今、最強の検査室を探せ!第1回

Satellite View~Canon Special Session:今、最強の検査室を探せ!
2017.12.14

今、最強の検査室を探せ!第1回
 

内視鏡検査室の秘密はスペースの広さと大画面モニタにあった!?

 
 透視装置を使用する検査室では、施設や診療科によってそれぞれのこだわりや工夫が随所に見られます。よりよい内視鏡検査を目指しているご施設のもとへ編集部が突撃取材し、ご紹介!!読者の皆さまにも明日から真似できる工夫があるかも……!?

 

今回お話しを伺ったのは…

 

公益財団法人がん研究会有明病院

 

がん研有明病院肝胆膵内科部長
笹平直樹先生
 同施設の肝胆膵領域のIVR件数は年間1,200~1,300件ほど。一週間の中でも月曜日と金曜日は特に検査数が多い。検査室は2部屋あり、1日に17、8件という多くの検査をこなすときには一日中、両検査室が稼働している。
 ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は年間約550件で、その大半を癌による閉塞性黄疸に対するドレナージが占め、メタリックステントの件数も年間90例と国内トップクラス。過去の画像やCTやMRCPなどが瞬時に映し出される大画面モニタが非常に有用である。
 また、EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)は150件ほどで、こちらでもCT画像を並べて病変の部位を確認する大画面モニタが有用である。正確な画像診断と細胞検査士の立ち合いで、短時間で手際よく手技を行う。
 消化管ステントは約100件。消化管ステント留置は胆管ステント留置のノウハウを応用することが多く、胆・肝・膵グループが消化管グループと共に実施することも多い。多くの人が集まるため、広い部屋・大きいモニタはとても便利。

 

★笹平先生のコメント★
 特にERCPは手技が複雑化してきています。総胆管、肝内胆管とカニューラを進める際、様々な方向の枝に分岐していきますが、特に多枝が分断された肝門部の病変では、挿入部位の確認時に造影剤を流すと胆管炎の発生のリスクがあり、注意が必要です。すなわち、胆管があちこちで分断、狭窄している場合、ドレナージを企図する枝以外にも造影剤が流入する可能性があり、この場合、高率に非ドレナージ枝の胆管炎を合併することになります。このような際に、非造影下に進めたガイドワイヤーの走行を、大画面モニタに並べたMRCPの画像と比較することでより確実に目的の枝を選択することが可能になり、大変重用しています。
 内視鏡検査のポイントは、基本の手技である胆管挿管です。胆管に挿入できるまでに2分で終わる人もいれば1時間かかる人もいますが、実際にファーター乳頭を見てみないとわからないことも多く、その場で挿入の仕方など、判断をします。挿管できてからが本格的な検査のスタートになりますが、胆管挿管が一番の基本で山場ですね。
 また、これらの手技は、必要時に必要な画像を出してくれる診療放射線技師さんや物品を出したり体動時にいち早く駆け寄ってくれる看護師さんなどのチームプレイも極めて重要です。がん研有明病院はハード・ソフトともに最高の環境が整っていると思います。