日立製作所、シンガポール国立がんセンターから東南アジア初となる陽子線がん治療システムを受注

2016.08.18

 (株)日立製作所(以下、日立)と、日立の東南アジア地区における統括会社である日立アジア社(以下、日立アジア)は、このたび、シンガポール国立がんセンター(National Cancer Centre Singapore)から、陽子線がん治療システムを受注し、また、10年間にわたるシステムの運転・保守契約も締結した。
 今回、日立および日立アジアはスポットスキャニング技術を搭載し、回転ガントリ室4室と固定照射室1室を備えた陽子線がん治療システム「PROBEAT」を納入する。本システムは東南アジア初となる陽子線がん治療システムであり、2021年開業予定のシンガポール国立がんセンター内の施設に設置する。この施設は地上24階建てで、がんの治療と研究の拠点となる。
 シンガポール共和国(以下、シンガポール)における死亡原因1位はがん*であり、現在、公立病院のがん患者の約7割がシンガポール国立がんセンターで治療を受けている。同センターは東南アジアにおいて的確な治療で質の高い医療を提供する最先端のがん治療機関の一つであり、今回、高度ながん治療を実現するために日立をパートナーとして選んだ。陽子線治療は従来の放射線治療に比べ、副作用を低減できる先進的ながん治療法の一つであり、シンガポール国立がんセンターへの陽子線がん治療システム「PROBEAT」導入は、シンガポールのがん治療の新たな一歩となる。日立および日立アジアは安全性、信頼性で高く評価されている陽子線がん治療システムを提供することで、シンガポール国立がんセンターをサポートしていく。
 シンガポール国立がんセンターのDirectorであるSoo Khee Chee氏は、「シンガポール国立がんセンターの目標は最高のがん治療を提供することだ。陽子線がん治療システムを導入することで、がん患者の皆さまに、より身体的負担の少ない治療を提供することができるようになり、シンガポールのがん治療の発展に寄与すると確信している。また、本システムを活用した新たながん治療の研究の可能性についても非常に期待している。」と述べている。
 日立の執行役常務ヘルスケアビジネスユニットCEOの渡部眞也は、「このたびシンガポール国立がんセンターの陽子線がん治療パートナーとして、当社を選んでいただき、大変光栄だ。当社の実績のあるシステムや将来性に対する厚い信頼によるものだと思う。優秀な人財と高度な研究を通じて、最高のがん治療を提供することを目標としているシンガポール国立がんセンターとのパートナーシップは、東南アジアにおける陽子線がん治療の先進的な事例になると確信している。同センターとのパートナーシップをきっかけに、当社の陽子線がん治療システムを通じて、東南アジアのがん治療、およびがん研究に貢献していく。」と述べている。
 日立は、2007年12月、スポットスキャニング技術を搭載した陽子線がん治療システム「PROBEAT」で、世界初となる米国食品医薬局(FDA:Food and Drug Administration)の販売許可を取得した。2008年5月に世界最大級のがんセンターである米国MDアンダーソンがんセンターで治療開始したのをはじめ、2013年2月に名古屋陽子線治療センター、2014年 3月には北海道大学で治療開始しており、2015年度には北米の3施設で新たに治療が開始された。また、2015年6月には米国トップクラスの医療機関ジョンズ・ホプキンス・メディスン傘下のシブリー・メモリアル病院からも陽子線がん治療システムを受注した。
これまでグローバルにおいて10,000名以上の患者が日立のシステムで治療を受けており、98%以上の装置稼働率やお客さまへの長期的かつ充実したサポート体制など高い信頼性と実績が評価されている。
日立は、今後も粒子線がん治療システムのグローバル展開を加速させ、世界のがん治療に貢献していくとともに、ヘルスケア事業のさらなる拡大を図っていく。

*:シンガポールの主な死亡原因順位。シンガポール保健省ウェブサイト
https://www.moh.gov.sg/content/moh_web/home/statistics/Health_Facts_Singapore/Principal_Causes_of_Death.html

●お問い合わせ
(株)日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット放射線治療システム事業部[担当:伊丹、藤崎]
URL:http://www.hitachi.co.jp/