ハイブリッド量子/HPCデータセンターへの道を切り拓く

2022.06.01

ハイパフォーマンス コンピューティングの未来へと続く旅は、NVIDIA cuQuantum などのツールで始まる

 明日のハイブリッド量子コンピューターの構築に着手する時が来た。
 差し迫った動機があり、進むべき道は明確であり、ジョブの主要コンポーネントは現在すでに提供されている。

 量子コンピューティングは、今日の最も困難な課題のいくつかを打ち破る可能性を秘めており、創薬から天気予報まですべてを前進させる。つまり、量子コンピューティングは HPC の将来に大きく貢献するだろう。

今日の量子シミュレーション


 量子シミュレーションの未来を作るのは簡単なことではないが、作るためのツールはすでに存在している。
 その第一歩として、今日のスーパーコンピューターは、比較的小さくエラーが発生しやすい今日の量子システムの能力を超える規模とパフォーマンス レベルで、量子コンピューティングのジョブをシミュレートできるようになっている。

 量子技術を扱う数十の組織がすでに NVIDIA cuQuantum ソフトウェア開発キットを使用して GPU 上で量子回路シミュレーションを高速化している。

 AWS はこのほど、Braket サービスで cuQuantum が利用可能になったことを発表した。同社はまた、 cuQuantum が量子機械学習ワークロードで最大 900 倍の高速化を提供する方法を Braket 上で実証した。

 cuQuantum はまた、Google の qsim、IBM の Qiskit Aer、Xanadu の PennyLane、Classiq の Quantum Algorithm Design プラットフォームなど大手の量子ソフトウェア フレームワークでのアクセラレーテッド コンピューティングを実現している。これらのフレームワークのユーザーは、追加のコーディングなしでGPU アクセラレーションにアクセスできるのである。

 そして、新たに Menten AI が、同社の量子機能に対応できるよう、cuQuantum を利用する企業の一員となった。

 サンフランシスコ ベイエリア発の創薬系スタートアップである Menten AI は、cuQuantum のテンソル ネ ットワーク ライブラリを使用して、タンパク質の相互作用のシミュレーションや新しい薬物分子の最適化に取り組む予定である。量子コンピューティングの可能性を利用してドラッグ デザインを高速化することを目指している。ドラッグ デザインの分野は化学自体と同じく、量子アクセラレーションの恩恵をいち早く受ける分野の 1 つと考えられている。

量子リンクの構築

 量子システムが進化する中、次の大きな飛躍はハイブリッド システム、つまり、量子コンピューターと古典コンピューターが連動するシステムへの移行だ。研究者たちは、新しくパワフルなクラスのアクセラレータとして機能するシステム レベルの量子プロセッサ (QPU) のビジョンを共有している。

 そこで、目下の最大の任務の 1 つとなるのが、古典システムと量子システムをハイブリッド量子コンピュータ ーに橋渡しすることだ。これを成し遂げるには 2 つの大きな要素が必要となる。

 第一に、GPU と QPU の間に高速かつ低遅延の接続が必要となる。この接続により、ハイブリッド システムは、回路の最適化、キャリブレーション、エラー訂正といった古典的なジョブに、卓越した GPU を使用できるようになる。

 GPU はこれらのステップの実行時間を短縮し、今日のハイブリッド量子ジョブにおける主なボトルネックとな っている、古典コンピューターと量子コンピューター間の通信のレイテンシを軽減できる。

 第二に、業界は効率的で使いやすいツールを備えた統合プログラミング モデルを必要としている。HPC と AI における NVIDIA の経験により、NVIDIA だけでなくユーザーも、強固なソフトウェア スタックの価値を認識している。

ジョブに適したツール

 今日の QPU をプログラムするにあたり、研究者たちは低レベルのアセンブリ コードと同レベルの量子を使用せざるを得ない状況にありますが、これは量子コンピューティングを専門としていない科学者の範疇を超えるものだ。また、開発者には統合プログラミング モデルとコンパイラ ツールチェーンがない。これがあれば開発者たちは任意の QPU で作業を実行できるようになる。

 この状況は変わる必要があり、まもなく変わる。こちらのブログで、プログラミング モデルの改善に向けて動き出したばかりの取り組みについて、いくつか説明している。

 量子コンピューターが作業を加速できる方法を効率的に見つけるために、科学者たちは HPC アプリの一部を、まずはシミュレートされた QPU に、その後は実際の QPU に、容易に移植できなければならない。そのためには、高性能かつ使い慣れた方法で HPC アプリを動作できるようにするコンパイラが必要だ。

 GPU で高速化されたシミュレーション ツールとプログラミング モデル、およびコンパイラ ツールチェーンを組み合わせてすべてを 1 つにまとめることで、HPC 研究者たちは、明日のハイブリッド量子データセンターの構築に着手できるようになる。

今から始めるには

 量子コンピューティングは、数十年先の SF (サイエンス フィクション) のように聞こえる人もいるかもしれない。しかし実際、研究者たちが構築する量子システムは毎年規模が大きくなっている。NVIDIA はこの取り組みに尽力しており、より多くの人たちと共に明日のハイブリッド量子システムを構築したいと思っている。

詳細を知りたい方は、GTC セッションをご覧の上、このトピックを扱う ISC のチュートリアルをぜひご覧ください。今 GPU でできることについて詳しく知りたい方は、NVIDIA の State VectorTensor Network ライブラリについての記事をお読みください。

本件に関するお問い合わせ先:
エヌビディア広報部
Japan-PR@nvidia.com