日本メドトロニック、カプセル型で世界最小サイズのペースメーカ 「MicraTM経カテーテルペーシングシステム」を2017年9月より販売開始 リードを使わず心臓内に留置

2017.09.04

 日本メドトロニック(株)は、2017年9月1日、日本で初めてのリードレスペースメーカ、メドトロニックMicraTM(マイクラ) 経カテーテルペーシングシステムi)(以下、「Micra TPS」)の販売を開始した。

 Micra TPSは、本体とリードが一体化されたカプセル型のペースメーカで、本体を皮下に植え込むのではなく、カテーテルを用いて直接心臓内に送り込み、右心室内でペーシング治療を完結するという新しい機構を実現した。これにより、胸部の皮下ポケットやペースメーカ本体
と心筋をつなぐリード(導線)に関連する合併症のリスクが根絶される。Micra TPSの国際共同治験においても、植込み後12ヶ月時点での主要合併症発生率は、弊社の従来のペースメーカと比較して48%削減されたことが示されたii)。本製品は、右心室に留置されるシングルチャンバ型ペースメーカで、1.5テスラおよび3テスラMRI全身撮像に条件付で対応している。

 杏林大学医学部付属病院の循環器内科臨床教授であり、Micra TPS国際共同治験の運営委員会のメンバーである副島京子氏は、「ペースメーカは、約60年の歴史の中で、小型化やペーシング技術の向上など、大きく発展してきました。一方で、リードの断線、静脈閉塞、皮下ポケットからの感染は依然として大きな問題であり、リードがなく、直接心臓内に植え込む新しいタイプの開発が切望されていました。この度、従来品と同様の機能で重さ1.75g、1ccにまで小型軽量化された本製品は、当院を含む国際共同治験施設での植込み経験により、安全性と有効性が確認されました。また、皮下ポケットやリードによる生活制限がないことは患者さんに安心感を与え、生活の質の向上に寄与することが期待できます」と述べている。

【製品の特長】
 Micra TPSは、カプセル型で、小さなフックで心壁に取り付けられ、先端の電極を通じて電気刺激を送り、ペーシングを行う。従来のペースメーカは、外科手術で皮下ポケットを設けて装置を植え込み、静脈を通して、リードを心臓内に留置する必要がある。本製品は、このような皮下ポケットもリードも不要なため、それらに関連した合併症のおそれがない。また、外科手術による胸部の傷もなく、外からは装置のふくらみもないため、患者が外観上判別できず、装置を意識することなく生活できる。また、Micra TPSの電池の予測寿命は約12.5年iii)で、追加留置の際は、電池が消耗した一方の製品を電源オフにすることで、電気的にデバイス同士が互いに干渉することなく、追加のデバイスの留置ができる。

従来のペースメーカ
Micra TPS

 本製品は、国際臨床試験から得られた初期のデータに基づいて2015年4月に欧州で、2016年4月には米国で薬事承認を取得し、2017年7月現在、全世界で7,000人を超える患者さんに使用されている。
なお、日本国内では、日本不整脈心電学会が定めた実施施設基準および実施医基準等を遵守して使用される。

i) Micra Transcatheter Pacing System (販売名:Micra 経カテーテルペーシングシステム)医療機器承認番号:22900BZX00047000
ii) Duray GZ, Ritter P, El-Chami M, et al. Long-term performance of a Transcatheter pacing system: 12-Month results from the Micra Transcatheter Pacing Study. Heart Rhythm. 2017 May; 14(5): 702-709
iii) Reynolds D, Duray GZ, Omar R, et al. A Leadless Intracardiac Transcatheter Pacing System. New England Journal Med. 2016 Feb 11; 374(6): 533-541

●お問い合わせ
日本メドトロニック株式会社
URL:http://www.medtronic.co.jp