
〜「話し⽅・会話内容・感情推移」「歩⾏」をAIで分析 〜

2023.03.30

 株式会社エモテック・ラボ(本社︓東京都渋⾕区、代表取締役︓⼭本 洋平、以下 エモテック・ラボ)とコニカミノルタ株式会社(本社︓東京都千代⽥区、社⻑︓⼤幸 利充、以下 コニカミノルタ)は、認知症の評価に利活⽤することを⽬的とし、エモテック・ラボの感情AI評価ソフトウェア「感情認識AI[Kansei Driven Engine【KDE】]」とコニカミノルタの「HitomeQ(ひとめく)ケアサポート」で技術提携する。これにより、認知症⾼齢者が社会の中で共⽣していくための環境づくりに貢献していく。

【背景と狙い】

 ⽇本では超⾼齢化社会を迎え、内閣府の「⾼齢社会⽩書」によると、2025年には認知症⾼齢者が730万⼈を超えると推計されている。認知症⾼齢者に対して適切なケアを⾏うことは難しく、介護従事者や家庭でケアする家族の⼼⾝の負担は増⼤している。また、認知症⾼齢者本⼈の社会との共⽣が難しくなることによるQOL(Quality of Life︓⽣活の質)の低下、社会保障費の拡⼤など、喫緊の課題が⼭積している。

 認知症には様々なタイプがあり、その病型や進⾏度を家族や介護従事者が正しく理解して対処することは、ケアする際の負担を軽減できるとともに、患者本⼈が社会の中でその⼈らしく⽣きる共⽣のための第⼀歩としても⾮常に重要といえる。そのためには、治療可能な認知症かどうかを事前に正しく判定し、病型の分類や進⾏具合を正確に把握することが必要となる。

 この度の技術提携では、⾼齢者の歩⾏と会話に着⽬し、両社が保有するAIやデータを利⽤して認知機能の低下を検知する新たな予測AIアルゴリズムの創発を⽬指す。これにより、認知症の早期発⾒・早期治療に寄与するとともに、患者をケアする介護従事者や家族の負担軽減や、認知症⾼齢者が社会と共⽣していける環境づくりといった⽇本の超⾼齢社会における課題解決に貢献する。

【技術提携の内容】

 認知症の精密な診断には、神経⼼理検査(認知機能などの評価)、MRI画像検査(脳の萎縮などの評価)といった検査が必要だが、両社はそのスクリーニングとして、「話し⽅・会話内容・感情推移」「歩⾏」の分析による「次世代認知機能低下検知ソリューション」の創発を⽬指す。

 「話し⽅・会話内容・感情推移」については、「HitomeQ ケアサポート」によって取得した介護施設利⽤者の⾳声データを感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」で分析し、「歩⾏」については、「HitomeQ ケアサポート」が介護施設利⽤者の⾏動データを取得すると同時に画像認識AIで分析する。これらの分析データを、認知症の各フェーズや症状ごとの評価に利活⽤できるよう、エモテック・ラボの⾏動⼼理学に基づく感情交流のビッグデータに照らし合わせて、認知症早期発⾒や認知機能低下検知の新たな予測AIアルゴリズムを構築する。

 今後両社は、⾼齢者やその家族、認知症予防・医療に携わる医師や介護スタッフなど全ての関係者に有益な情報を提供するソリューションを創発し、各種新サービスの展開や、認知症領域でのプラットフォーム構築に取り組む。さらに、⽇本ならではのきめ細やかな認知機能低下発⾒ソリューションを海外へ展開し、世界の介護現場の環境向上に貢献する事業活動を進めていく。

【コニカミノルタのHitomeQ ケアサポートについて】

 コニカミノルタは、創業以来培ってきた画像センシング技術と、介護現場の知恵や経験を融合して「HitomeQ ケアサポート」を開発し、介護施設の業務全体のDXを⽀援していく。

 「HitomeQ ケアサポート」は、居室の天井に備え付けた⾏動分析センサーで利⽤者の⾏動を解析し介護スタッフのスマートフォンに映像とともに通知、転倒事故発⽣時にエビデンス映像の⾃動記録、ケア実施後すぐにスマートフォンで簡単⼊⼒できるケア記録などの機能を備えている。これにより、介護施設の課題分析や、ICT環境の導⼊とオペレーションの定着を実施することで、介護スタッフのワークフローを変⾰し、業務を効率化させることで余裕時間を⽣み出す。介護スタッフは、余裕時間を充実した介護に向けることができ、利⽤者のQOL向上に貢献する。

 さらに、今後ますます期待される科学的介護や個別ケア実現に向け、天井の⾏動分析センサーの映像を画像処理することで、毎⽇24時間、利⽤者の歩⾏速度や活動量といった⾏動指標を⽇常的かつ連続的に蓄積するとともに、ベッド周りの姿勢推移から歩⾏や移乗といった⾝体機能のアセスメントを、⾏動認識AI技術を活⽤して⾃動で⾏う機能を開発した。ここで得られたアセスメント結果の推移から、ADL*1(Activities of Daily Living︓⽇常⽣活動作)の変化や「⾃⼒でトイレに⾏けるようになった」、「昼間に起きている時間が増えた」というような⽣活空間における変化を発⾒できる。介護計画をこれらのエビデンスに基づいて利⽤者情報起点で設計し、ケア品質の向上と業務効率化の両⽴を実現していく。

【エモテック・ラボの感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」について】

 エモテック・ラボは、「認知、感性、⾏動」に関する独⾃の⾏動⼼理学モデル(KIBI理論)を基礎とした感情認識AI「Kansei Driven Engine【KDE】」、⼼理的安全性診断システム「ESHA」などの製品群を有し、これら製品と感情認識AI、機械学習・深層学習に関連する幅広い知⾒をベースに各種ソリューションを提供するAI戦略パートナー企業である。

 KDEは、あらゆる感情交流データをスコアリングし、その変化を引き起こす各種ファクターの定量化・可視化を可能にした感情認識AIである。⼈の表情や声のトーンなどをインプットデータとして解析し、感情指標や動きを⾒える化および数値化することが可能である。他社サービスでは実現できなかった「分析媒体の幅」や「感情解析精度・解析メッシュ」について、競争優位性を有している。リアルタイム解析、エッジコンピューティング、⽂脈や間の解析、動画・画像・⾳声・テキストの連成解析といった各種先進的感情認識・感情解析にも取り組んでいる。

 これからも両社は、業界を越えた様々なパートナーと共に、認知症予防・治療や介護にかかわる全ての⼈たちと⼀丸となり、QOLを⾼める世界を創っていく。

お問い合わせ

株式会社エモテック・ラボ 担当︓飯島 美帆

E-mail︓iijima@emotech-lab.co.jp Tel︓070-5562-3027

コニカミノルタ株式会社 広報部 北 陽⼦ Tel︓070-3669-8853