第91回日本消化器内視鏡学会総会ランチョンセミナー

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2016.08.09

第91回日本消化器内視鏡学会総会ランチョンセミナー

ERCPベーシックテクニックを学ぶ
〜エキスパートから若手へのメッセージ〜

 

日時:2016年5月12日
場所:グランドプリンスホテル新高輪
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社

司会

 

手稲渓仁会病院消化器病センター
潟沼朗生先生

講演1 ERCPにおける胆管挿管戦略とEST

 

演者
 
埼玉医科大学国際医療センター消化器内科
良沢昭銘先生

【KEY Sentence】
●胆管挿管は見上げ11〜12時が基本
●ERCPでは胆管膵管合流形式と開口部の形状に合わせた挿管戦略が鍵
●挿管困難時にはWire-guidedカニュレーション、胆管ガイドワイヤ法、プレカットなどが有効

 
ERCPは内視鏡医にとってルーチーンに行われる手技で、劇的な効果をもたらす一方、膵炎という命にかかわる偶発症を引き起こすこともあり、ERCPの基本となるテクニックを学ぶことは非常に重要である。近年、十二指腸乳頭内の胆管膵管合流形式と開口部の形状に合わせた胆管挿管方法が提案されているが、それらの戦略を用いても胆管挿管の成功率は80〜95%である。そのため、挿管困難時の対処法をどれだけ習得しているかが重要である。当院で実施している方法を中心に、胆管挿管のテクニック、また挿管困難な場合の対処法を紹介する。
 

図1 カニュレーションの基本原則
胆管挿管は見上げ11〜12時方向が基本
 ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)での胆管挿管(カニュレーション)の基本原則は、11〜12時方向に見上げるという点である(図1)。一方、膵管挿管は1〜2時方向に垂直に挿入することが原則である。ただし、挿管の前に十二指腸乳頭を正面視することと、十二指腸乳頭開口部の形状をよく見ること、これが最も重要である。
 十二指腸乳頭内の胆管膵管合流形式と開口部の形状を表しているものとして、別開口型、タマネギ型、隔壁型、共通管型に分けた大井先生の分類が有名であるが、これをさらに胆管挿管を意識して分類したのが、猪股先生の分類である(図2)
 別開口型は胆管開口部の位置さえ判断できれば誰でも挿管できることから、挿管戦略については省かれている。タマネギ型は、よく見ると弓矢の的のようになっていて、真ん中に垂直にまっすぐに挿入すればそのまま挿管できるタイプで、これは初心者の先生方にとって最も簡単な乳頭の形態であるといえる。
 残るのは隔壁型、共通管型であり、挿管の方法によって、猪股先生は結節型、絨毛型、平坦型と分けている。結節型は必ず隔壁型であり、絨毛型と平坦型は隔壁型である可能性と共通管型である可能性がある。挿管の戦略は、結節型か絨毛型か平坦型かということによって変わってくる。

良沢先生2
図2 乳頭内の胆管膵管合流形式と開口部の形状(猪股の分類)1)(文献1より作図)
 
 

図3 結節型の攻略(見上げ法に準じる方法)
結節型は下から見上げて挿管するか押しつぶして挿管

 結節型は隔壁型である。この場合、まず結節が何であるのかを理解することが重要である。胆管と膵管の間が突出して結節があるという勘違いをすることも多いが、 猪股正秋先生の研究1)から、結節は胆管と膵管の間が突出しているのではなく、胆管の上にぶら下がっている隆起であるこ とが確認された(図3)。従って、上から挿管を狙うのではなく、下から狙わないと胆管には挿入できないという理論に行き着く。つまり結節型の場合には、結節の下から挿入するという戦略になる。
 その方法として、見上げ法に応じた方法と近接法に応じた2つの方法がある。見上げ法に応じた方法は、結節の下を4時方向から9〜11時に押しのけるように動かす。まず胆管カニューレをくわえさせるが、このままカニューレを引きながら、カニューレと胆管の軸を合わせ、軸が合ったところで深部挿管をするという攻略法となる(図3)
 もう1つの方法は、近接法に応じた方法で、結節の真上にカニューレ先端を押し当てて、11時方向に向かって結節を押しつぶすようなイメージで挿入していく。
 平坦型と絨毛型は、隔壁型か共通管型かどちらかなので、その確認のためにまず少し造影をする。胆管に造影されればあとは軸合わせをするだけでよい。共通管が造影されたらOddi括約筋の弛緩にタイミングを合わせて、簡単に挿管できる。膵管造影のみの場合が最も難しく、その場合には見上げ法か近接法で、隔壁型でのやり方に従って行うことになる。

