島津製作所、世界初。AI機能で、高精度な骨密度測定が簡便に 深層学習で作業時間を短縮、高効率に活用できるX線TVシステム

2019.08.06
写真:X線TVシステム「SONIALVISION G4 LX edition」

 (株)島津製作所(以下、島津製作所)は、骨粗しょう症の診断やその経過観察、治療過程などで行う骨密度測定でのX線画像を、AI技術を用いた画像処理により、高精度で迅速に提供する新しい機能を開発した。この機能をオプションとして導入できるX線TVシステム「SONIALVISION G4 LX edition」を、8月6日に発売。新製品は、大幅な被ばく低減を可能にした画像処理機能も備えている。

<X線TVシステム>
 骨や肺、消化管など体内の状態を、X線透視(動画像)でリアルタイムに観察できる他、X線撮影(静止画像)も可能なことから、内科や外科、整形外科、泌尿器科など多くの診療科で使用され、健康診断でも長く活用されている装置である。
 「SONIALVISION G4」シリーズは、2013年の発売以来、国内外で1000台以上を納入している。骨密度測定ができる唯一のX線TVシステムであり、今回の新製品でさらに効率的な機器活用を実現した。
 

 骨粗しょう症の患者数は、日本で約1300万人と言われている。特に高齢女性に多く、50歳前後からホルモンバランスの変化に伴い骨量が減少して骨折しやすく、骨折が原因で介護が必要になるケースも多い。社会の高齢化に伴い患者数も増加傾向にある。
 島津製作所は2014年に、骨密度測定法の中で最も精度が高いと評価されているDXA法(2種類のX線による測定法)を採用してX線TVシステムでの骨密度の測定を世界で初めて可能にした。ただし、測定箇所である大腿骨(だいたいこつ)のX線画像に「セグメンテーション(画像上で骨領域を抽出する作業)」が必要で、これには一定の経験と作業時間を要した。そこで島津製作所は、深層学習(ディープラーニング)技術を用いて、熟練者の作業内容を瞬時に行う「AIアシスト機能」を開発した。X線撮影後、すぐに高精度にセグメンテーションされた画像を表示し、骨密度測定ができる(世界初)。

 また新製品は、大幅な被ばく低減を実現する最新鋭のデジタル画像処理技術「SCORE PRO Advance」を標準搭載した。X線の照射量を減らすと画質が低下しますが、リアルタイムにノイズ低減し、低線量下での画像の視認性を向上させた。これにより、被ばく量を従来の半分以下にしている(島津製作所 従来比)。

 さらに、機器の効率的な運用のために、X線TVシステムのX線管(X線照射部)から検出器(X線受光部)の間を180cmまで引き伸ばせる機能も追加した。これにより従来であれば一般撮影システムと呼ばれるX線撮影(静止画)専用機で行われていた胸部撮影検査にも対応できる。

* 骨とそれ以外でのX線の吸収率の違いで骨密度を測定するため、骨領域を正しく抽出する作業が必要となる。骨密度が低下すると、低線量でのX線撮影で明瞭な画像化が困難になる。
 

新製品の特長

1. 骨密度測定が簡便にできるAI アシスト機能(オプション)
 本機能は、熟練者の作業内容をAIのディープラーニングを用いて学習させ、迅速に高精度なセグメンテーション画像を提供する。手間をかけずに常に安定した画像で測定でき、医療現場の作業効率が向上する。

 

2. 最新鋭のデジタル画像処理技術により、被ばく線量を半分以下に
 画像処理技術「SCORE PRO Advance」により、少ないX線で高画質を提供する。近年、胆膵内視鏡検査などX線透視(動画像)で患部を確認しながら内視鏡検査・治療が行われることが増加している。その際に内視鏡の先端部や使用する治療用デバイスを少ないX線で明瞭に描出することで被ばく線量を従来の半分以下にする (島津製作所 従来比) 。

3. 胸部撮影も可能になり、さらに多目的に使用
 X線管を検出器から180cmまで引き伸ばせることにより、胸部撮影に必要なX線照射距離を確保できるほか、車いすでの検査なども無理なく行える。同じポジションでのX線透視(動画像)による観察も可能である。一般撮影システムを同じ検査室に設置した場合、組み合わせて使用することも可能である。胸部撮影のほか、多くの検査に対応できる多目的な検査装置である。

 

 

●お問い合わせ
株式会社島津製作所
URL:https://www.shimadzu.co.jp/