働き方ノート Vol.19 南雲 亮先生

2023.06.21

今があるのは、いい先生、友人、そして叔父さんのおかげ。助けあって貢献したい!

■ 仕事編

・診療放射線技師になった動機、やりがい診療放射線技師になられてどうか?

 叔父が診療放射線技師だった事もあり高校2年生の時に進学を選びました。

 この時から予防医学の道に進みたいと考えるようになりました。

 技師になってからは失敗もたくさんありましたが健康診断受診者様、医療機関の方々、医療機器メーカーの方々、検体会社の方々、その他多くの方々と関わり合いを持てて感謝の言葉を受け取った際には技師になって良かったなと思います。

・なぜアサヒメディカルに入ったのか

 叔父が経営する会社であった事が一番の理由です。高校三年生頃からは跡継ぎとして仕事を覚えていくように言われていたのでアサヒメディカル以外に入る選択肢も考えも当時はありませんでした。診療放射線技師の学校は城西放射線技術専門学校の夜間部でしたので、右も左も分からないまま18歳でアサヒメディカルに入社しました。

 スタッフは今のところ自分しかいません。人を雇う余裕ができれば今後スタッフを募集するかもしれないです。

図1

・医療機器のレンタルに関わる理由

 医療機関様向けに医療機器のレンタルをしている弊社ですがメインはレントゲン車のレンタルになります。レントゲン車は一台一台が数千万円から一億円を超えるバスまであるかと思います。その投資をするよりレンタルで数年様子を見てから購入を考える医療機関様が増えております。そういった医療機関様からの需要もあり弊社はレンタルを生業としております。

・会社の概要、特徴など

 弊社は健康診断の実施に必要な機材等のレンタル、健康診断に関する一部業務委託をしている会社です。メインはレントゲン車のレンタルやレントゲン撮影の業務委託になります。台数は胃胸部車3台、胸部車2台、マンモ胸部車1台、ポータブル式装置1台、可搬式装置1台です。問い合わせがあれば全国どこでも行っております。北海道や鹿児島も実績がございます。

 同業他社と比べての特徴としましては「レントゲン車が綺麗なこと」「常勤技師6名が全員大型自動車免許を持ちレントゲン車を運転していること」の2点です。

 レントゲン車は汚れたらとにかく洗車、雨の日の翌日は泥が跳ねるので下半分だけ一周ブラシで磨きます。洗車機には入れずに人力で洗います。また、数ヶ月に一度ワックスもかけますがスポンジを片手に天井から側面全てを手で塗っていきます。そうすることでバスに愛着が湧くんだと社長に昔から言われてきました。

 また、大型自動車免許については毎日運転する訳ではありませんがバスをレンタルする会社で運転手が足りない、技師が足りないとなれば恥ずかしいと思い技師が運転手も兼ねることでカバーしております。バスの管理に関しては運転だけ出来ても素人ではどうしても難しいので車輌課の人間が管理しております。

・仕事をしてどうか?大変なところ、やりがいなど

 大変なところは朝が早いところです。朝は苦手です。本当に苦手です。運転は好きなのでレントゲン車の運転に関しては嫌だと思ったことはありません。20歳の時に中型免許、22歳の時に大型免許を取りましたので20~22歳の在学中も胸部車までは運転をしておりました。夜間の学校に通いながら仕事をしていた時は大変でした。レントゲン撮影に関しては嫌だと思った事は一度もありません。

 やりがいはたくさんありますが医療機関様、事業所のご担当者様、受診者の皆様に感謝の言葉をいただいた時に一番やりがいを感じます。

・不安や葛藤は?

 医療は日々進化している為、不安が全くないわけではございませんが弊社は柔軟に対応出来る社員が多く、時代に沿った事業で乗り越えられると思っております。

 また、レントゲン撮影に関してですが綺麗に早く撮影する事が一番だと思いますが一般的には早く撮影すれば質は落ち、綺麗に撮影しようと思えばスピードは落ちるかと思います。巡回健診は外に受診者様が並ぶこともあるのでそういった葛藤はあります。

・これからの展望(お仕事面)

 バスの需要はこれからは首都圏以外の方が増えていくと考え全国的に契約を増やしていけたらいいと思っております。また、一部業務委託に関しては医療機関様から責任者で一人来て頂き、それ以外の検査業務は全て弊社で行っております。結果の出し方についてもアドバイスをしながら協力させていただいております。この依頼が多いので当分はそこに力をいれることになりそうです。

 中期計画、長期計画で様々な計画がございますがまずは目の前の仕事一つ一つに真摯に取り組み一つでも多くの医療機関様と信頼を築けたらと思います。また、最近は医療機関様だけでなく様々な会社と打ち合わせを行い色々な形で業務提携をしております。

 写真は左が山中技師で右が私です。九州出張で3ヶ月程バスを貸し出していた際に現地で同じ学校だった山中技師ですが同窓会の九州支部長をしており、その繋がりで2社ほど九州の医療機器メーカーの社長を紹介していただき今でもいいお付き合いをさせて頂いております。

図2

・AIの台頭について

 我々の仕事でAIに代わるとしたらレントゲン車のレンタルを探しているが見つからない時に、レントゲン車が空いている会社をAIが候補として挙げ選ぶようなところかと思います。実際やろうとしている会社は既にありますが中々難しいそうです。