 

図4 膵管ガイドワイヤ留置法
a (上段)膵管内にガイドワイヤを留置し乳頭括約筋を短縮・
直線化することにより胆管も直線化される。 b (下段:左)内視鏡画像。
c (下段:右)ERCP画像。膵管ガイドワイヤ(矢印)を留置することにより
胆管末端(矢頭)が直線化してカニュレーションしやすくなる。

胆管挿管困難時の対処法をどれだけマスターしているかが鍵

 これらの戦略をもってしても通常の方法での挿管成功率は80〜95%といわれる。胆管挿管困難時の対処法としては、いくつかの方法があり、それをどれだけマスターしているかが術者の実力となる。
 対処の1つとして、Wire-guidedカニュレーションという方法が多く用いられるようになっている。膵管への無用な造影剤の注入をなくせる点がメリットの1つで、最初からEST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)をするような症例、スフィンクテロトームを使って結石を取り出すだけというような症例では、時間を短縮でき、用いるデバイスも少ないので非常に優れた方法といえる。またこの手技は、PEP(ERCP後膵炎)のリスクを低減するともいわれている。
 ただし当院も参加した多施設研究2)で、カニューレ+造影剤、カニューレ+ガイドワイヤ、スフィンクテロトーム+造影剤、スフィンクテロトーム+ガイドワイヤの4群について100例の被験者を募って比較試験を実施したが、胆管挿入成功率に4群間での有意差は認められず、また特に欧米でいわれているような膵炎の発症率も有意差はなく、結論としては、ガイドワイヤ使用によるベネフィットは挿管時間、透視時間が短縮できたという点だけであった。
 胆管挿入困難時の対処のもう1つの例として、膵管ガイドワイヤ留置法がある(図4)。これは、特に乳頭の可動性が強い症例や乳頭の正面視が困難な症例、NDS(胆管狭窄部)が長く屈曲している症例で適応となる。膵管にガイドワイヤを入れることで胆管も一緒に引っ張られてまっすぐになる、という理論の手技である。膵管ばかり造影される時には膵管にガイドワイヤを挿入してから新たに胆管を狙うと、軸さえ合えば比較的スムーズに挿管できる。この方法によって、最近ではほとんどの困難例が解決されていると思われる。
 もう1つの対処法として、Two-devices-in-one-channel methodがある。これは藤田直孝先生らが発表した方法3、4)で、憩室内乳頭あるいは傍憩室乳頭などの時にチャンネルから先に把持鉗子を出して、十二指腸粘膜を下に押しやって正面視してから挿管するという方法である。
 ランデブーテクニックという方法も有用である。これはPTBD(経皮経肝的胆道ドレナージ)ルートがあらかじめある症例で胆管挿管が難しい場合、PTBDルートからガイドワイヤを出し、それを内視鏡のチャンネル内に引きこんで利用する方法である。
 なお、EUS-BD(超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ)については、今日のテーマではないので詳しく説明はしないが、最近、胆管挿管が難しい症例でEUS-BDが非常に有用であり、ERCPで胆管挿管が困難だった10〜20%の症例でEUS-BDを実施したという報告もある。しかし、これはEUS-BDを意識的に行っている施設での報告だと認識してほしい。ERCPができない症例が10%もあるはずはない。実際に世界的に有名な施設からの報告5)では、ERCP不成功でEUS-BDを要したものは0.6%だけで、EUS-BDは優れたERCP手技の代替法とすべきではないと結論づけられている。ただこれは現時点での見解で、今後新たな展開があって、EUS-BD専用の道具や技術面が確立された場合には、もっと利用される可能性もある。

