島津製作所、優れた操作性・安全性で医療のクオリティ向上に貢献
―血管撮影システム「Trinias」シリーズバイプレーンタイプを発売―

2023.04.13
製品写真:血管撮影システム「Trinias」

 島津製作所(以下、同社)は、4月12日に血管撮影システム「Trinias(トリニアス)」シリーズのバイプレーンタイプ3モデルを国内外で発売する。

 「Trinias」シリーズは高い画像処理技術により低被ばくかつ高画質を実現した同社血管撮影システムのフラッグシップモデルである。血管撮影システムは、脳や心臓などに細く長い管(カテーテル)を挿入して脳梗塞や心筋梗塞を治療するカテーテル手術や、血管系疾患の検査・治療などに使用されるX線透視撮影装置である。同システムには、X線管装置と検出器を搭載したCアームと呼ばれる機構が付いており、Cアームが1組のシングルプレーン、2組設置されたバイプレーンの2タイプがある。バイプレーンは、2式のCアームによる2方向からのX線透視・撮影が可能なため、シングルプレーンと比較して多くの情報が一度に得られ、特に心臓や頭部領域、小児などの高度なカテーテル手術で使用される。治療時間の短縮や撮影時の造影剤投与量の低減につながり患者の身体的負担が低減できる一方、2つのCアームの適切な位置設定(セッティング)が難しいという課題があった。また、近年、外科治療と比較して侵襲性の低いカテーテル手術が普及し血管撮影システムの使用症例が増加したことにより、同システムの使用経験が浅い医療従事者でも使いやすい装置が求められている。

 本製品は、複合的な動きを安全にワンタッチで操作できる「ダイレクトメモリー」機能を搭載している。バイプレーンでもシングルプレーンと同様の簡易な操作性を実現する。また、撮影開始時のCアームのセッティングにかかる時間を、従来製品比50%以下に短縮した。これらの機能による操作性の向上による治療時間の短縮、またバイプレーン撮影による造影剤投与量の低減を実現した。

 同社は2023年度から始まった中期経営計画において、画像診断機器とAIやIoT技術を用いて新たな付加価値を提供する、「イメージングトランスフォーメーション(IMX)」と名付けた戦略を推進する。今後もカテーテル手術の普及およびカテーテルなど医療器具の微小化や高度化は進むと見込まれている。同社はIMXの一環として、これからも低侵襲医療の発展につながる血管撮影システムを開発し、より患者負担の少ない治療の普及に貢献する。

新製品の特長

1.簡単・安全な操作を可能とする新コントローラー

 本製品は、ベッドサイドで使用するコントローラーに、複雑な操作が不要で、直感的なタッチパネル操作でCアームの角度を設定できる「ダイレクトメモリー」機能を搭載している。新コントローラーは、バイプレーンを操作者1人でも簡単・安全・直感的に操作できるように、操作レバーやボタンを最小限に抑えコンパクトにされている。バイプレーンのストレスフリーなワンマンオペレーションを可能とする。

2.治療時間を短縮できる高速ポジショニング

 高速ポジショニングを実現した新Cアーム設計により、治療時間を短縮する。同社従来機種に比べて、撮影開始時のCアームの位置設定(セッティング)にかかる時間が半分以下となる。また、バイプレーン利用時のCアームの回転速度は、最大1.6倍(当社従来機種比)となり、スムーズな治療を支援する。

3.環境に配慮したエコ設計

 機械キャビネットの設置面積を同社従来機種に比べて38%削減する。特に優れた環境性能を実現している製品を認定する同社独自基準「エコプロダクツPlus」を取得している。また、ケーブル類も57%削減し、装置周りを清潔に保ちやすくするとともにメンテナンスの手間を減らす。

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島津製作所
URL: https://www.shimadzu.co.jp/