 撮影手技に関してはAIになる事はないと思います。自動運転に関しても大型車はまだまだ無いと思います。最近では補助読影としてAIを導入しているところをよく聞きますが評判がいいみたいで単価計算もしましたが比較的安いのではないかと思います。ただ、読影の台頭にはならないかと思います。

・「いまの自分をつくった」と思う学生時代の出来事

 技師学校に入りたての頃、学校説明会と最初の一週間毎日担任の先生から髪の毛の色とピアスの事で呼び出しをされて「本当に医療従事者になりたいのなら日頃から身だしなみを整えろ。出来ないなら学校を辞めろ」と毎日注意を受けました。ある日先生に「生徒にそんなに恨まれるように毎日言ってて先生もストレスじゃないの?」と聞いたら先生が以前担任だった4年生のクラスの国家試験合格率が悪く、1年生の時から厳しくしないと4年生でつまずくといった返答でした。その返答が僕には刺さるものがありその時から髪も黒く染めなおしピアスも一度もつけていません。僕が国家試験に受からなければその先生が悪く言われると思い必死の思いで勉強したら何とか受かることが出来ました。

 また、叔父の会社ですぐに技師として働くか病院を一度経験するか自分の中で非常に悩んだ時期がありました。病院しか経験が無い人が健診業界に来ることはあっても健診しか知らない人が病院に行ったのを見たことが無かった為です。そんなとき担任の先生に相談したら「いつか叔父さんの会社で二代目としてやるなら叔父さんの会社で経営を学んだ方がいい。病院で技師の腕を磨きたいなら週1とかで施設を紹介するから」と言ってもらい技師になってからも叔父の会社で働こうと決めました。

 今の自分があるのは当時の先生がいたからで、いなかったら別の自分になっていたと思います。ただ、今の自分でよかったと今は思います。先生には年1回必ず挨拶に行くようにしています。

図3

■ プライベート編

・ある一日のスケジュール

 最近は船釣りに夢中になってしまい、朝3時に起きて埼玉の自宅を出て神奈川県茅ケ崎へ向かい6時に船に乗ります。13時まで釣りをして2時間程仮眠をしてから帰ります。大体家に着くのは18時頃です。その日のうちに出来る魚の処理をしてしまい食べるのは後日の楽しみです。何も釣れない日は茅ケ崎の魚屋さんへ行き釣果を粉飾します。

・これから診療放射線技師をめざす方に向けて一言

 国家試験を有する事の最大の強みは仕事の選択肢が増える事だと思います。その中でも診療放射線技師は病院以外でも色々な働き方があると思います。とてもやりがいのある仕事だと思いますので勉強は非常に大変ですが頑張って下さい。

■ プライベート編

・学生のうちに、やっておくといいこと

 友達をたくさん作る事だと思います。技師は横の繋がりが非常にいきると思います。社会人になってから困ったときに助けてくれるのは意外と学生の時の友達が多いです。また自施設と他施設のやり方と比べる材料が出来て業務改善にも繋がるかと思います。

・診療放射線技師として、今気になるトピックはありますか?

 もう昔からだと思いますがバリウム検査が無くなっていくのではないかと噂されているかと思います。バリウム検査が出来る胃部車は新車で買えば非常に高額ですのでペイするまでにかなりの年数がかかります。現在レントゲン車を新車で買うと半導体や元になる車の問題で2年後に納車とお聞きします。もしここで買って5年ほどでバリウム検査が減ってきた場合を考えるとゾッとするので同業者間でも躊躇しております。

図4

・この先、取り組んでいきたいこと

 弊社では2021年にマンモ胸部車を新車で購入致しましたが乳がんの早期発見に力を入れていきたいと思っているからです。現在は神奈川県にあります乳がん予防医学推進協会様と提携させていただき平日に時間の取れない女性の方を対象として土日の昼や夜等にバスをレンタルして撮影を行っています。また診療放射線技師で代表理事の丸山裕美さんがイベントやラジオ等、様々な媒体を使って啓発運動を行っております。初めて協会を知った時はワンコインでマンモグラフィが受けられるようにクラウドファンディングを行っている時でした。その時にマンモグラフィの必要性を改めて感じ、マンモグラフィ検査で乳がんを早期発見する事が出来れば乳がんで苦しむ人が減ると思いますので力を入れていきたいと思っております。

座右の銘「助け合い」

 社長によく「困ってる人がいたら助けてあげなさい」と習っておりました。どんなに急いでいても、道で人がうずくまっていたら車を安全なところに停車して駆け寄り声をかける。考える前に行動に移す。医療従事者は困っている人がいたら助けるんだ。それが医療従事者だ。そんな姿を見てきたので自分も最近は同じような行動が少しは出来る様になりました。

 仕事をしていると「技師がコロナになってしまい明日の技師がいない。誰かいないか?」「バスが故障して明日のバスが無い。どうにかならないか」色々な連絡があります。困っている人がいたら助ける。知り合いの技師30人くらいに連絡をしてようやく一人見つかり明日の欠員を埋めることもあります。前日の夕方に静岡の医療機関でバスが壊れたと連絡があってそのまま静岡にレントゲン車を持って応援に行く事もあります。ただ、ウチが困ったときはいつも助けてもらっています。この関係を大事にしていきたいと思っております。