乳腺超音波セミナー:乳腺疾患診療における Comprehensive Ultrasound

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2016.04.14

乳腺超音波セミナー
 
マークのある画像は、クリックすると画像が拡大されます。
 

乳腺疾患診療における
Comprehensive Ultrasound

 
【KEY Sentence】
●乳房超音波検査の問題は、人間の目が認識しないと、特定の病変が見つからず、診断もできない。
●Comprehensive Ultrasoundは、超音波のBモード、ドプラとエラストグラフィのすべてで最高レベルの精度管理をキ
ープするもの。
●現在世界の主流は、Strain Imaging 法、Shear Wave Imaging 法どちらの方式でも、no manual compression
が最も信頼性が高い方法だとされている。
●超音波検査の理想は、「がんではないこと」を針も刺さずに診断することである。

 
Comprehensive Ultrasoundは診断精度の向上に必要な概念であり、最近認知度が上がってきている。Comprehensive Ultrasoundというと、よくBモード、エラストグラフィとドプラの組み合わせ、と勘違いされるが、実際には超音波検査の精度管理のための概念であることを認識してほしい。本記事は乳腺超音波検査でこの新たな概念を提唱している中島一毅先生にご講演をいただいた内容を基に作成された。

 
 

図1 乳腺の超音波検査
方位分解能は最高であるが、検査技術に強く依存する。
超音波検査の特殊性
 Comprehensive Ultrasoundの現場での注意点を説明する前に、超音波検査の特殊性について説明したい。乳房の画像診断には、マンモグラフィ(X線)、MRI、CT、シンチグラフィ、PET、PEM(乳房専用PET装置)、超音波検査がある。これらは全部同じように用いられているが、超音波検査は少し異なる。他のモダリティは医療保険上、画像診断になるが、超音波検査は生理機能検査である。
 CT、MRIとの一番大きな違いは、超音波検査というのは、乳房を超音波でスキャンし、それを画像構成してモニターに表示し、それを人間の目が認識する点である。現在の乳房超音波検査装置は、動的検査で病変の位置が正確に把握でき、リアルタイムで診断でき、生検、手術にも有用であり、若年者の高濃度乳房でも病変の描出が可能である。
 しかし、人間の目が認識しながら探触子(プローブ)を動かさなければならない問題点がある。つまり、人間の目が認識しないと、特定の病変が見つからず、診断もできない(図1)

図2 装置性能と検査技術による画像認識の変化
超音波診断は「目での認識」に大きく左右される
 PETやMRI、CTなどは全体の情報が残るが、乳房超音波というのは断層画像であり、必要な断層画像は、人間がセレクションする必要がある。機械がどんなに性能がよくても、人間が気付かなかったら見逃してしまう。中には「超音波では見えないよね」と装置のせいにする人もいる。
 現時点で、超音波検査は、おそらくすべての画像診断の中で方位分解能は最高である。「超音波検査が一番細かく見える」というのが共通認識である。ところが、実際に病変を見つけ、診断にたる画像が得られるかどうかは、検査者の習得技術レベルに依存するという弱点も有する。
 例えば小さい粒が集まっている病変があったとした場合(図2)、高精度の装置では、かなり実態に近い画像が得られる。しかし、装置の性能や術者の技術によっては、画像がぶれてしまったり、本当は小さい粒であるのが、1つの塊に見えてしまったりすることもある。
 さらに、検査環境の照明の問題もある。バックグラウンドが異なると、同じ病変でも見えやすさが異なる。例えば超音波室で、窓を開けて普通に診察している場合、朝と昼と夕方では部屋の明るさが違い、同じ病変が同じように描出されていても、部屋の明るさで画像の見え方に差異が生じてしまう。
 部屋の明るさに留意して検査を行うことが必要である。

分解能200ミクロンの重要性
 前述のように、超音波の方位分解能、空間分解能はMRI、CTを超えている。高性能なMRIでも、方位分解能は1ミリ、2ミリのレベルだが、超音波では0.2ミリ(200ミクロン)の識別が可能である。
 この200ミクロンという点が重要である。乳癌の石灰化は、がんの壊死によるものが問題となる。がんは、必要な栄養血管を自分で作れない場合、血管壁からの酸素と栄養によって生きている。酸素と栄養の浸潤性進達距離は200ミクロン程度と言われている。つまり、壊死型石灰化は1方向につき200ミクロン以上という距離がなければ発生しないため、石灰化の存在は直径400ミクロン以上のがんの存在を示すことになる。よって200ミクロン以上の分解能があれば、このようながんを見つけることができるはずである。また、それよりも小さく見えないものは急いで治療する必要のあるがんではないと思われる。これが現在の装置でのBモード画像のレベルで、微小ながん病変も石灰化も十分探し出せる能力があるはずである。

