アボット、パーキンソン病等の運動症状緩和を図る、 遠隔診療機能搭載の充電式脳深部刺激システム「Liberta RC™ DBSシステム」を発売
2025年7月24日―アボットメディカルジャパン合同会社(本社:東京都港区、代表執行役員社長:千田真弓氏、以下「アボット」)は、遠隔診療でプログラミングが可能な、小型化された充電式脳深部刺激システム「Liberta RC™ DBSシステム」(以下「Liberta(リベルタ )」)を発売した。本製品は、薬物療法で十分な改善が得られない本態性振戦、パーキンソン病の運動症状、ジストニア症状の緩和を図る脳深部刺激療法(DBS)で使用されるシステムである。

前胸部の皮膚の下に植込み、電気刺激を発生させるLibertaの刺激装置自社従来品比で約23%小型化
パーキンソン病は進行性の疾患で、発症から3~5年で薬物療法による効果が徐々に低下し、ジスキネジアという自分では止められない身体の動きが現れ始める。DBSはジスキネジアにより日常生活に支障がある患者さんに対し、前胸部の皮下に刺激装置を植込み、繋がったリードから脳深部に電気刺激を流すことで、症状を引き起こす異常な信号を中断し、意志に反する身体の動きの改善を図る。パーキンソン病は指定難病として認定されており、日本では10万人に約100~180人(1,000人に約1~1.8人)が罹患しているが、65歳以上になると100人に約1人の割合となり、高齢化に伴い患者さんは増加している。
Libertaにはアボット独自の遠隔診療機能「NeuroSphere™ Virtual Clinic」(以下「NeuroSphere VC」)が搭載されている。DBS治療を行える認定医は脳神経外科医の約3%に限定されているため、遠方から通院する患者さんが多くいるが、この機能を使用することで、通院の負担を軽減しながら受診することが可能になる。
DBS治療を行う専門医は、専用アプリのビデオ通話機能を通して患者さんの症状を確認し、調整した電気刺激プログラムをインターネット経由で患者さんに送信することができる。患者さんは、Appleモバイルデバイスで受信した電気刺激プログラムの情報を、Bluetoothを通して体内に植込まれている刺激装置に送り、刺激パラメータの設定を変更できる。さらに、これまで対面診療で行われてきた機器の通電能力チェックも遠隔で行うことが可能。通信障害発生時にはリカバリプログラムが作動し、最後に使用していたプログラムに自動設定される。
Libertaのそのほかの主な特長
1.充電頻度が年間約10回
通常、刺激装置が小型であればあるほど充電頻度が高くなるが、Libertaは、より小型でありながら充電持続日数が37日間(標準設定の場合)、年間約10回の充電で済む。
2.刺激装置が小型化
Libertaの刺激装置は、自社従来品比で約23%小型化された。(寸法:幅3.87cm、高さ4.8cm、厚さ0.89cm;容量:13.6cm³)
![]() 左:Libertaの充電器と刺激装置 中央:医師用プログラマ 右:患者用コントローラ | ![]() 埋め込みイメージ |
順天堂大学医学部脳神経外科 教授 梅村 淳先生は、次のように述べている。「DBSは、薬物療法による運動症状のコントロールが困難となった進行期パーキンソン病に対する標準的な外科的治療法であり、日本国内においても約25年の実施実績があります。しかしながら、DBSが実施可能な医療機関は限られており、遠隔地に居住する患者にとっては定期的な 通院が困難であることから、適応があるにもかかわらずDBS治療を受けられない症例が少なくありません。こうした課題に対し、アボットのDBSシステムにおいては、近年開発された遠隔プログラミングソフトウェア「NeuroSphere VC」を介して、患者が携帯端末を用いて自宅にいながら刺激調整を受けることが可能となっています。さらに同社より、遠隔診療に対応した小型充電式DBSシステム「Liberta」が今回新たに発売され、年間約10回の充電操作により使用可能である点からも、今後広範な臨床応用が期待されます。これらの技術により、より多くのパーキンソン病患者がDBS治療の恩恵を享受できる可能性が高まると考えられます。」
アボットメディカルジャパン合同株式会社ニューロモデュレーション事業部 事業部長の藤本祐介氏は、次のように述べている。「人々の人生に大きな違いをもたらす革新的な技術を確立していくというアボットのコミットメントを果たす上で、Libertaは非常に重要な製品です。このシステムは刺激装置の小型化、利便性の高い充電方法、遠隔診療機能による医療アクセス向上など、患者さんへのメリットを第一に考慮して開発されました。Libertaを通して、患者さんの生活の質が向上することを心より願っています。」
脳深部刺激療法(DBS)について
脳深部刺激療法(DBS)は、脳深部に電気刺激を行うことで、薬物療法で十分な改善が得られない本態性振戦、パーキンソン病の運動症状、もしくはジストニア症状を緩和する。病態が進行するパーキンソン病では、発症後徐々に経口薬の効果が下がり、最終的には、身体が自分の意志に反して動くジスキネジアという症状になる。DBSは、ジスキネジアに対する特定の症状への効果が認められている。患者さんは前胸部の皮下に神経刺激装置を植込み、繋がったリードから脳深部に電気刺激を流すことで、身体の振戦症状を改善することができる。
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