連載『point of view』第5回 宮城整形外科医院院長 宮城知之氏(Part 2)

2011.11.21

web連載「point of view」は、各回のテーマに対し様々な分野の医師にご意見を伺い、
その鋭い視点などを深く探るコーナーです。
今回のテーマは、「宮城先生オススメの現場で使える市販のデジタルグッズ」です。

前回(Part 1)に引き続き、連載第5回目も医療ITに精通する宮城知之先生にお話を伺いました。
宮城先生が実際に使用している、医療現場で使える市販のデジタルグッズなどをご紹介します。
また、現場で働くドクターとして、業界への要望などもお話していただきました。

 

●宮城先生が便利だと感じた、市販のデジタルグッズを教えてください。

例えば、この「WiFi Body Scale」のようなクラウド型の体重計ですね。フランスのWithings社製で、自動的に計測データがiPhoneやPCへと転送される仕組みになっています。以前から思っていたのですが、海外メーカーは“利用者がいかに使いやすいか”を考えた機能を、いち早く製品に取り入れてくれますね。もちろん、日本にもそういった課題に取り組むメーカーがあり、例えばオムロンから発売されている「自動血圧計 HEM-7250-IT」のような血圧計は、同様の機能が盛り込まれているので気に入っています。私は、利用者がデータ運用する時の負担を極力抑えてくれるグッズを重宝しています。そういった意味では、これら市販のデジタルグッズの中でも、iPadの活用頻度が特に高いですね。例えば、デジカメで今撮った画像を患者さんへの症例説明に使用するのはもちろんのこと、「FaceTime」を使った院内通信で患者さんの動線をスムーズにしたり、動画でのリハビリ説明にも使えます。また、患者さんだけではなく、職員同士のやりとりにも利用しています。

●iPadのどのような機能を、職員の方々との業務に役立てているのでしょうか。

カレンダー」機能を一番活用しています。全員のiPadに同一のアカウントを同期しておけば、患者さんの入院状況や他院受診情報、職員の出勤状況や行動予定を簡単に共有できるようになります。もちろん、同一のアカウントとは別に自分専用のアカウントを登録しておけば、自分だけの行動予定も登録できます。また、同様に「Evernote」もオススメです。重要な資料やおもしろい記事を登録しておけば、あとは各自の端末で確認してもらえますから。このように、職員との“情報の共有化”に、iPadは一役買ってくれますね。また、今後は「Google+」も活用してみたいですね。最大9人で同時会話できるビデオチャット機能が、カンファレンスなどに使えそうです。こういった市販のデジタルグッズの機能を生かして、業務の効率化をはかっていきたいと思っています。

 

iPad

 
●ただ、市販のデジタルグッズを医療現場で使用するには、様々な障害があるようですね。

そうですね。同じ機能の製品でも“医療用”というだけで値段が跳ね上がってしまうのは、悩ましい問題です。薬事法の“医療機器”ではないものを使用するリスクと責任を負うことはもちろんなのですが・・・。このような法律が枷になって、医療の現場では世の中から遅れをとっている場合があります。例を挙げるならば、「お薬手帳」でしょうか。使い勝手を考えた場合、患者さんに提供したお薬の履歴は携帯端末やWebなどを介したデータベースで管理した方が効率的だと思うのですが、実際は薬剤師さんがお薬手帳にひとつひとつ紙を貼る作業になっています。病院側も、受付時にお薬手帳をスキャンしなければならないわけですし、せめてQRコードぐらい入れてもらえれば作業の効率化をはかれると思うのですが…。厚労省がその重い腰を動かしてくれないと、こういった問題は解決しないでしょう。
 

 
●医療従事者向けで「こんなアプリがほしい!」といったアイデアはありますか?

Podcast」のように、音声や動画を用いた患者さん向けのコンテンツを作ってもらいたいです。企業の販促品でも、なぜ病院で治療が必要になるのか、なぜこの薬を飲む必要があるのかを、患者さん目線で説明してくれるようなものがあれば、臨床医は非常に助かりますね。

 

●最後に、整形外科医として「Rad Fan」に期待することはございますか。

「Rad Fan」のように、医療機器に関する情報が豊富に掲載されている雑誌はあまりありません。医療機器は日々進歩しているので、私はそういった情報を「Rad Fan」で確認しています。整形外科の私が読んでも、参考になる情報は多いように感じますね。今後も、某ガジェット情報サイトのように、ライフハック的なアイデアをたくさん取り上げてほしいです。「Rad Fan」のメイン読者層となる放射線科は、患者さんと直接相対する科ではないため、ともすればマニアックな方向に進みすぎてしまう傾向があるのかなと感じています。注意喚起という意味からも、患者さん目線のアイデアをこれからも発信し続けてほしいです。

 

●インタビューへのご協力、誠にありがとうございました。

 

宮城知之(みやぎともゆき)


昭和45年2月      福岡県行橋市で生まれる。
平成8年           熊本大学医学部卒業。
平成8年           九州大学整形外科 入局。以後、関連病院など転々とする。
平成17年9月      九州労災病院 整形外科を退職。
平成17年11月より 宮城整形外科医院を福岡県行橋市にて開院、現在に至る。

開業前後、今に至る愚痴その他を非公式Blog「開業したての整形外科院長の野望(無謀)日記。」(http://miyasei.exblog.jp)で公開中。

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