 
精度管理された最高レベルの画像で総合的に診断するのが
Comprehensive Ultrasound

 Comprehensive Ultrasoundは、Bモードとドプラとエラストグラフィを一緒にしたものだとよく言われる。確かにMRIでT1強調、T2強調、造影、 DWIなどのモードを比較しながら、診断を進めるように、Bモード、ドプラ、エラストグラフィを切り替えながら使用し総合的に診断を進める点はそう考えてもらってもいい。
 このComprehensive Ultrasoundという言葉は、2013年1月に「Breast Cancer」に発表した論文1)で提唱した概念である。Comprehensiveというと辞書では総合的、包括的などの意味があるが、別に「最上の」という意味もあり、総合、包括、最上の超音波検査、つまり、超音波のBモード、ドプラとエラストグラフィのすべてが最高レベル精度で撮像され、診断に用いる手技というニュアンスのネーミングである。

 
硬さを見るエラストグラフィ
 Elasticityとは弾力性、硬さのことである。乳癌の硬さについて持論を述べさせていただく。
 200年以上前、華岡青洲先生が世界で最初の全身麻酔で乳癌手術を実施された。この際の乳癌手術記録の写本には、乳癌が「乳岩」と書かれていた。つまり昔から日本におけるがんというのは岩の様に硬いものという認識があったことが理解できる。そしてこの硬いものを見るために、エラストグラフィは作られた。
 エラストグラフィが国内市場に最初に登場したのは約10年前で、日立メディコ(現在の Hitachi Aloka Medical)からの発売であった。その後、各他社からも発売され、現在では、ほとんどのメーカーの超音波診断装置がエラストグラフィを搭載している。しかしエラストグラフィの問題は、各メーカーの装置のエラストグラフィの性能、推奨撮像法が大きく異なることである。もともとBモードでも結構違っているのだが、エラストグラフィは、原理も方式も異なり、当然ながら感度などの性能、分解能などの画質、撮像法までもが異なり、メーカーの数だけ種類がある状態であった。

 

