東芝メディカルシステムズ、Aquilion PRIME Symposium 2012を開催

2012.07.31
今井喜与志氏
宮谷美行氏
山本浩之氏
多賀谷 靖氏
平野雄士氏
白石哲史氏
渡辺博也氏
小林泰之氏
石村理英子氏
松本純一氏
 東芝メディカルシステムズ(株)は7月28日、丸ビルホール&コンファレンススクエア(東京都千代田区)にて、Aquilion PRIME Symposium 2012を開催した。
 まずはじめに、同社の今井喜与志氏が挨拶を述べ、続いて宮谷美行氏(同社CT営業部)より技術紹介が行われた。宮谷氏は、検査全体の高速化を左右する主な原因を挙げ、これらを解決してワークフローを改善したいと思っていた、そこでArulaというコンセプトが掲げられたという。具体的には、780mm大開口径ガントリと寝台移動機能の「Arula Setting」で素早く優しいセッティングを、Wide Detectorと高密度サンプリングV-TCOT再構成アルゴリズムの「Arula Helical」で160mm/秒の高速ヘリカルスキャンを、そして専用の高速画像再構成エンジンとDual CPUによる完全へ移行措置を行う「Arula Recon.」で60画像/秒の高速画像再構成を実現することで、CT撮影から画像表示までのワークフロー全体を高速化する。また、生データベースノイズ低減技術:Boost3Dによって、より低被ばくでも診断可能な画像を得ることができるという。
 Session1「Aquilion PRIMEの各領域における技術」は、山本浩之氏(倉敷中央病院放射線センター)が座長を務めた。まず多賀谷 靖氏(虎の門病院放射線部)が「Aquilion PRIMEの各領域における技術~基本性能~」と題して発表した。多賀谷氏は、Aquilion PRIMEは日常業務や救急撮影時に診療放射線技師のワークフローを改善し、すべての検査部位に対して低線量で高分解能名画像を提供でき、またこれから増加する心臓CTも行える有効な装置であると述べた。
 次に平野雄士氏(小樽掖済会病院医療技術部)が「Aquilion PRIMEの各領域における技術~性能評価」として講演した。平野氏は検討結果について、0.35sec/rotのルーチンでの使用が期待できること、高速ヘリカルでは画像ノイズ、アーチファクト上昇は避けられないため撮影条件に留意する必要があること、AIDR3Dではprospective、retrospectiveの効果の違いを考慮し適切に設定する必要があると述べた。
 続いて白石哲史氏(新古賀病院放射線診断部)が「Aquilion PRIMEの各領域における技術~体幹部領域」について発表。同院ではAquilion PRIMEの導入でスループットが向上し待ち時間短縮に繋がり、またAIDRの採用によってルーチン胸部CTで52.6%、肝臓3相CTで48.6%被ばくを低減できたという。
 第1部の最後は「虎の門病院循環器センター内科救急撮影での使用経験」と題して渡辺博也氏(大阪府三島救急センター放射線科)が講演。再構成時間の速さや被ばく低減、開口径が大きいといったメリットを挙げるとともに、今後のさらなる低線量撮影などについて期待を述べた。
 Session2は「Aquilion PRIMEの各領域における臨床」と題し、小林泰之氏(聖マリアンナ医科大学放射線医学教室)座長のもと、進められた。
 石村理英子氏(虎の門病院循環器センター内科)は、同社の64列CTと比較したPRIMEの被ばく低減効果や画質評価の結果から、心臓CTにおけるPRIMEの被ばく低減効果、画質の向上を示した。
最後に松本純一氏(聖マリアンナ医科大学救急医学)が「救急診療におけるAquilion PRIMEの位置づけ」と題して講演。松本氏は短時間で正確な情報を得られるCT検査だが、いつでも充分なスタッフ数で診療できるわけではない救急部門でいかに安全に効率良く使用できるかが重要であると述べた。
 各演者からAquilion PRIMEの具体的な有用性と、今後のさらなる低被ばく撮影などの期待が語られた。