 

図5 プレカットの実際
a(上段:左)、b(上段:右) 主乳頭開口部よりpapillary roofを口側隆起の正中方向へ向かって切開する。
c(下段:左)、d(下段:右) 胆汁の流出あるいは胆管口が確認できるまで切開を繰り返す。
白矢印(左)が胆管口、白矢印(右)が膵管口である。

図6 プレカット(Over pancreatic stent)
a(上段:左) 膵管ステントを留置し、その上縁を起点としてニードルナイフでプレカットを開始する。
b(上段:右) 胆管口が確認できればナイフをシース内に収納し、胆管内に挿入する。
c(下段:左) スフィンクテロトームに交換し、ESTを付加する。
d(下段:右) バスケットカテーテルで結石除去を行う。

図7 ESTの手技
11時方向の胆管を目指して切開する。

胆管挿管困難時に有用なプレカット
プレカットは、種々の理由により胆管挿管が困難な症例に対し、直接、十二指腸乳頭部の粘膜を切開し胆管口を開放し深部挿管を行う方法である。プレカットには、ニードル(針状)ナイフを用いる方法と通常のスフィンクテロトームを用いる方法がある。当院では、トリプルルーメンプレカットナイフ( ニードルナイフ) を使っている。Freehand starting at orificeという方法は、口側隆起を浅く広く切開していく方法である。最初から深く切ると穿孔を起こすことがあるので、当院では浅く、そして胆管が出てきた場合にすぐにわかるようかなり広く切開する。施設あるいは術者によってはさらに小さい切開範囲で実施する場合もある。胆管口が確認できたら、挿管をする(図5)
 ニードルナイフを用いるプレカットにもいろいろ方法があり、このほかにFreehand “fistulotomy” starting above orifice(Infundibulotomy)という方法もある。これは口側隆起の途中から切り上げる、あるいは切り下げるという方法である。
 プレカットは偶発症が多いという説6)もある。報告されている偶発症の発症率は0〜34%である。偶発症を減らす目的で、ニードルナイフの改良が進められている。改良型のニードルナイフは、穿孔予防として根元が樹脂でコーティングされており、すでに市販されている。また、Over pancreatic stentというのは、膵管ステントを留置して切開を行う方法である(図6)。この方法では、高周波電流による膵へのダメージが軽減できることと乳頭が固定できるというメリットがある。実際にESGE(欧州消化器内視鏡学会)も、胆管ステントを留置したプレカットを推奨しており、そのまま膵管ステントを半日〜24時間入れておくと、膵炎予防にもなると推奨している。
 もう1つのプレカットの方法として、通常のESTナイフであるスフィンクテロトームを使う方法がある。Transpancreaticといって、膵管から胆管方向に切り上げ ていき、胆管を見つける方法である。
 ESTは、1973年に初めて動物実験7)があり、1974年に臨床応用が報告8〜10)された。日本消化器内視鏡学会では、私が委員長となりEST診療ガイドライン11)を作成した。ESTを安全かつ確実に実施するための科学的な手法に基づいた基本的な指針になることを意識して作ったものである。切開方法は11〜12時が推奨されている(図7)。特殊な症例として、傍憩室乳頭ではガイドワイヤ式のスフィンクテロトームを用いると非常に安全にできると思われる。
 
おわりに
 最後に、有名なフリーマン先生の言葉を紹介したい。「熟練した内視鏡医は95〜100%の技術的成功率を達成することが期待される」という言葉である。これを目指して、若手医師の皆さんにがんばってもらいたい。
 
