藤田医科大・フジデノロ、UVC 紫外線照射装置による新型コロナウイルス不活性化を確認

2020.09.15

 藤田医科大学の村田貴之教授(医学部ウイルス・寄生虫学 )らの研究グループはフジデノロ(株)との共同研究により、国内の研究機関として初めてUVC紫外線照射装置の光源による SARS-CoV-2(通称:新型コロナウイルス)の不活性化を確認した。

<研究の背景>

 2019 年に中国より発生し、パンデミックとなっている SARS-CoV-2 は、伝搬性、感染性が高く、特に、高齢者や基礎疾患のある方では重症化するリスクが高いことも報告されているため、世界的な公衆衛生上の問題となっている。病原体の感染拡大を防止する手段の一つとして、紫外線(UV)による殺菌が有効と考えられている。特に UVC は殺菌力が高く、効果が高いと考えられている。しかし、新型コロナウイルスに対する UVC の効果に関しては十分な情報が無かった。UVC の有効性を確認する本研究は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための重要な基礎的データとなる。
 今回、藤田医科大学の研究グループは UVC による新型コロナウイルスの不活性化実験を行い、フジデノロ(株)が販売を行っている UVC 紫外線照射装置『MoonBeam3』の光源により、新型コロナウイルスが強力に不活性化されることを実験的に明らかにしたため、報告するものである。

<実験内容>

 SARS-CoV-2 のウイルス液(10mL)を、金属製の担体の面に擦り付け、乾燥させる。ウイルスが付着した担体に UVC 紫外線照射装置『MoonBeam3』の光源、あるいは市販の A 社製 UV 殺菌灯の光源を一定時間照射する。安全キャビネット内において実験を行う必要があったため、光源からウイルス付着担体までの距離は 40cmとした。照射後、担体に付着させていたウイルスを、培養液で縣濁、回収。回収したウイルスを適宜希釈し、VeroE6/TMPRSS2 細胞に感染させ、4日後にTissue culture infectious dose 50(TCID50)という指標を計算することで、殺ウイルス効果を評価した。VeroE6/TMPRSS2 は細胞バンク JCRB より入手し、SARS-CoV-2 は神奈川県衛生研究所より入手している。全ての実験は藤田医科大学内に設置されたバイオセーフティレベル3(BSL3)の実験施設において、適切な封じ込め措置を執りながら行った。

<研究成果>

 市販のUV灯を、2秒照射することで感染性ウイルスは95.5%減少、10秒照射することで99.99%減少した。一方、フジデノロ(株)『MoonBeam3』は、0.5秒照射で98.7%減少、2秒照射で99.99%減少し、4秒後には検出限界以下となった。99.99%の感染性減少にかかる時間は、市販UV灯では10秒、『MoonBeam3』では2秒であったことから、単純計算で『MoonBeam3』は市販UV灯の約5倍の効果があったと言える。なおTCID50値は、同じ条件でそれぞれ3つの独立した試行を行い、グラフではその平均値を対数表示している。

<まとめ>

 今回の研究では、UV が SARS-CoV-2 を不活化することを明らかにした。特に強力に UVC を発生させることができる『MoonBeam3』は、市販 UV 灯に比較して5倍ほど高い殺菌力があることが示された。

●お問い合わせ
フジデノロ(株)
URL:https://www.fujidenolo.co.jp/