日本メドトロニック、日本初の自己拡張型経カテーテル大動脈生体弁「コアバルブ」を2016年1月より発売開始~重度の大動脈弁狭窄症における新たな治療選択肢~

2016.01.15

 日本メドトロニック(株)は、重度の大動脈弁狭窄症で外科的治療を施行することが不可能な患者さんの治療を目的とした、日本初の自己拡張型経カテーテル大動脈生体弁「コアバルブ」を、2016年1月1日(金)より発売開始した。
 本製品の特長として、自己拡張型のフレームが患者さん個々に異なる大動脈弁輪の形状にあわせて適切に留置されるため大動脈弁輪への過度な負担を軽減し、術後弁周囲逆流の低減につながると期待されている。また、本製品を病変部まで送達するデリバリーシステムは直径18Fr(6mm)であるため、血管損傷などの合併症発生のリスク低減が期待されるほか、大腿動脈・鎖骨下動脈・直接大動脈のいずれかからカテーテルを挿入する3通りのアプローチが可能となるため、各患者さんにより低侵襲かつ最適なアプローチの選択が可能となる。

コアバルブ
医療機器承認番号:22700BZX00100000

 
 

治療困難な重度の大動脈弁狭窄症に対する新しい治療オプション
 大動脈弁狭窄症は心臓弁膜症のひとつであり、加齢や動脈硬化に伴う大動脈弁の硬化によって、大動脈弁がうまく開かずに血液の通り道が狭くなってしまい、十分な血液量を心臓から全身に送り出せなくなる疾患だ。従来の治療法では、外科的治療にて大動脈弁を切り取り、人工弁への弁置換術が施行されている。しかし、高齢や合併症などの原因により従来の外科的治療の適応不可な患者さんは薬物療法による対処療法のみで治療されてきた。
 経カテーテル大動脈弁置換術はTAVR(Transcatheter Aortic Valve Replacement)/ TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation)と呼ばれ、従来の外科的治療が不可能な患者さんへの新しい治療法として期待され、米国やヨーロッパなどなど世界70カ国以上において広く臨床の現場で用いられている。全世界ではこれまでに75,000人を超える患者さんがコアバルブによるTAVRを受けている。
 大阪大学医学部付属病院心臓血管外科澤 芳樹教授は、「日本でのTAVRによる治療において、自己拡張型デバイス“コアバルブ”の導入は、より多くの重度の大動脈弁狭窄症患者さんの新たな治療選択肢となりうると期待されます。特に日本人は欧米人と比較し体格が小さく、解剖学的に大動脈基部が小さい方が多いことに加え、末梢血管の石灰化も強く、血管が屈曲している症例も多く見受けられます。そのため、自己拡張型デバイスと細いデリバリーシステムは臨床の場において、このような多くの症例に対し、より適切な治療を提供できると考えています」と述べている。

 
 

コアバルブの留置方法
 コアバルブには3つの異なるアプローチ方法がある。太ももの付け根にある血管から挿入する「大腿・腸骨動脈アプローチ」、鎖骨の下にある血管から挿入する「鎖骨下動脈アプローチ」、そして胸を少し切開し、大動脈に直接挿入する「直接大動脈アプローチ」があります。(右図)患者さんに対して最適なアプローチを選択し、デリバリーシステムを用いて病変部までコアバルブを運び、デリバリーシステム先端のカプセルに装填されている生体弁を以下の図の通り、徐々に展開することにより留置する。留置されたコアバルブの弁は、自己弁(患者さんご自身の大動脈弁)の位置よりも高い位置(スープラアニュラーポジション)にて機能するため、より広い弁口面積を確保することができ、よりスムーズな血流を再現し、血行動態の改善に繋がる。

コアバルブ展開イメージ