<文献>
1) 猪股正秋ほか:ERCPの基礎とコツ—Pull法によるスコープの挿入,選択的
カニュレーションの基本手技,カニュレーション困難例に対する工夫—.消
化器内視鏡 17:1768-1776,2005
2) Kawakami H et al:A multicenter, prospective, randomized
study of selective bile duct cannulation performed by multiple
endoscopists: the BIDMEN study.Gastrointest Endosc
75(2):362-72,2012
3) 洞口 淳ほか:急性胆管炎の診断と治療.肝胆膵 50(2):329-334,2005
4) Fujita N et al:ERCP for intradiverticular papilla: two-devicesin-
one-channel method. Endoscopic Retrograde
Cholangiopancreatography.Gastrointest Endosc 48(5):517-
20,1998
5) Holt BA et: al.Biliary drainage:role of EUS guidanse.
Gastrointest Endosc 83:160-165,2016
6) Binmoeller KF et al:Papillary roof incision using the Erlangentype
pre-cut papillotome to achieve selective bile duct
cannulation.Gastrointest Endosc 44(6):689-95,1996
7) Kawai K et al:Preliminary report on endoscopical papillotomy.
J Kyoto Pref Univ Med 82:353-355,1973
8) Kawai K et al:Endoscopic sphincterotomy of the ampulla of
Vater.Gastrointest Endosc 20:148-51,1974
9) Classen M et al:[Endoscopic sphincterotomy of the papilla of
vater and extraction of stones from the choledochal duct
(author’s transl)].Dtsch Med Wochenschr 99(11):496-7,1974
10) 相馬 智ほか:内視鏡的乳頭.切開術および遺残胆道結石摘出の試み
.Gastroenterol Endose 16:446-53,1974
11) 良沢昭銘ほか:EST診療ガイドライン.日本消化器内視鏡学会雑誌
57(12):2721-2759,2015

講演2 ERCPにおける胆管挿管戦略とEST

 

演者
 
帝京大学医学部附属溝口病院消化器内科
安田一朗先生

【KEY Sentence】
●乳頭から結石を取り出す際は、スコープを右(時計回転)にひねりながら押し込むのがコツ
●結石が複数あるときにはバスケット嵌頓しないように下流の結石から順に除去していく
●ENBDを鼻から出す際にはガイドワイヤループ法が有効

 
E乳頭処置後の結石除去は、アメリカではバルーンが主流であるが、日本ではバスケットが主に使われている。バスケットとバルーンの使い分け、バスケット・バルーンによる結石除去の実際とコツ、さらにバスケット嵌頓となった際の対処法について紹介する。また、胆管炎の合併や結石遺残が疑われる場合によく実施されるENBD留置のテクニックについても紹介する。
 

