第7回一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会(ATS)セミナーが開催される

category:取材速報
2016.01.29
石垣武男氏
秋野公造氏
市川守氏
石谷和浩氏
岡本将紀氏
煎本正博氏
平澤之規氏
下田仁志氏
大森修氏
会場風景
 一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会(ATS)による第7回セミナーが、1月16日、全国家電会館(東京都文京区)で行われた。本記事では、特別講演、賠償責任保険の報告、シンポジウムについて報告する。

特別講演「遠隔医療の推進に向けた立法府からの取り組み-骨太の方針2015の策定等について-」

 特別講演では秋野公造氏(参議院議員)が登壇。石垣武男氏(同連合会)が司会を務めた。同氏によれば、政府は昨年6月に「骨太の方針2015」を閣議決定し、それに則った規制改革実施計画の一環として、医療資源を効果的・効率的に活用するため遠隔医療の推進を行うとしている。有用な遠隔モニタリング技術の評価についても、患者の利便性向上や医療従事者の負担軽減の観点から、中央社会保険協議会において検討が行われるという。遠隔診療の推進の仕組みの構築には、合意形成の進んだものが進められる。同氏は胃癌予防のためのピロリ菌除菌に対する薬事承認と保険適用へ至るまでの消化器内証学会との取り組みを紹介。「『骨太の方針』にあたることであれば、必ず話は進む。遠隔医療推進のためには、学会・専門家の間で合意形成を行い、アプローチをしていくことが重要である」と呼びかけた。

「賠償責任保険の報告」

 石谷和浩氏(セゾン保健サービス)、岡本将紀氏(損保ジャパン日本興亜)より、近年の医療訴訟の傾向や、リスク管理について説明が行われた。司会は市川守氏(株式会社ダイヤメディカルネット)である。昨年医療訴訟はここ数年、年間800件前後で推移しているが、緩やかな増加傾向にある。また、昨年10月に医療事故調査制度がスタートし、制度対象案件(医療事故:予期せぬ死亡)について第三者機関への報告、院内調査が義務化されることとなった。岡本氏は医療事故に対するリスクマネジメントとして「記録の重要性」を強調。紛争や訴訟は医療行為日から相当期間経過した後に発生することもあり、記録の散逸や不十分な場合には事実間関係の確認が困難になる。医療事故が発生した際には、記録者を指定し、開示を前提とした記載を行うことが重要である。また、石谷氏からは、遠隔画像診断業務に特化した保険設計が紹介された。

シンポジウム「遠隔画像診断サービスにおける診療放射線技師の業務」

 煎本正博氏(株式会社イリモトメディカル)、平澤之規氏(株式会社メディカルイメージラボ)による司会のもと、遠隔画像診断サービスで活躍する診療放射線技師が登壇し、遠隔画像診断の業務における診療放射線技師の役割について講演を行った。
 最初に平澤氏が、診療放射線技師としての経験が生かしやすい遠隔画像診断サービスの業務について紹介した。同氏は診療放射線技師としての経験を生かし、新規顧客の開拓や新サービスの紹介、システムにかかわる業務、医療機関とのやりとり、情報収集や調査などを行っている。とりわけ重要な仕事になるのは枚数課金資料作成である。この業務について同氏は、「実際の画像を見て分からなければ課金することは難しい。ただ診療放射線技師の資格を持っているだけでなく、病院で実際に働いていた経験があるからこそできる仕事である」と述べている。
 次に、下田仁志氏(株式会社ドクターネット)が登壇。ドクターネットでは診療放射線技師がオペレーターとして医療機関と読影医の間に入り、依頼内容の調整や読影レポートのやりとり等の業務を行っている。読影レポートに対しては、オペレーターが依頼書の内容やキー画像と所見が一致しているかどうかや、撮影された画像の他の所見の有無などのチェックをしている。見落としを防ぎ、高品質なサービスを提供できる一方で、「医師以外からの指摘に読影医が納得できない場合もある」「診療放射線技師が臨床を学ぶ機会が不足している」といった点が課題だ。下田氏は「臨床経験のある臨床放射線技師だからこそ、より医療機関や読影医の気持ちに寄り添えるのではないか」と、今後の展開に期待を寄せている。
 ホスピネットの大森修氏(セコム医療システム株式会社)は「読影医に気持ちよく読影していただける環境作り」を重視した取り組みについて述べた。「読影医とのコミュニケーションを大切にし、より良い読影レポートのためにチームでサポートしている」と同氏。ホスピネットでの読影レポートの品質管理のための内容チェックは、単なるレポートの間違い探しにとどまらない。スタッフが読影医の読影スタイルや記載ミス、コンディションを把握し、対策を講じている。例えば、音声入力ソフトの導入の導入による読影負荷の軽減の検討や、読影管理と配信環境の最適化などがその一例である。配信から読影終了まで読影医をトータルでサポートし、ストレスなく読影をしてもらうことで、クライアントからの問題、要望事項にきめ細やかに対応した読影レポートを提供しているのだ。
 この後のディスカッションでは、遠隔読影サービスでの読影レポートに対する診療放射線技師の関わり方に焦点が当たり、活発な意見が交わされた。読影レポートのチェックに診療放射線技師がどこまで踏み込むかという問題に対する高い関心が伺われ、今後も重要なテーマとなっていくと思われる。

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