島津製作所は、5月22日、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドShimadzu Future Innovation Fundを通じて、米国のスタートアップであるPersist AI Formulation Corp.(以下Persist AI、カリフォルニア州)に出資したことを発表した。Persist AIは医薬品の製剤開発をAIとロボティクスで効率化するプラットフォームを開発している。
医薬品の製剤化は、病気を治療する有効成分を飲み薬や塗り薬、注射剤などの使いやすい形に変え、患者の体内で安全かつ効果的に作用させるための重要なプロセスである。しかし、現在このプロセスは熟練した技術者の知見に大きく依存し、人手も時間もかかるため、開発コストの増加や開発スケジュールの遅延といった課題が顕在化している。その結果、優れた新薬が患者のもとに届くまでに時間を要し、治療の機会が失われかねない状況となっている。こうした製剤化の課題を解決し、革新的な医薬品をより早く、より確実に患者へ届ける新たなアプローチが求められている。
Persist AIは独自に開発したAIにより最適な製剤化レシピを迅速に割り出し、また独自のロボティクスにより従来手作業だった製剤化工程を自動化したプラットフォームサービスを開発している。同サービスは遠隔地からも利用できるようクラウド上での提供を想定しており、これにより同社の顧客であり製剤化を担う製薬企業や医薬品開発製造受託機関の開発コスト削減・開発期間の短縮化が期待される。
LC(液体クロマトグラフ)をはじめとする分析計測装置を製薬業界に提供してきた島津製作所では、今回の出資を通じて、Persist AIとともに革新的なソリューションを開発し、医薬品製造の効率化と品質向上に寄与していく。