書評「画像診断を考える 第2版  よりよい診断のために」 牧田幸三 (練馬光が丘病院 )

2014.06.18
これまでの人にもこれからの人にも役立つ画像診断攻略本!!
~プロが明かす、さまざまなノウハウ、主義主張、画像診断哲学~

放射線科医師 牧田幸三
(公益社団)地域医療振興協会:練馬光が丘病院放射線科/へき地離島画像支援センター(兼務)

  卒後30年、長らくの放射線科稼業である。卒業したての研修医時代には、GEの8800がメインのWhole Body CTで、頭部用EMIスキャナも稼動していた。EMI当番のときには、たしか90秒で2断面(検出器は二つ、即ちMultiDetector-CT!!)という、気長な撮影にお付き合いしていた。卒後2~3年目くらいでシーメンスのMRIが稼動して、T1とかT2とか、プロトン密度がどう、とかいう世界(宇宙というべきか)が始まった。その時期、大学病院以外のあちこちの病院に、CTが入り始め、卒後2年目から、CTの読影のアルバイト、ということも始めた。当時、撮影件数、スキャン枚数が少ないので、今思えば、ひじょうにのんびりとした仕事であったはずだが、レポートを書こうにも、病気も知らないし、画像所見も知らない、それどころか、所見用語や言い回しもわからないので、たかだか数件のレポートを書くにもひじょうに苦労した。日本語、英語を含め、教科書もまだほとんどなかったし、もちろんインターネットなんて世界はないし、先輩はすぐに読影室からいなくなるし(皆さん忙しかった?)。紙カルテや過去フィルムを取り寄せるのも容易なことではない(結果追跡は今でもたいへん手間のかかる作業だが)。できることといえば、穴が開くほど、シャウカステンの熱でフィルムが焦げるほど(大げさですが)写真を眺め、先輩諸氏の過去レポートをひっくり返すことであった(教科書がないので過去レポートの所見記載が頼り)。Teaching Fileを作成する場合には、文献をコピーするという決まりがあったが、コピーだって、図書館で調べるので、そう簡単なことではなかったのだぞ。と、ま、えらそうなこと(?)を書いているが、その頃、東大で撮影していた症例は、大半がHCC(肝細胞癌)と脳腫瘍だったので(ほかの症例は私の記憶から消去されたのかもしれない)、鑑別、といっても、HCCか、Hemangiomaか、とか、脳腫瘍か血管障害か、の二択問題をひたすら毎日解いていたようなものだった。
 が、、、さて、それから30年である。さもありふれた、言い尽くされた言葉ではあるが、世の中の進歩、技術の進歩はすさまじく、かの遠き昭和の頃の過日にして1週間分くらいの画像を、今日日、一日で読影してレポートを書かなければならず、管理してるんだか、管理されてるんだかわからない状態の管理加算Ⅱの縛りもあって、おちおち昼寝もできない。診断、鑑別範囲は、炎症性疾患、超急性期疾患(切迫状態というか、微妙な所見しか呈さない状態)から100歳越えの超高齢者の画像まで(現在最高齢は111歳)、膨大、多岐にわたる。画像の新知見に加え、さまざま疾患概念の変化にも対応しなければならない。ま、幸いなことは、画像が細かくきれいになったことで、絵をみているときのモヤモヤ感が少なくなり、大雑把に言って、疾患概念も2000年を過ぎ、とくにこの10年くらいでかなり整理され、わかりやすくなっている点で、レポートも鑑別も昔よりははるかに書きやすくなったように個人的には感じている。この10年のインターネット情報の充実ぶりも大きな助けになっているのは間違いない。
 画像診断は楽しい、と思う。30年やっていても飽きることはない(ただ、一日の中では書かなきゃいけないレポートの量が多すぎて、飽きてしまうことがあるのは認める)。“画像診断を考える―よりよい診断のために“の第一版が出たのは2003年、今回、第2版は2014年。10年一昔、というが、文字通りである。多量の画像や情報、新手の診断手法(?)に翻弄されたり、惑わされたりすることなく毎日を安寧に暮らすには、西村先生が序文にお書きになっているように、“画像診断医としての精神的な砦”が必要である。画像診断の本質は変わってしまったわけではありません、という、西村一雅先生の力強い、ありがたいお言葉を眼にするだけでも涙が出そうになるくらいである(歳を経ると感情失禁状態に陥りやすくなる)。ぜひ、読者諸兄姉が、この第二版をお読みになって、さまざまな画像診断のプロの考え方や手法を糧として、放射線占い師としてのプライドと夢を、一層、獲得、実現されんことをお祈りいたします。まずは読んでみてのお楽しみ!!
(昭和59年/1984年卒/放射線診断医・IVRist)

画像診断を考える 第2版 
よりよい診断のために

編・著:
西村一雅(大阪府済生会茨木病院放射線科/株式会社ラドアシスト/LLPテラーク)
南 学(筑波大学臨床医学域・放射線医学)
下野太郎(大阪市立大学大学院医学研究科放射線診断学・IVR学)

発売元 学研メディカル秀潤社
サイズ:A5判
頁数:376ページ
定価:本体3,200円(税別)
発行年月:2014年04月17日
ISBN_10:4-7809-0895-7
ISBN_13:978-4-7809-0895-4

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