島津製作所、抗体医薬製造のプロセス開発に新たなツールを提供抗体の糖鎖構造の最適化を支援

2024.01.17
製品写真:トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060NX」

製品写真:トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060NX」

 島津製作所は、製薬企業や医薬品受託製造(CDMO)向けに、抗体医薬の製造プロセス開発業務に役立つ新たな製品群の提供を開始する。第1弾として、抗体産生細胞の培養液や細胞内に含まれる、抗体医薬の重要品質特性である糖鎖(糖が連結した化合物)の基質となる糖並びにその中間体である糖ヌクレオチドを分析する、トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)用ソフトウェア「LC/MS/MSメソッドパッケージ 糖・糖ヌクレオチド」を11月30日に発売。25種類の糖と9種類の糖ヌクレオチド(糖鎖前駆体)および関連化合物などについて分析条件が搭載されており、特別な準備無しに使用できる。抗体医薬の製造工程を最適化・効率化するプロセス開発用途での利用を想定している。当社は、抗体医薬製造における細胞の培養条件効率化に資するトータルソリューションとして、本製品を含む様々な製品・ソフトウェアを提供していく。なお、本製品は日本分子生物学会展示会(12月6日~8日、神戸市)に出展する。

 抗体医薬は、チャイニーズハムスター卵巣細胞等を用いて製造され、がん細胞などの目印となる抗原を標的とすることで、高い治療効果と副作用の軽減が期待できる。そこで重要な役割を果たしている糖鎖の構造は、非常に複雑で多様である。近年、製造時の培地成分の調整により糖鎖構造をコントロールする取り組みが報告されているものの、効率的に実施できる技術は製品化されていなかった。

 本製品は、LCMSで抗体産生細胞や培地、培養後に生じる上清(上澄み液)に含まれる糖などを分析するためのソフトウェアである。「培地に添加した糖類」と「細胞内で生成された糖ヌクレオチド類」の種類や増減を解析し、抗体の糖鎖構造との相関関係を可視化できる。構造の似た物質が多く分析が難しいとされる糖類について、世界で初めて最適な分析条件を確立し、詳細な分析を可能にした。当社は本製品に加えて、糖鎖合成に関わる金属元素を分析するICP質量分析計や、抗体に付加された糖鎖の成分を分析する液体クロマトグラフ(LC)も合わせて提供することで、培地成分と抗体の糖鎖構造との相関性を明らかにしていく。糖鎖構造を制御する培養条件探索を効率化することで、抗体医薬開発工程の革新に貢献する。

 島津製作所は細胞関連事業に注力しており、細胞培養条件の最適化に役立つ「LC/MS/MSメソッドパッケージ 細胞培養プロファイリング」などのソフトウェアも有している。本製品および「細胞培養プロファイリング」で得られた分析結果をもとに、臨床事業における開発・製造・販売子会社である島津ダイアグノスティクス株式会社がカスタマイズ培地を開発・販売する事業を展開していく。

新製品の特長

1. 世界で初めて糖分析用に最適化されたソフトウェア

 糖や糖ヌクレオチドには異性体と呼ばれる同一質量かつ類似構造の物質が多く存在し、分析・判別が困難であった。本製品は、糖や糖ヌクレオチドの異性体について最適な分析条件を収録。煩雑な条件を検討することなく、簡単に分析を開始できるソフトウェアは世界初である。

2. 代謝経路上の相関関係を可視化

 本製品には、培地に添加した糖類と、細胞内で代謝・生成された糖ヌクレオチド類について、種類や増減を可視化できる「マルチオミクス解析パッケージ用白地図」が含まれている。培養に伴う時系列変化を簡便に確認でき、糖鎖構造を制御するための培養条件を効率的に探索できる。

「マルチオミクス解析パッケージ用白地図」画面イメージ

「マルチオミクス解析パッケージ用白地図」画面イメージ

3. 抗体医薬製造のトータルソリューションを提供

 最終的に製造された糖鎖の成分をLCで分析して、本製品などの分析結果と比較することで、糖鎖構造を制御する培養条件を探索できる。細胞培養条件の効率化に資するソフトウェア「細胞培養プロファイリング」を用いた培地のカスタマイズと合わせて、抗体医薬品メーカー向けトータルソリューションを提供。

お問い合わせ先

株式会社島津製作所
コーポレート・コミュニケーション部広報グループ
Tel:075-823-1110