富士フイルム和光純薬がβ-グルカン測定試薬「β-グルカン シングルM30テストワコー」および微生物由来成分分析装置「リムセイブ MT-7500」

2021.10.05

測定時間を大幅に短縮し真菌症の診断効率の向上に貢献

 富士フイルム和光純薬株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:白木 一夫)は、(1→3)-β-
D-グルカン(以下、β-グルカン)※1 の測定時間を大幅に短縮する発色合成基質法LAL(カブトガニ血球抽
出物)※2 を用いた測定試薬「β-グルカン シングルM30テストワコー」(体外診断用医薬品)と微生物由
来成分分析装置「リムセイブ MT-7500」を、2021年 10月4日に発売した。

β-グルカンは真菌(カビ)に共通する細胞壁構成成分で、深在性真菌症の診断には、血液中のβ-グル
カン測定が利用されている。深在性真菌症は、真菌が肺、肝臓、腎臓、脳など、体の深部に入り込んで
感染を起こす状態をいい、免疫不全疾患罹患時や免疫抑制剤使用時に起こりやすいとされている。深在
性真菌症は治療が遅れると重篤な病態となるため、迅速な対応が必要だ。昨今、治療技術の進歩により
免疫抑制を伴う造血幹細胞移植※3 や臓器移植※4、リウマチ治療などの件数が増えており、β-グルカン測
定件数も増加している。また、従来は主に入院患者を対象にβ-グルカン測定が行われていたが、
最近では臓器移植後や、リウマチ治療中の患者の来院時など、外来患者に対する測定も行われるように
なり、迅速測定のニーズはますます高まっている。

富士フイルム和光純薬は1997 年よりβ-グルカン測定試薬および装置を販売しており、使い勝手の良さ
と測定精度の高さが評価され特定機能病院を中心に広く導入されている。従来のβ-グルカン測定
試薬および装置は比濁時間分析法※5 を用いており、測定に90 分必要だった。今回発売する、「β-グルカ
ン シングルM30テストワコー」および「リムセイブ MT-7500」は発色合成基質法LAL を採用しており、測定
時間を20 分と大幅に短縮した。発色合成基質法はLAL 反応※6 によって短時間で生じる色素を検出す
るため、測定を迅速に行うことができる。

「リムセイブ MT-7500」は富士フイルム株式会社が最新の分光技術を用いて開発した装置で、シンプル
で直感的な操作が可能な画面デザインを採用し、簡便な測定が可能だ。比濁時間分析法を用いた従来
試薬「β-グルカン テストワコー」※7 にも対応している※8。また、国内唯一の血漿中エンドトキシン※9 測
定試薬である富士フイルム和光純薬の「エンドトキシン-シングルテストワコー」※10 にも対応しており、β-
グルカンと同時測定することも可能で、感染症が疑われる救急患者などの感染有無や感染起因の推定な
どにも有用だ。
富士フイルムグループは、医療現場のニーズを的確にとらえ、そのニーズに応える製品を提供すること
により、医療現場を効率的に支援し、医療の質の向上と、人々の健康の維持増進に貢献している。

※1 D-グルコースを構成単位とし、1位と3位がβ結合した多糖。
※2 カブトガニ血球抽出物と発色合成基質から調製したLAL試薬は、β-グルカンによって発色合成基質から黄色色素を遊離、発色する。反応中の単位時間あたりの吸光度変化率より、β-D-グルカン濃度を算出する。
※3 通常の化学療法や免疫抑制療法だけでは治すことが難しい血液がんや免疫不全症などに対して、完治させることを目的として行う治療。
※4 病気や事故によって臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸など)が機能しなくなった人に、他の人の健康な臓器を移植して、機能を回復させる医療。
※5 カブトガニ血球抽出物から調製したLAL試薬は、β-グルカンによって凝固する。この凝固反応を透過光量の変化として捉え、反応開始から一定の透過光量比に達するまでの時間より、β-D-グルカン濃度を算出する。
※6 カブトガニ血球抽出物から調製したLAL試薬がβ-グルカンやエンドトキシン等を加えることにより凝固すること。
※7 β-グルカン テストワコー /承認番号:20900AMZ00184000
※8 「リムセイブ MT-7500」で比濁時間分析法を用いた従来試薬「β-グルカン テストワコー」を測定する際の測定時間は、90分です。
※9 大腸菌などのグラム陰性細菌の細胞壁外膜を構成する成分、リポ多糖。血漿のエンドトキシン量を測定することにより、重症グラム陰性菌感染の診断の補助が可能となる。
※10 エンドトキシン-シングルテストワコー/承認番号:20600AMZ00967000

1. 試薬
①品名
体外診断用医薬品
β-グルカン シングルM30テストワコー/承認番号:30200EZX00042000
(製造販売元:富士フイルム和光純薬株式会社)
②主な特長
(1)測定時間の大幅な短縮を実現
発色合成基質法LAL(カブトガニ血球抽出物)を用いることで従来90分かかっていた測定時間を20分に短縮。

2. 測定装置
①品名
微生物由来成分分析装置
リムセイブ MT-7500/届出番号:14B1X10022000132
リムセイブ MT-7500の付属品(拡張モジュール)
リムセイブ MT-7500の付属品(サーモステーション TS-70/20)
(製造販売元:富士フイルム株式会社)
※拡張モジュールとサーモステーションは別売り。
②主な特長
(1) 新試薬の使用で測定時間20分を実現、従来試薬にも対応
発色合成基質法LALを採用した新試薬「β-グルカン シングルM30テストワコー」の使用により20分で測定可能。従来試薬「β-グルカン テストワコー」にも対応。
(2) 2項目同時測定が可能
同一検体から、血漿中のβ-グルカンとエンドトキシンを同時に測定可能。
(3) シンプルで使いやすい操作画面
直感的な操作が可能なデザインを採用。
(4) コンパクト設計
従来装置の3分の2と設置面積の削減を実現。(幅250 ×奥行400×高さ180 mm)
(5) セキュリティ対策
セキュリティソフトの導入でマルウェア等の感染を予防。機器設定、データ取り出しは特定の管理者のみ可能なユーザー階層管理設計。

3. 発売日
2021年10月4日

β-グルカン シングルM30テストワコー
リムセイブ MT-7500

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