表1 方式による分類
表2 診断手法による分類
図3 エラストグラフィによる病理学的特徴の推定
エラストグラフィのガイドラインの設定
 装置の本来の性能を把握し、十分に引き出せる使い方を覚えてもらう「精度管理」を目的に、数年前から日本超音波医学会(JSUM)でエラストグラフィガイドラインの作成に取りかかり、一昨年、論文報告した。また、本年にはJSUMのガイドラインに準拠する内容で、WFUMB(世界超音波医学会)のガイドラインも論文化2)された。まず、JSUMのガイドライン3~5)であるが、各メーカーの装置ごとにわけて、解説してある。
 このガイドラインでは、方式による分類化がおこなわれた。これは振動エネルギーのあたえ方による分類で、用手的圧迫、腕筋肉の不随意運動などによる振動、患者自身の筋肉収縮や呼吸などによる振動から得るもの(Manual Compression)と、探触子からの超音波照射圧により得るもの(AcousticCompression)とに分類。次に画像情報を計算する方式による分類で、画像化情報をひずみから計算するStrain Imaging法と、Shear Wave(せん断波)の伝播速度から計算するShear Wave Imaging法とに分類している。
 乳腺領域での実臨床ではManual Compressionで加振・加圧し、Shear Wave Imagingで画像化する技法は使われていないため、表1の3群に分類すればよいことになる。
 乳腺領域に関しては診断が重要であるため、各メーカーがほぼ共通している部分をピックアップし、診断手法による分類として表2の様に3方法に分類した。
 Tsukuba Scoreは1~5のカラーパターンに分類され、WFUMB(世界超音波医学会)のガイドラインではこれにBGR signを含めている。パターンがこの程度であると、各メーカーでもそれほどブレが出ないので、安全な診断方法である。
 皮下脂肪に対し何倍硬いかをみるStrainRatio(ひずみ比)という診断方法は全メーカーが対応している上、簡便で容易であるが、精度に差があるらしく、若干、カットオフ値が異なっている。複数メーカーを使用している場合は、現時点ではTsukuba Scoreが安全かもしれない。
 硬さの分布(エラストマップ)から病理像を推定する方法も有用である(図3)。Bモードの形態診断に加え、硬さの分布を比べると、がんの範囲をエラストグラフィが反映していることがわかる。このように硬い部分をがんとして認識して診断する手法が、日本ではもっとも普及していると考えている。個人的にはこの手法が世界に広まり、いずれは海外の放射線科医、外科医のための病理学セミナーや病理医のための放射線医学セミナーが開催されて行くことを期待している。実際、海外のシンポジウム等でエラストグラフィの画像、症例を提示すると反響がよく、病理をふまえた画像診断の学習方法の重要性を高く評価しているものと思われる。
 ガイドラインのもう1つのポイントは、撮像法の違いである。no manual compression(NMC)、minimalvibration(MV)、significant compression(SC)の3つに分類している。
 No manual compressionは、「全く押さない」、「加圧しない」という方法で、手の不随意筋肉収縮による振動や患者自身の筋肉収縮や呼吸などによる振動から振動エネルギーを得て画像構成をしている。分解能、精度が高く、極微小な病変の描出も可能となっているが、深部の病変、硬い乳腺では画像化が難しいという短所がある。
 Minimal vibrationは、探触子を皮膚に垂直にあて、ごく軽度の振動を加える方法で、決して強く押しすぎないように意識し、振動ストロークを 1ミリ以下とするものである。分解能、精度が安定し、特に柔らかい病変を軟らかいと描出することにすぐれているが、撮像に慣れが必要であり、極微小の病変の描出は困難となる。
 Significant compressionは、エラストグラフィの開発当初に行われていた方法で、言うなれば「ぐいぐい押す方法」だが、画像が歪んでしまう上、精度が安定しないので、現在はこの方法は勧めていない。
 No manual compressionでも、minimal vibrationでも分解能の高いエラストグラフィ画像が得られるが、no manual compressionの方が安定していて精度が高く、極めて微小な病変の描出も可能である。ただし柔らかい部分の描出ではminimal vibrationの方がやや優れている。重要なのはあくまで診断精度なので、現在世界の主流は、Strain Imaging法、Shear Wave Imaging 法どちらの方式でも、no manual compressionである。

図4 圧迫による音響インピーダンス(Z)と
反射率(R) の変化(C:音圧、P:密度)
図5 SMIの2つの表示モード
図6a SMIのカラーモードとモノクロームモード
の血流表示比較
図6b SMIのカラーモードとモノクロームモード
の血流表示比較
図7 プローブの当て方と角度の微調整
おさえずにそっとあてる。
皮膚に垂直に固定し、じっとし続ける。
図8 線維腺腫のエラストグラフィ
「限りなく押さないこと」がBモードコントラストを上げる
 乳房というのは組織が柔らかく、心臓や肝臓と違って、押せば簡単に動かすこと、振動させることができる。ところが動くだけならよいが、乳房は簡単に変形もする。柔らかいということは、押さえると乳房の組織が圧迫されて密度が増すということである。Bモードの超音波画像というのは基本的には反射してくる超音波を画像化しているもので音響反射をマップ化し、画像化していると考えられる。この音圧反射率というのはインピーダンス(Z)の差に依存する(図4)。このインピーダンスは媒質の音速と密度の積であり、音速は対象物によって概ね決まっているが、密度はある程度押すと上がり、緩めれば下がる。つまり、圧迫すれば密度が上がって反射率の差が小さくなり、本来はもっと反射してくっきり描出されていい病変が、ぼやけた画像となることになる。
 通常の超音波検査では探触子で圧迫されているので、まったく圧がない状態の密度ではなく、ある程度圧迫され増大された密度の状態で検査していることになる。さらに強く押さえると、さらに反射率が減るのでコントラストが低下する。そのかわり透過性は向上するので、大きな病変や、深い病変を見るときには都合がいいことになる。Bモードでは普段これを無意識にやっていると考えられる。では、少し緩めるとどうなるか、透過性は低下するが、コントラストが上がって病変がくっきり見えてくるようになるだろう。もし使用している装置のコントラスト分解能を最高に出そうと思ったら、「限りなく押さない」のが一番よいのである。

