富士フイルム、超音波装置の大手企業 米国SonoSite社の買収合意 ~両社の持つ技術補完によるシナジーに期待~

2011.12.16
古森重隆氏
玉井光一氏
 富士フイルムホールディングス(株)は12月15日、東京ミッドタウンタワー(東京都港区)にて超音波診断装置の大手企業、米国SonoSite社買収に関する説明会を開催した。
本会ではまず、同社代表取締役社長・CEO古森重隆氏より「富士フイルムのメディカルシステム事業と今回の買収の目的について」発表した。同社は「メディカルシステム・ライフサイエンス分野での大幅な成長を実現」「新興国での売上・利益拡大」を成長戦略として掲げており、同氏は「従来より当社が得意としてきたX線画像診断(FCR/DR/フィルム)などの診断領域だけでなく、機能性食品のような予防領域、医療用医薬品といった治療領域に事業を拡大し、総合ヘルスケアカンパニーとして2018年には約1兆円の売上を目指している」と述べた。また、今回のSonoSite社買収の目的として、「超音波診断装置は非侵襲性の高い製品であり、大がかりな設備が不要な上、高い汎用性を持ち、特に携帯型超音波診断装置市場は年率10%以上の成長が見込める。これからも当社製品は常にナンバー1、オンリー1を目指してまい進していく」と語った。
 次に、同社取締役常務執行役員メディカルシステム事業部長、玉井光一氏が「携帯型超音波診断装置大手 米国SonoSite社買収について」発表した。SonoSite社(本社:米国ワイントン州)は従業員数878名(2010年12月31日時点)、主な拠点はオーストラリア、フランス、日本など各地にあり、米国、カナダには開発部門も設けている。高い解像力を持つSonoSite社の超音波診断装置は、携帯型の超音波市場において世界シェア2位。同氏は「SonoSite社の特徴・強みは高いシェア、顧客ニーズの開拓力・商品企画力においても優れていることにある。さらに、患者がいる医療現場で、直接医師が治療方針の診断・処置を行うPoint of Care(POC)市場であることや、ものづくりにおける高い技術力が魅力的」と述べた。また、最後に同氏は「当社の持つ画像・レーザー技術を組み合わせ、小型で高画質といった高付加価値を実現し、SonoSite社の持つ低コストの設計技術を、診断・POCの両市場に搭載することで価格競争力のある商品展開が望める。当社とSonoSite社の大きなシナジーに期待していただきたい」と締めくくった。