図1 結石を取り出す際の注意
図2 効果的な結石の取り出し方
図3 ヘリカルバスケットによる結石除去
乳頭から結石を取り出す際にはスコープを時計回転にひねる

 EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)やEPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)といった乳頭処置後の結石除去においては、日本ではやや大きめの結石はバスケットで、小さな結石や、胆泥、あるいは結石除去後の確認造影などではバルーンを使用する施設が多い。しかし、アメリカでは嵌頓(かんとん)に対する懸念から、バスケットをほとんど使わず、大きめの結石であってもバルーンを使用する傾向にある。
 バスケットによる結石除去では、まずカテーテルを結石の上流まで進めてバスケットを開き、結石付近でバスケットを上下させて結石を把持して取り出すのが基本となる。結石を把持する際に注意すべきことは、比較的軟らかい石の場合はバスケットを強く握りすぎないことである。バスケットで強く握ってつぶしてしまうと破砕片が多量に発生して、その後の破砕片の除去が煩雑になるため、軽く握った状態のまま結石を取り出すようにする。
 また、結石を取り出す際に、初心者はよく乳頭より口側に向かってスコープを引き抜こうとするが(図1)、こうした操作は乳頭が裂けて出血や穿孔を起こす危険があるため、胆管の軸に沿って下方に力が加わるようにスコープの操作を行うべきである。そのために最も効果的な操作は、バスケットを乳頭部まで引き抜いてきたら、そこでスコープを右(時計回転)にひねることである。大抵の結石はこの操作により比較的簡単に取り出せる(図2)
 この右回しの押し込み操作でどうしても結石が取れない場合には、最終手段として、スコープごとバスケットを引き抜くという場合もあるが、この操作は非常に危険であることを十分に理解し、できるだけ行わないことを勧める。
 結石除去に使用するバスケットの形状にはいろいろあり、通常の4線でかご状のもの、先端だけ8線で網目が小さくなっているフラワーバスケット、8線でらせん状の形をしたもの、さらにガイドワイヤで誘導できるものや、先端のバスケット部分に回転機能がついたものもあるが、それぞれに利点と欠点がある。8線でらせん型に編みこんだ形状のもの(ヘリカルタイプ)はバスケットの網目が細かく、結石をつかみやすい。しかし、つかみやすいということは、逆にいうと外しにくいことにもなり、十二指腸で結石を外す操作が煩雑になる。
 ヘリカルバスケットは小さな結石も比較的容易にとれるため、私自身よく使用しているが、結石の上流でバスケットを開き、そのままカテーテルを引き抜いてくるだけで、魚を網にかけて取ってくるような感じで結石を取り出せる(図3)
 また、ガイドワイヤを留置したままバスケットで結石除去を行う場合、バスケットで結石をつかむ際にガイドワイヤまで一緒につかんでしまうことがある。ガイドワイヤの先端よりも上流までバスケットを入れるとバスケットでワイヤをつかみやすくなるため、ガイドワイヤはあらかじめ十分上流(肝内胆管)まで挿入・留置しておき、ガイドワイヤの先端を越えてバスケットを挿入しないよう注意するとよい。

 

図4 エンドトリプターによる嵌頓解除
図5 バルーンによる結石・胆泥除去
a(上段) 上部胆管までバルーンを挿入して、まずは
バルーンを膨らませずに造影する。
b(中段) バルーンを膨らませたのち、上流を造影しながら
ゆっくり引いてくる。
c(下段) スコープを時計回転にひねりながら押し込むことにより
バルーンを乳頭から引き抜く。

図6 小結石がバルーンで除去できない症例
胆管の下端に小結石が嵌まり込んでおり、
バルーンでの除去が困難。

結石が複数ある場合は一番下にある結石から順にとっていく
 比較的大きめの結石がたくさんある場合は、一番下の結石から順に取っていく。上の結石を先につかんでしまうと、バスケット嵌頓の原因となる。下の結石に気づかず、上の結石をつかんで、乳頭まで引いてきたところ、バスケットが乳頭から引き抜けないということがある。このようなバスケット嵌頓を起こした場合には、エンドトリプターで嵌頓を解除する。
 手順は、まずハンドル部分のすぐ下でシースおよびワイヤを切断し、ワイヤを残したままスコープを抜く。図4のように、金属コイルシースをワイヤにかぶせて挿入し、ワイヤをエンドトリプターに魚釣りのリールのように巻き込んでくることによって、結石が割れるか、バスケットの先端ワイヤが切れるかして、嵌頓が解除できる。
 ただし、エンドトリプターに対応していないバスケットもあるので注意が必要である。4線のバスケットはほとんどエンドトリプター対応だが、逆に4線以外のものはほとんど対応していない。例えば、ヘリカルバスケットやフラワーバスケットは非対応である。このタイプは、先端のかごの部分とワイヤ部分が溶接されているため、バスケット部分でワイヤが切断されず、もっと手元の部分で切断されてしまう。こうしたバスケットが嵌頓してしまった場合は、EPLBD(内視鏡的乳頭大径バルーン拡張術)で、乳頭を大きく拡張して、バスケットごと引き抜く方法で嵌頓を解除する方法が有効である。
 最近はガイドワイヤ誘導式のバスケットもあるが、これは結石がたくさんある場合やEPBD後で乳頭開口部があまり開いてない場合、傍乳頭憩室例で乳頭への挿入が難しい場合などに有効で、ガイドワイヤ誘導下でのバスケットや処置具の挿入は非常に簡単である。また、肝内胆管枝、胆嚢管への誘導の場合にもガイドワイヤが先行できれば、バスケットの挿入は比較的容易にできる。
 ガイドワイヤ誘導式バスケットの先端のチップ形状には、モノレール式と別ルーメン式の2種類ある。モノレール式はガイドワイヤと同じ軸で乳頭にまっすぐカテーテルが入るが、別ルーメン式はガイドワイヤと並行してカテーテル先端が進むので、カニュレーションがしづらい。
 ガイドワイヤ誘導式の場合、気をつけるべき点は、結石をつかんでからバスケットを抜いてくると、ガイドワイヤも一緒に抜けてきてしまうことである。これを防ぐには、ガイドワイヤを一度途中まで抜いてきて、バスケットの先端チップから外すという操作をする。こうすることで、ガイドワイヤを一緒につかんで抜けてしまうことが避けられる。また、回転式バスケットというものも最近あるが、私自身はあまり有効と感じていない。
 バルーンの形状も通常の球形だけでなく、俵型やバルーンの中心が偏っているものもある。また、造影剤注入用の側孔の位置は、バルーンの上流にあるものと下流にあるものがある。当院では主に小さな結石や胆泥、結石の遺残確認にバルーンを用いている。下部胆管は徐々に細くなるので、上部で膨らませたバルーンを下部胆管では徐々に小さくして引き抜いてくる。我々はバルーンの上方に造影剤注入用の側孔があるものを使用しているが、バルーンの上流を造影しながら遺残結石がないことを確認してバルーンを引いてきている。バルーンを取り出すときはバスケットと同様、スコープを右にひねることで、比較的容易に引き抜ける(図5)
 小さい結石にはバルーンを使用することが多いが、結石が胆管の下端にはまりこんで取り出せないことがある(図6)。その場合はバスケットを使用するが、それでも取り出せない場合がある。最近、我々は網目を細かくして編み方を変え、手前が縮んでもバスケットは縮まない構造のものを考案した1)。まもなく市販されるので、ぜひ試してみてもらいたい。