 
東芝SMI―低流速の血流を非造影で描出できる新しいドプラ技術
 ドプラの場合も、押さえる場合と緩める場合で画質に違いがでる。押さえると消え、緩めると出てくる像がある。言い換えると、押さえて検査をしている場合、検査者は血流なしと判断する。ドプラ診断の結果に大きな差が出るのはこのためで、押さえ方を緩めることができるかどうかが鍵になる。前述したBモードコントラストの内容とあわせると、探触指圧を緩めると、Bモードのコントラストが上がり、エラストグラフィもno manual compressionになって、きれいに描出され、細かい血流も描出される。この考え方では、ドプラとエラストグラフィとBモードを高精度に撮像する技術は共通している。この撮像技術と診断方法がComprehensive Ultrasoundの基本概念である。
 「Superb Micro-vascular Imaging(SMI)」は、不要なドプラ信号(モーションアーチファクト)を除去し、低流速の血流を非造影でも描出できるようにした新しい血流イメージング技術である。SMIにはカラーモードとモノクロームモードがあり、私はどちらも重要と考えている(図5)。カラーモードの方は病変の血流分布を訓細に確認できる。モノクロームモードでは、さらに微小な血流の視認性が改善されるため、血流の有る無しの判断にすぐれる(図6)。カラーで全体像を把握して、モノクロームで特定の部位の血流の有無を確認する、という方法をとっている。切り替えはボタン1個の操作でできるので、お勧めの方法である。カラーだけで判断すると、病変なしと判断してしまう場合も、モノクロームに切り替えることで違いが判別できる場合があるのでご注意願いたい。

 
精度管理のポイントは人である
 現在の超音波検査で利用可能な情報をまとめると、高分解能のBモードでは、ビームフ
ォーミングとフォーカシングにより病変の位置と分布、形態がはっきりわかるようになった。石灰化も、重要ながんの石灰化はほぼ見えると言える。高感度・高分解能のドプラでは、圧迫をかけたり緩めたりして、血流が本当にあるかないかを判断でき、その分布もわかる。エラストグラフィでは硬さの有無と程度、分布がわかる。情報量が多いと精度が上がるのは、同じものを1方向から見るのと、2方向、3方向から見るのでは判断精度が改善するのと同じである。この3つの情報が何度でもボタンひとつで切り替えられるということは臨床的なアドバンテージである。
 エラストグラフィで最も精度が高いのが圧迫しないno manual compressionであるので、no manual compressionのエラストグラフィを用いながら、SMIを使ってBモードを見るという方法がよいと言える。ポイントは「押さえない」、「そっと当てる」こと、プローブを皮膚に垂直に保つことである。特にエラストグラフィでは垂直性がずれるとシフトエリアが変わり計算値が変わってくるので、垂直性は絶対キープしてほしい。乳房は柔らかく、前方に突出しているので、場所によって探触子をあてるべき角度が変わる。そのためプローブの角度の微調整が常に必要である(図7)
 装置に対する理解は、検査者によってばらつきがある。そのため精度管理の話が出てきたのだが、精度管理のポイントは機械ではなく、人であることを忘れてはならない。自信をもって診断するにはBモード、ドプラ、エラストグラフィすべての精度が高いことが必要で、何れのモードも精度が高くなる(再現性が高い)条件はほぼ同じである。

 
がんではないという診断も大切
 日常診療で最も相談数が多いのは、嚢胞、線維腺腫である。嚢胞、線維腺腫とわかり異常なしとできればそれで良いわけである。よく勘違いされるが、がんを探す必要はない。「がんではない」ことを簡単に保証できれば、患者のメリットは極めて大きい。超音波検査の究極の目的は、「がんではないこと」を針も刺さずに診断することである。図8の病変であるが、一見、腫瘍に見える。しかし、エラストグラフィでは中がほとんどグリーンで時々赤いひずみが入る状態であり、線維腺腫と診断できる。東芝のエラストグラフィではドプラ方式を利用しているためノイズが少なく線維腺腫の診断が容易である。

