GEヘルスケアと清水建設、淡海医療センターで医療現場の生産性向上に向けた協業を開始

2022.05.25

 ~地域全体のスマート・ホスピタル構想を実現へ~

 GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:多田荘一郎、以下GEヘルスケア)と清水建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:井上和幸、以下清水建設)は、病院運営と施設運営の両面からDXを追求したスマート・ホスピタルの構築に向けて協業することに合意した。

 第一弾として、GEヘルスケアと社会医療法人誠光会 淡海医療センター(滋賀県草津市、理事長:北野博也、以下淡海医療センター)が協働にて国内版の導入を行った日本初の「コマンドセンター」と清水建設の建物 OS「DX‐Core」のデータ連携を図り、「医療サービスの質向上」「医療従事者の業務効率化」「患者の利便性向上」に向けたサービスの提供に取り組んでいく。

 超高齢化が進む日本では、適正な医療を効率的に提供する体制を整えることを目的とする『地域医療構想』の実現に向けた動きが活発化している。地域医療構想とは、地域に存在するそれぞれの病院が担当する医療機能を選択し、この機能を持ち寄ることで地域全体の医療を完結させることを目指す取り組みである。三者は、この取り組みを実現する為の病院運営と施設運営のデータ連携によるDXに挑戦することを決定した。

 淡海医療センターで展開するデータ連携のプラットフォームは、データドリブンの病院運営を支援するコマンドセンターである。昨年4月から稼働しているコマンドセンターでは、医療情報システムから収集する電子カルテなどのデータをリアルタイムに分析することにより、病床の稼働状況やスタッフの業務を画面上で見える化し、病床の割り当てやスタッフ配置などの迅速な意思決定を支援している。

 協業のフェーズⅠは事前準備であり、淡海医療センターの既設設備機器を集中監視するプラットフォームをDX‐Coreにより構築し、コマンドセンターとのデータ連携を図るとともに、病院運営の効率化に向けた課題を抽出。今後のフェーズⅡでは、両システムのデータ連携実証、例えば、DX‐Coreが監視カメラ画像から院内の混雑具合を判断しコマンドセンターがスタッフの配置変更を提案、或いはコマンドセンターが新規入院患者の受入病棟を割り当てたら、DX-Coreが制御する案内ロボットが患者を当該病棟まで案内、といった実証を検討している。最終的にはフェーズⅢとして、フェーズⅡでの実証成果を踏まえ、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)に加盟する31法人99施設を対象に、コマンドセンターとDX- Coreを連携させたシステムの展開を目指していく。

社会医療法人誠光会理事長 北野博也氏

「現在、誠光会では医療の質向上や医療従事者の働き方改革を目的とした様々な取り組みに着手しています。これらの取り組みにデジタル化は必要不可欠となっていますが、私たちは、単に業務の効率化を図るだけでなく、患者さんに対する新しい価値を創造するためにデジタル化を推し進めていきたいと考えています。すなわち、これまで蓄積されてきた膨大な医療関連データの活用や医療従事者と患者さんとの双方向コミュニケーションの強化など、所謂スマート・ホスピタルを目指した取り組みを加速させていきます。今回、清水建設様と GE ヘルスケア様という強力なサポーターを得たことで私たちの将来構想の実現可能性が大きく高まったと考えています」

GE ヘルスケア・ジャパン㈱代表取締役社長兼CEO 多田荘一郎氏

「新型コロナウイルス感染症の蔓延も含め刻一刻と患者さんの症状が変わるという状況の中で、これまで以上にリアルタイムの状況把握と適切な需要予測に基づいたキャパシティ管理(医療資源の分配)が求められています。長年にわたる誠光会様との共創を通じて、昨年4月には淡海医療センター様にてコマンドセンターの稼働が開始しました。人の稼働効率を含む医療資源の分配において目覚ましい成果が出ていることからも、稼働を単独施設に限定せずに、地域全体に拡大し運営していくことで、地域における医療連携に貢献できると確信しています。清水建設様とも新たに連携し、誠光会様とこれまで築いてきた共創を深化拡大させ、課題解決に取り組んでまいります」

清水建設株式会社㈱代表取締役社長 井上和幸氏

「リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により、ものづくりをデジタルで行い、リアルな空間とデジタルな空間・サービスを提供する建設会社を「デジタルゼネコン」と定義し、当社が目指すゼネコン像としています。DX‐Core はデジタルな空間・サービスを提供する技術の代表格で、すでにオフィスビルを中心に採用が進んでおり、お客様に喜ばれています。誠光会様、GE ヘルスケア様との協業により培った知見を展 開させていただくことで医療施設へのDX‐Coreの採用が進み、医療サービスの質向上や業務効率化に寄与することを祈念しております」