 

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図7 ENBDでのピッグテールの作り方とENBDの留置法

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図8 ENBDの留置の仕方(鼻から出す方法)
ENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)
 ENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)には、いろいろな形状のものがあるが、私は先端ピッグテールで手前にループのない型のみを使用している。
 胆管内で先端のピッグテールの形状が作りづらいという意見をときどき聞くので、以下にピッグテールの作り方を解説する。まず、先に留置したガイドワイヤにかぶせて、中部胆管までENBDを挿入する。ここでガイドワイヤを抜いてくると、チューブの先端がピッグテールの形状になろうとして曲がって胆管壁にひっかかる。その状態でチューブを押し込むと、自然に先端がピッグテールの形になる。その形状になったら先端部分を上部胆管に留置し、先端の位置をキープしながらスコープを引き抜いてくる。この際、チューブを押し込みながらスコープを引き抜いてくる操作となるが、ガイドワイヤも適宜抜いてくる。また、スコープを引くときは鉗子起上もアングルも全部フリーにする。スコープを抜くときのポイントは十二指腸乳頭部と胃の中に適度なたわみをつけることである。たわみをつけすぎても、つけなくても抜けやすいため、自然なたわみをつくるのが大事である(図7)
 最後に、口から出たENBDチューブをどのように鼻から出すかについて述べる。まず患者がマウスピースをくわえたままの状態で、口からガイドワイヤをループを作り挿入する。それから吸引チューブを鼻から挿入し、ワイヤループに通す。それからワイヤを引っ張り、吸引チューブを口から出す。その後、ENBDチューブを吸引チューブに挿入し、吸引チューブを引っ張ってきて、チューブをまっすぐにする。この際、ENBDチューブが途中で折れないように注意する(図8)
 マウスピースを外した状態で指で行おうとすると、患者に指を噛まれたりすることもあるが、この方法は指をかまれる危険もなく簡単な方法なので、ぜひ覚えてほしい。
<文献>
1) Ichiro Yasuda:Novel retrieval basket for small bile duct
stones.Digestive Endoscopy 27(6):712,2015

(本記事は、RadFan2016年8月号からの転載です)

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