書評「画像診断を考える 第2版  よりよい診断のために」 高橋光幸(横浜栄共済病院診療技術部放射線技術科)

2014.06.16
画像診断を考える
診療放射線技師 高橋光幸
(横浜栄共済病院診療技術部放射線技術科)

 先日「診療報酬改定による今後の医療提供体制の変化」という講演を聞かせて頂いた。それによると、日本全国では、現在8535の病院があり、その中で画像診断管理加算2を申請している施設は1000施設であるということであった(2013年12月末時点)。つまり、日本全国では放射線科医師は絶対的に不足なのである。一方で、画像を作成(撮影)する診療放射線技師は、圧倒的に医師の数よりも多い。
 厚生労働省では、診療放射線技師の新たな業務拡大に「読影の補助」を想定している。現在、日本診療放射線技師会でも大きく「読影の補助」を扱っている。「読影の補助」と謳われた講演会は全国各地で開催され、大盛況である。また、各地の診療放射線技師主催の研究会においても私の知る限りでは、読影の仕方などを講義する内容が多くなってきており、多数の参加者があるという印象を持っている。
 今、「読影」という言葉に診療放射線技師は非常に敏感になっているのである。「読影の補助」の定義は、曖昧ではあるが、診療放射線技師は、放射線科医師の仕事を一度、体験してみると良いと考えている。そうすることでより先生方がどういったことを求めているのか? どういった点に注意すれば、読影しやすい写真を得ることができるのか? が理解できるのではないかと思う。
 本書は、研修医また学生対象にも書かれた、非常にわかりやすい本であり、日本を代表する放射線科医師が、どういったことに留意して読影をするのか? またどんな書物、雑誌、websiteを参照にしているのか? などを知ることができる、貴重な本である。この本を読むことで、「放射線科医師の仕事体験」を少し、経験することができるのではないかと考えている。是非、診療放射線技師の先生方にも読んでいただき、読影ということを改めて考える機会を作っていただきたく思う。また、実際に読影に興味のある先生は、是非分野別の先生の章を読んで頂き、参考にしていただきたいと思う。絶対に読んでよかったと思える本であると自信を持って推薦する。

画像診断を考える 第2版 
よりよい診断のために

編・著:
西村一雅(大阪府済生会茨木病院放射線科/株式会社ラドアシスト/LLPテラーク)
南 学(筑波大学臨床医学域・放射線医学)
下野太郎(大阪市立大学大学院医学研究科放射線診断学・IVR学)

発売元 学研メディカル秀潤社
サイズ:A5判
頁数:376ページ
定価:本体3,200円(税別)
発行年月:2014年04月17日
ISBN_10:4-7809-0895-7
ISBN_13:978-4-7809-0895-4