日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニック、共催プレスセミナー「日本発 下肢救済のための足病診療に関する患者・医師調査」を開催

2013.02.05
小林修三氏
大浦武彦氏
会の模様
 日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、日本メドトロニックは2月5日、レベル21(東京都千代田区)にて共催プレスセミナー「日本発 下肢救済のための足病診療に関する患者・医師調査~診療実態から足切断のリスクの高さが判明~」を開催。本会では、日本の足病変の重症化が懸念されている中、その早期発見・治療や今後の対策につながる施策について講演が行われた。
 会の冒頭、小林修三氏(日本フットケア学会理事長、湘南鎌倉総合病院副院長・腎臓総合医療センター長)による「透析患者におけるPADの早期診断・治療の重要性~足病変ハイリスク患者を足切断から救うために~」が開催された。末梢動脈疾患(PAD)患者は、全国で約320万人いるとされている。同氏は「腎不全による透析を受けている患者は予後が悪く、その5年生存率は61.4%となっている。これは、早期の胃がん患者の5年生存率71%よりも悪い。心血管合併症による心不全の他に、末梢動脈疾患が大きな要因だ。末梢動脈疾患は早期発見が難しく、足を切断するしかない状態になって初めて気付くケースが多い」と警鐘を鳴らす。また、今回初めて行った患者調査の結果から、足病変に対する認知度が低かったこと、医師への相談・受診のタイミングが遅いケースが目立ったことに触れた上で、「足の血圧を測定するABI検査や動脈拍動触診が必要不可欠。早期発見と適切な診断が治療の鍵となる」と解説した。
 続いて、大浦武彦氏(日本下肢救済・足病学会理事長、北海道大学名誉教授)が「重症下肢虚血患者の下肢救済」をテーマに講演。同氏は「重症下肢虚血(CLI)患者は血行の再建が緊急を要するため、治療のスピードは速ければ速いほど良い。そこで重要になるのは各科を超えたチームワーク医療となる」とした上で、「現状は足病患者の窓口になる診療科が不明確であり、血流評価・治療の体制が不十分。今後の課題として、チーム医療が可能になる施設・地域の設立の促進、下肢・足病の認知を広める啓蒙活動が不可欠だ」と主張した。