東芝ユーザーズセミナー:セミナーⅠ GCA-9300R導入にあたっての基礎的検討

Satellite View~Canon Special Session : セミナー報告
2016.03.18

東芝ユーザーズセミナー
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三検出器型ガンマカメラ「GCA-9300R」

 

日時:2015年11月5日
場所:ハイアットリージェンシー東京
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社

座長

 

国立循環器病研究センター
脳卒中統合イメージングセンター
中川原譲二先生

セミナー Ⅰ GCA-9300R導入にあたっての基礎的検討

 

演者
 
藤田保健衛生大学病院放射線部
石黒雅伸先生

【KEY Sentence】
●新しい核医学装置を導入する際には、旧装置との性能の比較をし、基準となる撮影条件 を把握しておく必要がある。
●比較検討により、GCA-9300Rは当院で使用していたHEADTOMEに比べ、システム感度、SPE CT空間分解能等が優れていることがわかった。
●CT画像を用いた減弱補正、散乱線補正といった最新の画像処理を用いることでコントラ ストや定量性に優れた画像が提供できる。

 
 本論のテーマは三検出器型SPECT装置(GCA-9300R)の導入にあたっての基礎的検討の報告である。当院では、頭部専用リング型SPECT装置(HEADTOME SET-080α)からGCA-9300Rへの更新に伴い、従来から使用している二検出器型SPECTCT装置(Symbia T6)との比較検討を行った。GCA-9300Rを診断に役立てるためには、このような比較検討により、画像を得られる条件を把握しておく必要がある。今回は、比較検討の結果を踏まえて、GCA-9300Rの有用性について示す。
 

当院へのGCA-9300Rの導入

 まず当院の設備を簡単に紹介する。当院では2012年9月に低侵襲画像診断・治療センー(以下放射線センター)が竣工した。全国にも珍しく、1棟全てが放射線科関連の施設、地下1階地上6階建てとなっている。地下1階からフロア毎に放射線治療、核医学、MRI、ハイブリット手術室(血管造影)、CT、X線透視である。核医学部門のフロアはPETとSPECTのエリアに分けられており、それぞれの患者の動線が重ならない構造になっている。放射線センターの立ち上がり当初は旧施設からHEADTOMEを移設して使用していたが、2014年の3月から東芝メディカルシステムズ株式会社のGCA-9300Rが稼働を開始した。
 
GCA-9300Rの検討
 当院では、年間約1,100.1,200件の脳血流シンチを行っている。通常、二検出器型SPECT装置で検査を行うと患者の入室から退室まで約1時間を要する。GCA-9300Rを使用した場合のタイムテーブルがどうなるかをSymbia T6と比較検討した。
 
1.システム感度
 最初に、99mTcを使用したシステム感度について検討を行った。Detectorに厚さ10cmの発泡スチロールを設置し、その上に99mTc水溶液を入れたシャーレを置きスタティック収集を行った。画像全体に関心領域(ROI)を設定し、トータルカウントから感度の比較を行った。
 
2.SPECT分解能
 脳血流シンチで使用している123I水溶液をラインソースファントムに封入してSPECT収集を行い、中央のラインソースに対してFWHMを算出した。
 
3.収集および処理条件のバリデーション(均一性)
 123I水溶液を封入したプールファントムを用いて、長時間(360分)のダイナミックSPECT収集を行い、ダイナミックデータから収集時間の異なるSPECT画像を作成した。これらのSPECT画像にROIを取り、相対標準偏差(%RSD)を求めた。
%RSD=(標準偏差/平均カウント)x100
 
4.収集および処理条件のバリデーション(SPECT分解能)
 123I水溶液を封入したコールドスポットの構造を持つファントムを用いて、長時間360分)のダイナミックSPECT収集を行い、収集時間の異なるSPECT画像を作成した。これらのSPECT画像から何mmのコールドスポットまで観察できるか視覚的評価を行った。
 

図1 SPECT分解能の比較結果
図2 心筋血流画像(正常)
図3 心筋血流画像(前壁中隔心尖部心筋梗塞)
図4 脳血流画像
左上:HEADTONE 右下:GCA-9300R
図5 GCA-9300Rの散乱線補正機能
左:散乱線補正なし
右:散乱線補正あり(TEW法)
結果
1.システム感度

 装置ごとの1検出器あたりの感度(Count/min/kBq)比は、Symbia T6(Fanbeam):GCA-9300R(FANHR):GCA-9300R(FANSHR)=1:1.1:0.76であった。装置に搭載された検出器数を考慮すると、Symbia T6は2検出型なのでこの2倍、GCA-9300Rは3検出器型なので3倍となる。我々が測定した値を元にすると、Symbia T6(Fanbeam) に対して、GCA-9300RはFANHRで1.65倍、FANSHRで1.1倍のシステム感度となる。
 
