GEヘルスケア、放射線線量管理、医療被ばくの適正化をサポート

2020.11.25

‐線量データを収集管理、義務化への対応をサポートするDoseWatchの提供体制を強化 ‐

 

  医療の課題解決に取り組むヘルスケアカンパニー、GEヘルスケア・ジャパン㈱は、放射線診断および治療の分野で高まる安全性および治療アウトカムへの期待に応え、2020年4月より施行の医療被ばく線量管理・線量記録の義務化への医療施設の対応をサポートするべく、放射線線量管理システムDoes Watchの提供を強化していく。

  日本は他の諸国と比較してCTの台数およびその稼働率が高い国であることから*1、医療被ばくへの懸念、放射線線量の管理に対する意識は近年高まる一方にあった。このような中で近年、各種の規制やガイドラインの整備が急速に進み、2015年には、医療被ばく研究情報ネットワークにより、国内初となる医療被ばくに対する診断参考レベル(diagnostic reference level: DRL)が発表され、日本の正式なDRL(DRLs 2015)として現在運用されるようになった。その後、2018年4月の平成30年度診療報酬改定にて、画像診断管理加算3の算定要件として、「日本医学放射線学会のエックス線CT被ばく線量管理指針」に基づく適切な被ばく線量管理(患者単位および検査プロトコル単位での最適化)が定められ、続く2019年3月に医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号)が公布された。この中で診療用放射線の安全管理体制整備が2020年4月1日に施行され、複数の項目と共に医療被ばくの線量管理・線量記録が放射線装置を備える全ての医療施設に義務付けられるようになった。

  プレシジョン・ヘルスによる医療の個別化・精密化をサポートするGEヘルスケアでは、DoseWatchの提供を通じて、CTをはじめとする放射線装置を備える医療施設の義務化への対応をサポートします。このシステムをご利用いただくことで、施設全体の線量データを収集・管理することに加え、患者さん単位、もしくは、検査プロトコル単位などでも線量情報や撮影回数情報を収集でき、線量の最適化を実現できる。

注:収集できる線量情報は、接続装置の仕様によって異なります。

  DoseWatchは図1に記載している4つの機能を搭載している。ソフトウェアの主な分析機能として、患者さん別に装置を問わず放射線線量を確認すること、プロトコル別に線量データを集計すること、動的な計算により線量アラートを立てる閾値を決めること、豊富なコンテンツを含んだ定期的な分析レポートの出力が可能になる。

図1

  上記の4つの機能に加え、記録に留まらない線量の適正化を実施する為の機能(発展的な分析機能)も利用できる。まず、臓器線量と胎児線量により、検査による線量をより深く分析できる*2。AP方向のスカウトとmA変調情報、患者体型等を用いたDuke大学のライセンスを用いることで、より早く、正確に、自動で計算結果を確認できる。またアンギオ装置にとって、皮膚線量こそが皮膚の炎症をフォローアップする上で重要な指標となる。RDSRの情報を用いて、動画を再生するかのように検査を振り返ることで、ホットスポットを立体的に確認と共有することができる。また、核医学装置に対してもICRP128に準拠した臓器線量計算が可能。
  注:収集できる線量情報は、接続装置の仕様によって異なる。
  DoseWatchは国内での提供を開始して以降、年間で少なくとも一回のバージョンアップを行い、日本国内のご施設からお寄せいただいたご意見やご要望を取り入れています。新バージョンでは、日本独自のニーズに応えて体重情報をより見やすく表示し、フィルタ機能も更に充実させることで、より効率的に施設内のデータを可視化させることもできる。その他、スマートアラート機能を追加された。小児への大人プロトコルの適用は世界的にも起きてしまいがちなミスの一つである。そこでシステムが医療施設におけるプロトコルの運用を自動で解析し、アラートを立てることができるのだ。

図2

  DoseWatchは2014年よりサービス提供を開始し、現在、世界で1,000を超える施設で利用されている。日本においても2014年より導入が始まり、以来、100を超える施設で利用されている。2020年4月の義務化に伴う医療従事者・施設からの高まる要望に応えるべく、現在、提供体制の強化を進めている。

  執行役員 アカデミック本部長 兼 エジソン・ソリューション本部長である松葉香子氏は、次のように述べています。「GEヘルスケアでは、プレシジョン・ヘルスの推進を通じて、患者さんにとって最適な検査を実現するための様々なデジタル・ツールを提供してまいりました。DoseWatchは、多くの放射線装置を備える医療施設でご活用いただいておりますが、線量の管理・記録の効率化・精緻化にとどまらず、放射線検査に関する大量データの収集・分析が可能となり、ご施設における課題の可視化が進むというお声を多数いただくようになりました。このような声は線量管理の領域にとどまらず、GEヘルスケアでは、課題の可視化から解決策の立案・実施を支援するためのCPM*3サービスも併せてご提供するようにしております。DoseWatchによる義務化へのスムーズな対応を機に、医療の現場における課題解決をサポートするCPMサービスをご利用いただくお客様も増え、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより浮き彫りにされた医療現場のキャパシティの課題への取組みなどにも貢献させていただけることを大変嬉しく思っております。ケアに携わる医療従事者の皆様をよりより良くサポートし、患者さんやそのご家族が安心・安全な医療を享受いただけるためにも、引き続き提供体制の強化に努めてまいります。」
  サービスセールス統括部 ゼネラルマネージャーである大成学志氏は次のように述べている。「GEヘルスケアでは、これまでもX線画像診断機器について「被ばく低減」を重要なイニシアチブとする製品開発を継続し医療現場へ届けて参りました。また、線量管理・記録に向けた社会的なニーズの高まりを早期に捉え、世界に先駆けて製品開発を進めてきました。2014年にサービス提供を開始したDoseWatchは、国内で既に100を超える施設にてご利用いただいており、線量管理・記録を行うためのツールとして国内有数の実績を持つサービスとなっています。DoseWatchは単なる線量情報の管理・記録に留まらず、最適化を目指すために必要な機能を兼ね備えておりますが、これらは特に急性期・高度医療を提供されるご施設にとって、今後より一層求められていくものと考えています。2020年4月より線量管理・記録の義務化が始まり、また7月には診断参考レベルの2020年版(DRLs2020)が発表されるなど、今後も線量情報の管理・最適化に向けた機運はさらに高まっていくと考えています。このような国内市場に対応すべく、2019年には既存のDoseWatchをまずは、基本線量管理に限定して導入いただけるDoseWatch Starterの提供を開始し、続く2020年にはお客様の要望に対応する新たにサブスクリプション型のサービスプランDoseWatch AIOをスタートさせました。今後とも、国内のご施設の多種多様なニーズに幅広くお応えし、日本における医療における品質改善の一助になれる様に、イノベーションの実装、並びに提供体制の強化に努めてまいります。」

 

*1 http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g65.html
*2 AAPM204,220のいずれかによるSSDEの計算は図2内に記載しています。
*3 CPM : Clinical Performance Managementの略称。

 

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