ソニー、新クラウドシステムと「電子お薬手帳サービス」の発表会も開催

2013.08.27
鈴木智行氏
福士岳歩氏
五十嵐 中氏
会場風景
 ソニー(本社:東京都港区、代表執行役社長兼CEO:平井一夫)は8月19日、ソニーシティ(東京都港区)にて、新型クラウドシステムと、そのアプリケーションとなる「電子お薬手帳」サービスについて発表した。
 まず、鈴木智行氏(執行役EVP)が概要について述べ、続いて福士岳歩氏(同社R&Dプラットフォームビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ)がシステムとサービスの詳細を語った。従来のクラウドサービスでは、利用者の個人情報とデータの両方が対になって同じクラウド上のサーバに保存されるため、外部または内部からシステムへの侵入を受けた場合、これらが同時に漏えいするリスクがあった。今回開発された新クラウドシステムでは、データのみをクラウド上に保存し、各種電子マネーや交通システム等で広く普及したICカードに保存した個人情報を、利用者が必要なときのみ合致させることで、クラウド上のサーバに不正なアクセスがあった場合でも個人情報の漏えいを防ぐことができる。今回ソニーが提案する「電子お薬手帳サービス」では、薬局が発行し、2012年4月以降すべての患者に配布している「お薬手帳」のデータをクラウド上に蓄積させ、個人情報をICカードの1つであるFelicaカードに保管する。薬局にて専用端末にカードをかざすだけで、調剤履歴の閲覧と調剤情報の記録を行うことができる。さらにスマートフォン用アプリケーションをインストールすれば、モバイル端末からも閲覧できる上、診察を受けた際の症状や、服薬後の副作用、アレルギー等の記録も可能だ。
 既に川崎市宮前区では2011年11月から2014年3月まで、20薬局と4クリニックで試験的にサービスを行っており、1,004人の患者が参加している。長嶋 元氏(川崎市薬剤師会会長)は、「以前より興味を持っていた。川崎市を発端として、全国に広まっていくことを期待している」とコメントを寄せ、プロジェクトを監修した五十嵐 中氏(東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学特任教授・一般社団法人医療経済評価総合研究所所長)は「潜在的な、飲まれていない薬を減らすことができる」とコメントした。このサービスは、2013年秋より川崎市全域に対象エリアを拡大する。