SIR2015・北米IVR学会見聞録

2015.04.01

2015年2月28日(土)~3月5日(木)にジョージア州アトランタで開催されたSIR2015を、三重大学附属病院の杉野雄一先生にご執筆頂きました!

SIR2015・北米IVR学会見聞録

三重大学附属病院
杉野雄一

 

2015年2月28日より6日間に渡り、アメリカ・ジョージア州アトランタにて開催されたSIR2015(Society Interventional Radiology)に参加した。今回のSIR2015が私にとって初めての国際学会での口頭演題発表の機会となった。

はじめに

私は卒後4年目の後期研修医で、2013年より放射線科の後期研修医として三重大学附属病院で研修させていただいている。
学会の季節は冬で、とくにアメリカ北東部では厳しい歴史的大寒波が襲来するなかでの開催であった。アトランタは、コカコーラ博物館やDELTA航空本社といった近代アメリカの象徴(有名なオリンピックパークの噴水は工事中であった)や、マーチン・ルーサー・キングJr.、マーガレット・ミッチェルの生家といった文化的遺産も点在する南部有数の大都市であるが、決して多くの観光資源に恵まれたとは言えない都市での開催であったためか、IVRistをとりまく昨今の環境変化からか、学会常連参加の先生方に伺うと、学会自体は大盛況とは言えず、日本からの参加者数を含めて、学会への参加者は非常に多かった、とは言えない状況だったようだ。参加者の詳細な人数は不明であるが、Session roomや展示ブースの混雑具合から推測すると、2,000~2,500人前後の参加者であったのではないだろうかと思う。日本からの参加者は20名前後であったようだ。

学会について

SIRは今回で第40回を数える北米IVR学会である。2017年から米国にてIntervention Radiologyが独自のResidency Programを提供するようになることもあってか、なにかと話題が多かったようだ。WebPageによると、今回のSIRでは新たな試みとして、重要演題や重要ポスターをPremierとして取り上げることや、Hands onを多く行うことがTopicであったようだ。しかし、冊子のプログラムが配布されず、会場ではどれがPremierなのかわかりにくく、Hands onも事前登録制で、しかも有料なものが多かった。かろうじて1枚だけHands onのチケットを手に入れてはいたが、興味のある他のSessionとスケジュールが重なっており、結局参加できなかった。楽しみにしていただけに残念であった。
企業展示については、SIR初参加の私にとっては非常に多くのIVR関連の出展があったと思う。しかし、常連の先生方に伺うと、やや物足りないと思われていたようだ。いくつか興味深い展示もあり、最新の画像処理でDSAからリアルタイムに仮想3次元画像構築をするソフトウェアに関する展示や、ロボットTACEの装置など、ロボティックスに関連した展示も興味をひかれた。大血管ステントやPTAに関したブースは少なく、ドレナージカテーテルや透析カテーテル、IVCフィルターといった留置型デバイスのブースが多かったと思う。なぜか経皮ペーシングによく似た電気刺激マッサージ機の押し売り(?)に遭った。日系企業は東芝、島津、テルモなど少数であったようで、さみしい気もした。

ポスターについて

SIRのポスターは、第4日目の夕方にポスターセッションが行われたが、それまではポスターを自由に閲覧するのがSIRのスタイルのようだ。ポスターをじっくり眺めながら、辞書を片手に、提示してある画像と見比べて徐々に理解できたり、できなかったり。膨大な背景内容の理解には40インチ四方では狭すぎるとは思うが、口頭演題では聞き流してしまうような、おそらく初心者しかつまずかないような箇所であっても納得いくまで立ち止まれる点でポスターセッションは意義があると思う。

 

図1 アトランタの街並み

 

図2 メイン会場

(続きはRadFan2015年5月号にてご高覧ください!)