2.SPECT分解能
 視野中心部のFWHMはSymbia T6(Fanbeam)が10.4mmに対して、GCA-9300RはFANHRで8.38mm、FANSHRで7.15mmの結果であった。以前使用していたHEADTOMEのAP(汎用)コリメータで8.6mm、HR(高分解能)コリメータで7.6mmであったことを考えると、GCA-9300RのSPECT分解能は非常に優れているといえる(図1)
 
3.収集および処理条件のバリデーション(均一性
 我々が脳血流シンチの収集条件設定をする際には、相対標準偏差(%RSD)が約10%以下となる収集処理条件を指標としている。それを踏まえた上で、FANHRでカットオフ周波数がバターワース(BW)0.10cycles/pixelで収集時間が31分、0.13cycles/pixelで70分、FANSHRの場合は、0.10cycles/pixelで54分、0.13cycles/pixelで130分という値が出た。ただし、あくまでこれは指標であり、最終的にこの数字で収集条件を決定するというわけではない。
 
4.収集および処理条件のバリデーション(SPECT分解能)
 コールドスポット構造をもつファントムで10mmのコールドスポットを観察できることを大体の指標としている。FANHRでは30分の収集時間、BW0.10cycles/pixelのカットオフ周波数で10mmのコールドスポットを識別できるという結果が得られた。相対標準偏差(%RSD)の結果も考慮してFANHRで30分収集、BW0.10cycles/pixelのカットオフ値を採用した。今回のファントム実験は123I水溶液を用いているが、99mTc水溶液の場合はさらに分解能の高い画像となる可能性がある。収集時間を360分まで伸ばし、統計ノイズを極力抑えた状態でFANSHRを用いた場合、カットオフ値0.13cycles/pixelで8mmのコールドスポットがはっきりと判別可能であった。
 
画像データ紹介
1.心筋SPECT

 図299mTc-tetrofosminを使用した正常な心筋血流の画像である。RI静注から20分後に撮像を開始し、コリメータはLEHRを使用して20分間の収集を行った。吸収補正は行わず、TEW散乱線補正のみ実施、前処理フィルタはBWカットオフ値0.20cycles/pixelで処理している。図3は前壁・中隔・心尖部に心筋梗塞の診断が付いた画像である。収集条件はほぼ同じであるが、収集時間のみ約15分間に短縮している。収集時間の差は患者の体重や投与放射能量の違いである。心臓核医学検査に関しては、まだ正式な収集条件が決定していないが、5分間短縮しても十分な画質が得られている。
 
2.脳血流SPECT
 図4 は左上がHEADTOME、右下がGCA-9300Rによる同じ患者の123I-IMP脳血流画像である。2013年3月に右内頸動脈狭窄の疑いで来院したときにHEADTOMEで検査を行った。その約2年後2015年9月にアルツハイマー病(AD)の疑いで再来院したため、GCA-9300Rで検査を行った。旧装置と比較した場合のGCA-9300Rの大きな特長は、散乱線補正を使用できるようになったことである。散乱線補正を用いた画像処理を行うことで脳室と脳実質のコントラストが非常に優れ、よりトレーサー分布に忠実な結果が得られる(図5)。また、これまでの減弱補正は均一減弱マップを用いたChang法のみであったが、GCA-9300RではCT画像から作成した不均一減弱マップを用いた減弱補正も可能になった(CTAC法)。GCA-9300RはCT搭載型ではないため、他の装置で撮影したCT画像をDICOMで読み込んで使用している。CT画像から作成した不均一減弱マップでは、従来法では考慮しない頭蓋骨も考慮するため、より定量性に優れた画像を提供することができる。
 
終わりに
 GCA-9300Rの導入にあたっての基礎的検討として、まず旧装置(HEADTOME)と併用装置(Symbia T6)とのシステム感度、空間分解能の比較を行った。続けてファントムのSPECT画像を用いた相対標準偏差(%RSD)から収集および処理条件を推定した。この時、分解能評価用ファントム(ホット&コールド)画像から、どの程度の構造物が判別できるかということを我々診療放射線技師が把握しておく必要がある。こうした条件は、読影医の好みや、どのような検査を行うのかによって左右されるため、施設ごとに読影医に判別を依頼し、収集・処理条件を決定することが望ましいと考える。
 

(本記事は、RadFan2016年2月号からの転載です)

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