症例
 
1.良性の疾患である腺症と判断した例
 図9は、完全に腫瘍があるが、血流がない。エラストグラフィで見ると、あまり硬くないこともわかるので、腺症か線維腺種が疑われる。本例は、細胞診にて、過形成の良性の疾患である腺症と判断をした例である。

z-9
図9 良性の疾患である腺症と判断した例
 
2.乳頭種
 図10はエラストグラフィで部分的に硬いところがあるが、血流は1方向から入って来ているだけである。乳頭腫の特徴であるが、これだけでは実際の確定診断は難しく、細胞診等が必要である。

図10 乳頭腫                                            a|b|c
a エラストグラフィ、b cSMI、c Bモード 

 
3.アポクリン非浸潤性乳管癌(アポクリンDCIS)の例
 図11は、アポクリン非浸潤性乳管癌(アポクリンDCIS)の例で、エラストグラフィで見ると、はっきりと硬いしこりが中にあるが、血流はあまりない。切除標本の病理像では、小さい腺管構造の集合体であり、アポクリンDCISであった。

図11 アポクリン非浸潤性乳管癌(アポクリンDCIS)                           a|b|c

 
4.嚢胞内病変
 図12は、嚢胞内病変で、中に何かの仕切りがある状態だが、ここの血流は明らかにいろんな方向から血管が入ってきていて、エラストグラフィでは中に硬い部分があって、液体を周りに伴っているものとわかる。これは浸潤性乳管癌であった。

z-9
図12 嚢胞内病変(浸潤癌)
 
5.乳頭のそばにある腫瘍 浸潤性小葉癌
 図13は乳頭のそばにある腫瘍であり、血流が多い。これは見逃しやすい典型パターンである。エラストグラフィで見ると、非常に硬く、横に青い線の層が出ている。浸潤性小葉癌であった。この周辺のエラストグラフィで青い部分には乳管内小葉癌(LCIS成分)進展が認められた。エラストグラフィではがんの乳管内進展の部位が青い層構造の硬い乳管として確認できるので、切除範囲の決定に有効である。

図13 乳頭のそばにある腫瘍 浸潤性小葉癌                              a|b|c

 

図14 Comprehensive Ultrasound
使いこなすには─自信が診断精度を上げる
 最後に、Comprehensive Ultrasoundをどう使いこなせるようになるかについてまとめると、エラストグラフィがカラー表示であり、最もわかりやすいので、初心者は、まずBモードを撮像し、次にエラストグラフィを撮像し、またBモードに戻る方法をお薦めする。徐々にBモードが改善することがわかるだろう。改善して「私はできる」という自信をもてば、それがプラスになり、診断精度も向上する。エラストグラフィがきれいに撮れるよになれば、Bモードもきれいに撮れているということを知って頂きたい(図14)
 Comprehensive Ultrasoundというのは、病変位置、形態、石灰化のBモード情報をきちんと描出し、エラストグラフィで硬さの分布を把握し、高感度・高分解なドプラにより血流情報を高精細に捕らえ、診断を進めることである。すべてを高精度にする条件はほぼ同じなので、自信さえつけばどれも精度が上がる。言い換えると、ドプラをきれいに撮れる人、エラストグラフィがきれいに撮れる人は、Bモードもきれいに撮れるということである。

〈文献〉
1) Nakashima K et al:Comprehensive ultrasound diagnosis for intraductal spread of primary breast cancer. Breast Cancer 20(1):3-12,2013
2) Barr RG, Nakashima K et al: WFUMB guidelines and recommendations for clinical use of ultrasound elastography: Part 2: breast. Ultrasound Med Biol 41(5): 1148-1160,2015
3) 中島一毅ほか:乳房超音波エラストグラフィ 2013, 日本超音波医学会(JSUM)乳腺の Elasticity imaging に関する用語・診断基準作成小委員会, 日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS) 精度管理研究班 Elastography 小班,2013
4) Shiina T:JSUM ultrasound elastography practice guidelines: basics and terminology. Journal of Medical Ultrasonics 40:309-323,2013
5) Kudo M et al: JSUM ultrasound elastography practice guidelines: liver. Journal of Medical Ultrasonics 40:325-357,2013

 
(本記事は、RadFan2016年1月号からの転載です)

会員ログイン
メディカルアイ

Facebook始めました!
このページの先頭へ戻る