平成28年度第一回関東DR研究会「エキスパートになるための小児撮影講座」開催

category:取材速報
2016.08.09
会場風景
日本放射線技術学会関東支部関東DR研究会は2016年7月9日(土)に、第一回関東DR研究会「エキスパートになるための小児撮影講座」を開催した。成人と比べ臨床で検査をする機会が少ない上に、特殊な状況となる小児の一般撮影について、放射線科医、診療放射線技師の視点で講演の後、会場の参加者も交えたディスカッションが行われた。
中島正弘氏
河野達夫氏
柳田 智氏
染森太三氏

 まずは代表幹事である中島正弘氏(市立甲府病院)による開会挨拶に続き、座長を中村氏として河野達夫氏(東京都立小児総合医療センター)による特別講演「小児の検査と診断ポイント」が行われた。放射線専門医である河野氏は、小児の単純撮影を読影する時、小児画像診断医はどこを見ているのかを各部位ごとに説明。
 例えば頭部では、骨折と縫合の微妙な違いが問題となるため、辺縁の性状が分かる画像が必要となる。また、正常骨と異常骨の違いを区別できる線質、濃淡が必要である、と同氏は述べた。
 頚部画像では、気腔や披裂喉頭蓋ひだ、気道の狭小化などを見ている。気道の側面像は正しい呼気、呼吸相でなければ誤診を招くため、「頚部を伸展し腕は下げ、体幹部と顔を同じ向きに向け正確な側面で撮ること、また、吸気で撮るべきである」ということだ。
 さらに、骨軟部の撮影の際には、小児の骨疾患は大部分が骨端線と骨幹端に生じることを念頭に置き、X線を骨端線に落とすことが重要である。
 外来における腹部単純撮影でのルーチンは基本的に「臥位正面1枚のみ」である。立位での撮影は、患者への被曝を2倍与える意義のある病態の場合のみ追加し、立位のみの撮影オーダに対しては、放射線科医から理由を聞くべきである。反対に、胸部撮影においては立位の方が適しているという。
 最後に「小児撮影では特に、高分解能な画像・正しい診断と低被曝・低侵襲のバランスをとることが非常に重要である。診療放射線技師はこの天秤の両方に関与できる存在だ。放射線科医と診療放射線技師は違う職種であっても同じ方を向いている。力を合わせてより良いケアを提供していきたい」と締めくくった。
 次に、座長に柳田 智氏(北里メディカルセンター)を迎え、染森太三氏(国立成育医療研究センター)が「小児の骨撮影と撮影条件について」と題して、小児X線の撮影条件や、固定具と固定法などについて、教育講演をした。小児の身体は絶えず成長・発達を続けており、悪化も回復も早く放射線感受性が高い。そして、その骨は多孔質で水分量が多く、弾力性に富み、骨端線が存在するため、小児特有の「不完全骨折」を起こしやすいという特徴をもつ。染森氏は年齢別の撮影条件を紹介した後に、固定についても説明。検査前に必ず出来る準備を先に行った上で、スタイロフォームや固定具、タオルなどを用いて固定する。その後、いくつかの症例画像が、撮影条件とともに示され、児童虐待についても言及した。児童虐待が疑われたときは、全身骨撮影を行う。児童虐待に特徴的な骨折は、時期の異なる多発骨折や、多発肋骨骨折、骨幹端部骨折、corner fractureなどがある。
 染森氏は小児撮影の際の心がけとして「なるべく安全に撮影をすること。チームワークを大切に、付き添いの方への配慮を忘れず、検査の説明もしっかり行うこと。子どもと目線を合わせて、笑顔で明るく接することが大事である」と述べた。
 その後、ディスカッションが行われた。線量の問題や、付き添い(主に親など)の手を借りるかどうか、また、FPDを使用しての撮影など、診療放射線技師が日々の小児撮影で疑問に感じている点について、活発な意見が交わされた。

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